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 第180号(2006年7月28日発行)
日米軍事再編と基地強化に異議あり!

沖縄・辺野古への基地建設を許さない!7・1集会 講演記録


高里 鈴代さん(基地・軍隊を許さない行動する女たちの会)

 先ほど安次富さんがおっしゃっていたのは、今回の再編というのは、沖縄の負担軽減を枕詞に再三使われてはいるけれども決してそうではないのだということの強調であったと思います。そのことを私も改めて皆さんと一緒に確認をしたいと思っています。


軍事一体化の約束

 去年の10月に日米で合意をして、ワシントンで日本の外務大臣、防衛庁長官出かけて行って握手を交わしていました。そして今年の5月にあらためて固い固い握手をしたわけです。その二度の熱い握手というものは一体何なのか。沖縄の負担軽減ではさらさらない、むしろこれは私たち日本人全部にとって、ある意味では裏切りの握手であったと言って言いすぎではないと思っています。

 まず去年の10月の合意です。これが中間報告ということをどの新聞も書いておりました。そして5月になって最終報告と出たわけです。実は今年の2月に共同通信社が日本全体に配信をしている地方の新聞社の編集委員の方たちを集めた研修会があって、その時に沖縄で小さなシンポジウム、琉大の我部政明教授の基調報告と、アメリカ大使館の安全保障部長メイヤー氏の報告があったんです。その時に彼が「アメリカでは一度も中間という言葉は使っていない」と言っていました。中間ではなくて、これは最終だったんです。

 じゃあ何が最終だったのか。確かに10月もあり5月になったわけですし、5月のロードマップを見ましたら、きめ細かく全国の例えば演習がどのように移動していくだとかされています。けれども10月のいわゆる中間報告は、これは日本の方向を大きく変えていったものです。10月に確認したのは大枠の約束、今後日本とアメリカはどういう関係で行くのかという約束を明確にしたんです。ですから、枠組みを決めたんであって中間では決してなく最終、そして実に大きな内容だったわけです。

 その内容は、本当に驚くといいますか、こういうことを国民と確認もせず国会で十分に討議もせず、憲法を抱えている中でよくもこれほど踏み込んだ約束ができたものだと本当に驚きました。これは今後、アメリカと日本は軍事的に一体となって、役割任務、能力をしっかりと確認をして対等になって進んでいく。何故なら、この世界は新たな脅威があり、そして不透明性や不確実性を生み出す課題が引き続き存在をしている、そのような中にあって地域における軍事力の近代化に注意を払う必要があるとか、そしてそのような不確実なものあるいは不透明なものにしっかり対応していくために日米で確認して、歩調を揃えて対応していくという約束です。

 米軍と自衛隊は更に一体化し、日本にある米軍基地はアメリカも自由にそれを使い、日本の自衛隊もアメリカにおいて訓練を受け演習をする、そういうことが全部書いてあります。ですからこの中間報告というのは、中間でもなく、まさに政府は日本国民をその場に置き去りにしてというか裏切ってこのような約束を調印してきているわけです。まずその枠を確認して、個別のことについて5月に至るまで様々な調整をしたというのが実態なわけです。


「負担軽減」のまやかし

 「沖縄の負担軽減」、額賀防衛庁長官はですね「沖縄の皆さんの悲願」と言うんですよね、それから小泉さんは、「沖縄の負担軽減のためならグアムに負担をする7000億円も惜しくはない。むしろ日本側から提案をしていることなので、沖縄の負担軽減のために国民はその負担を負うことも了解できるだろう」と、枕詞以上に沖縄を出しますが、実態はそれよりも遥かに遥かに先んじて、実は軍事一体化を確認し、それを進めようとしているわけなんです。

 今年の3月17日の朝日新聞ですが、米国国防省のローレス副次官は記者会見でこういうことを言っているんですね、「問題は論議がすぐに基地や部隊の移転に関係する地元のささいな懸念に矮小化してしまうことだ」。つまり、大枠を確認しているのに個別のことになっている、日本政府は責任を持って地元を説得をしなければならないということですね。そのことは、アメリカ大使館のメイヤー安全保障部長もいらだつような表現で言っていました。「そういう個別の問題ではないんだ、確認をしているのは大枠の方向なんです」ということを言っているんです。

 ですから、私たちここに集まって、沖縄に更なる基地を建設させないということを確認することは、併せて、あるいはそれ以上に、軍事化が進んでいくこの方向を本当に黙っているのか、あるいはこれを進めていいと国民として承認した覚えはないというのであればどうするのか、もうまさに今この方向に行こうとしているのが実態なんです。
 
 こんな文章と思いながら読んでみると取って付けたように沖縄が入ってくるんです。例えば、「今後実施される措置は日米安全保障条約の下での日米双方のコミットメントを強化すると同時に」、これコミットメントを強化するのが主ですよね、「同時に沖縄を含む地元の負担を軽減すると日米双方合意した」というんです。要は、まず最初に日米同時に確認した強いコミットメントがあるわけなんです。

 中間報告と言われる最終報告、後半のほうに沖縄の普天間基地のことを書いていて、その中に「普天間飛行場移設の加速」という項目があって「沖縄住民が米海兵隊普天間飛行場の早期返還を強く要望し」と書いてあるんですね。つまり強い要望に応えましょうと書いてあるんですが、ここの所全体を読んでみますと、沖縄のF15、KC130、空中給油機、あれを鹿屋市であるとか岩国市とか移設、移動していく中で「より多様な演習が可能になり、併せて地元の負担軽減」になるというんですね。

 ですから、沖縄の負担軽減ということがどれほどまやかしであるか、そしてその実態は本当に遥かにそれを上回る大変な日本の針路を軍事化へ軍事化へ、そしてアメリカにしっかりと歩調を合わせていくという、そのことでしかないと思うわけです。

 先ほどからグアムに移転の問題が出ています。8000人グアムに移設するというんですが、その中身も司令部要員で実戦部隊は残るであるとか、そういう細かいことを見ると具体的に負担軽減にならないということになります。併せて今度は別の所に多くの物が移動し作られていく、あるいは日本が59%負担してグアムに基地が拡大化し、そしてハワイ、グアム、沖縄という点を繋ぎながら世界的に軍事大再編が行われる。それに日本の税金も使われていく。


米兵犯罪の矮小化

 時間が限られていますので、そういう枠組みを押さえ、一体この負担軽減というまやかしの中でどのようなことが行われているかということを、私が調べることができた範囲で報告したいと思います。

 鹿屋市、岩国あるいは千歳、各地域で本当に今、受け入れる入れないで自治体が問われているわけですが、そこに防衛施設局は沖縄の負担軽減だということをやっぱり言っているんです。60年に渡るひどい沖縄の状況を思うと、演習の一部、300人くらいの移設を受け入れるということ、共に担うということは必要ではないか、そう言われますと、確かにそうかもしれない沖縄の負担を思うと受け入れなければとも思うようです。これは実際に鹿屋市に行き、あるいは千歳、岩国にも行って、本当にそのように女性たちの中にも発言をしている方がいました。

 防衛施設局は、例えば鹿屋市から80何項目に渡っての質問が出ていて、それに応えているんですね。演習はどうなるとか、どれだけの人数が来るのかとか、事故・事件はどうなのかというようなことが質問の中にあります。鹿屋市に対しても千歳に対しても答えている中身は、とても共通しているんです。それはまず、演習あるいは移動を受け入れると、それに伴う経済的な効果というものに対してかなり大きく書くわけです。ところが犯罪はどうですかという質問に対しては、犯罪は小さく、本当に小さく矮小化して答えているわけです。
例えば鹿屋市に対して、1000人に対して5.4人というのが日本人の犯罪率だ、それに比べて米軍の犯罪率は2.4人と半分くらい少ないという。この答えに自治体の人は、沖縄で犯罪が多いとか絶えず起こり続けているというけれど実態は必ずしも多くはないのか、日本人に比べてたいしたことはないのかと思うような、そういう印象を与えるように実は大変巧妙に作られています。

 この二つの数字を見ると、米軍が基地から出てその地域で窃盗をしたり放火をしたり、そして女性をレイプしたり、そういう犯罪は、実際は日本人の平均的な犯罪率に比べて半分以下だと。でも皆さん、この比較は正しいでしょうか。この比較は、比較にならない数字を二つ比較しています。

 米軍は地位協定で外人登録もしなくていいわけです。自由にどこでも出かけていけます。ですからその先で本当に多くの犯罪が起こって、95年に少女に向かった暴力、その翌年は確かに減りました。ところがその次の年から犯罪数は上がっています、沖縄で。その結果、あまりにも上がり続けているので、実は2004年6月から海兵隊は夜間12時以降の外出制限を、21歳前後、若い兵士に対してリバティーカードというのを発行して、色分けをして12時には戻ってこないといけないという制度を取りました。その結果、確かに2004年から2005年にかけてデータは下がりました。

 けれどもそのような措置を取らなければならないほど、放火から窃盗からいろいろと事件は起こり続けていました。そして米軍はやっとその措置を取ったわけです。その結果減ったことを針小棒大に言い、米軍の総領事館のホームページでは、2004年から2005年はもう劇的に減ったと書いてあるわけです。

 いずれにしても、基地から外に出て犯す犯罪と、例えば沖縄の人が基地の中に入り込んで犯す犯罪と比較するならまだしも、それはまあゼロですよね。あるいは日本人の間で犯す犯罪の率というのであれば、じゃあアメリカの基地社会の中で軍人社会の中でどれだけの犯罪が起こっているのかというのは、そういうことは知る余地もないわけです。にもかかわらず比較にならない数字を比較することによってその犯罪を本当に小さく小さく矮小化するということが実はここ何年も行われてきています。

 今回の再編の問題の時に何故米兵の犯罪などを取り上げるのかと感じる方もいらっしゃるかもしれません。私は今度の再編は、日米が軍事化に向かって一歩も二歩も踏み出そうとしている。そして軍事化が日常になり、そして日常化する軍事化とは何かということを、実は基地があり続けてそこで起こり続けている演習事故であり環境破壊であり、ずっと起こり続けている事故・事件、それを全部総合的に考えていかなければ、兵士として訓練をされ、いつでも戦う準備ができて送り出される兵士が戦場から戻ってきてどのような行動をしているのか、それは全部繋がった問題として軍事拡大ということを考えていかなければならないと思っています。


米兵の犯罪は些細なこと

 実は昨日、総領事として数年勤めたライクさんが離任をしました。その離任の弁の中に、彼はこういうことを言い始めているわけです。「沖縄の県民は地位協定をはっきりと理解していないのではないかという印象を持った」とか、「日米の環境に関する基準などはアメリカは厳しく対応しているんだ」と言いながら、最後に「米国の米兵犯罪率より沖縄のほうが低い」ということを言いました。

 また言い方が変わってきたんですが、今まで沖縄の中の犯罪と比較して、米兵が沖縄の人に加える暴力のほうが低いということを言っていたんですが、アメリカ本国で米兵が犯す犯罪率よりも、沖縄という場所で基地の米兵が外に出て犯す犯罪率は低い、つまり国内のほうが犯罪はひどいんですということを言いながら、犯罪の小ささを言おうとしています。

 今年の5月に日本全体の総司令官が外国人記者クラブでインタビューをしていますが、その中でも同じようなコメントをしているんですね。つまり自国の犯罪率よりも外国に派遣されてきている中で起こっている犯罪が小さいということを言っています。

 今までは、日本国内の一般よりも低いんですよと言っていたのが、言い方が変わりまして、アメリカの国内ではひどいけれども海外では小さくなっているということを言おうとしているわけです。

 この扱い、つまり犯罪は小さいんだ、駐留は大きな目的のために駐留しているのであって、その中で起こる米兵個々の犯罪は、大きな目的からすると些細なことであるということを強調しているわけです。


軍隊の私人化・良き隣人政策

 今、この再編が進んでいく中でアメリカは、駐留政策というものの中に軍隊を私人化する、そういう方向を強めていることを感じます。これも総領事館のホームページにあります。「沖縄に駐留する米軍は駐留することによって年間30億ドルも地域経済に貢献をしている、これは県民一人当たり3000ドルにも上ります。しかし、そればかりではないのです。基地の最も価値ある資産というのは建物ではないんです。その技術や情熱を基地の外での広範にわたって奉仕している、基地内の住民」と位置づけている。「慈善活動に奉仕する基地内の住民。これらの奉仕者は沖縄の学校での英語教育支援からビーチのごみ拾い、孤児院や老人ホームの活動から障害児のためのスペシャルオリンピックの主催にいたるあらゆる活動に勤しんでいます。軍の環境保護者や考古学者は沖縄の仲間とともに環境を良くし文化遺産を保護する良い方法を探り出すべく取り組んでいます」。

 軍隊というのは演習だけではないんだ、そうかこのようにボランティア活動もし考古学的にも自然環境保護にも取り組んでいる、つまりこれは経済的な効果をもたらし、そしてそこにいるのは軍隊ではなく、日々殺傷の訓練を受ける兵士ではなく、むしろその人一人ひとりが持っている技術や能力それが資産となって地域に貢献できる、基地は宝なんですよ皆さん、だから撤去運動をしてはもったいないということをですねここで書いているわけです。

 これはまさに軍人の私人化、基地の垣根をさらに下げて、国際協力あるいは国際理解にとって最も身近な隣人であると、良い隣人政策という政策を取っているわけです。これは沖縄タイムスですが、「経済効果を誇示する米軍」という大きな見出しで記事が出ています。その中に、2000年沖縄G8サミットの頃から、アメリカは駐留していく中でどのような経済効果があるか、あらゆる領域から試算をして割り出して合計を出して強調してきました。ですから去年、ライス国務長官が日本に見えた時にも、「本当に基地が無くなって地域の方々は大丈夫でしょうか」というような発言をしているわけです。

 アメリカが試算したものには日本の税金で賄っている光熱費から土地の使用料から全部入ってですね2411億という試算、沖縄県が試算したものでは1931億になっていますが、それでもこのように経済効果は膨らまし、あるいは雇用の場であることを強調し、そして兵士は隣人であって活用すべき資源であると言っているわけです。

 このような状況の中で沖縄から基地が少し減る、あるいは移動していく、そして気がついたらパトリオットミサイルが配備され、あるいはオスプレイが配備される。そしてF15は移動するけれども自衛隊が嘉手納基地も共同使用する。今まで日本の領土の0.6%の面積に、常時専用使用の米軍基地の75%が沖縄にあると言っていた。その主張はもはや通用しなくなるわけです。全沖縄の米軍基地が自衛隊と共有になっていくと75%はすぐ0%になります。


「性暴力もう二度と」

 皆さんは、多分ご存じなかったと思います。去年の7月9日に、沖縄タイムスに「性暴力もう二度と」という新聞記事が出ました。富田由美さんという女性が、ご自分が高校2年生の時に3人の米兵にレイプされて、それを10年沈黙をして、そして95年の少女の事件が起こった時に、自分がもし10年前に声を上げていたなら、沖縄の声も米軍を無くしていく方向に力を注げたのではないか、そうではなくても何らかの少女に向かう暴力を防ぐことができたのではないかと悔やんで、そしてその後10年間彼女はずっと平和活動に取り組んできました。

 それが去年の7月5日、ちょうどアメリカの独立記念日、10歳の少女が朝教会学校に行こうとして待ち合わせをしているところに米兵に強制わいせつを受けるという事件が起こりました。10年前、彼女はテレビの前から立ち上がることもできず泣いていた彼女が、10年後、このことは絶対に許せないんだという思いで稲嶺知事に手紙を書きました。

 拝啓沖縄県知事稲嶺恵一様で始まるこの手紙の中で、彼女は、「今でも我が物顔で人を殺すすべを学んでいる兵士たちが、我が物顔でこの町を歩いている。今、知事あなたが、一番責任ある地位にあるあなたこそ、この基地の撤去を軍隊の撤退を強く求める力を持っているあなたこそ、今そのことを決意して勇気を持って出して欲しい」という訴えでした。

 実はこれは沖縄では、新聞に大きく報道され、その後も沢山の共感ある声が寄せられています。ある読者の欄には、自分も同じような思いをしたという声もありました。この記事を、国会の外務委員会で、沖縄選出の国会議員は3人も相次いで取り上げました。まず東門美津子衆議院議員、大田昌秀議員、そして赤嶺政賢議員さんです。3人が継続して取り上げたのは、ずっと起こり続けている暴力と、基地がもたらす様々な問題と、この軍事強化の中で、声を上げている女性の手紙に外務大臣あなたはどのように応えますかという質問だったんです。

 東門さんの質問に対して、当時の町村さんは「米軍と自衛隊があるから日本の安全も平和も守られている」と明確に答えました。そして「確かに被害にあったのは、それは個人的には気の毒だ、しかし何故米軍がいるのか何故必要なのか、この安全を維持するための存在として、この手紙はバランスを欠いている」という答弁だったんです。

 大田昌秀さんは、沖縄で軍隊は住民を守らないという経験をしてきた者として、改めて問いました。答えは同じです。これを朝日も毎日も1行も載せないんです。外務委員会で密かな部屋で質問が出たんではないんです。外務大臣が答弁に立っているんです。にもかかわらず、外務大臣が答えたことが地元だけで閉じ込められている。そして、全国のメディアは一切、この問うていることの意味も全く黙殺をしたような形で過ぎてしまいました。

 私は、この手紙、そしてこれに応えきれなかった日本の外務大臣は、まさに10月の握手、5月のあの堅い握手の中に込められていると思います。


イラクで起こっていること


 実は22日から今日までアメリカのサンフランシスコから来た方と共に過ごしました。アメリカで再編問題なんて殆ど報じられない、むしろイラクの問題だということでした。平和運動の中で何とかイラクの戦争を止めさせたいと活動していても、それは本当にまだまだ小さい、でも今イラクから戻ってきた兵士たちが、兵に戻ることを拒否している。あるいはイラクの退役軍人の中から、息子を失った母親から、イラク戦争の無意味さを、あるいは問題を突き上げる声が出てきているとも聞いています。

 そして高校の中で、軍隊が出かけていってリクルートをするわけなんですが、高校の中でもあるいは教会の中でも拒否する動きも出てきた。そして高校生たちが、その拒否した兵士たちを迎えて話を聞くということも起こっている。でもそれはまだ小さいということでした。

 イラクで起こっていることは、更に大きく軍事を強化していくことの、今起こっているそのことです。見えない不確実なもの、不明瞭なものといいながら実は今しているそのことを、私たちがしっかりと見据えて止めていかなければ、軍事力によって外交を進めていく、あるいはその力によって解決していくという方法では、その暴力的な方法では、どれほど多くの暴力が日常あるかということです。

 最後に、去年の5月国連の人権委員会に提出された報告書を最近読みました。表に出ていないけれども、ものすごい数のイラクの女性たちが米兵によって強姦され、そして殺されているという報告です。アブグレイブ刑務所の中で、あるいは自分の兄や家族の居場所を言うために女性たちがレイプされ、あるいは妊娠を強いられてその場におかれていく。

 一人の女性が必死に書いたメモから事実が明らかになって、軍の中でも調査が行われて53ページに渡る綿密な報告書が出たというんです。ところがブッシュ政権は、それは軍の政策でも軍の方針とも何ら関わりもないと一蹴し、相変わらずイラクに民主主義をもたらすと言っているわけです。

 日米が、普遍的な価値、民主主義、基本的な人権と言いながら、今進めようというこの軍事の展開と、そして日常、声を上げることもできないほど起こり続けているこのこととは、決して離れるものではなく一体であることを思いつつ、この軍事化にしっかりと抗していきたいと思います。終わります。