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 第179号(2006年6月28日発行)

【報告】 沖縄県収用委員会 公開審理

 六月九日那覇市自治会館で浦添市の牧港補給地区に関する第三回公開審理が開かれた。

四月十二日の基地内立ち入りの際、申請していたにも関わらず照屋秀伝さん、池原秀明さんの立ち入りが認められなかった。本人と法曹資格を持った代理人が入ることで充分だと判断したとの施設局の発言に関連して、「法曹資格をもった代理人がいない場合は立ち入りが認められないのか」との地主側代理人の質問があり、岡田施設局部長は「これからは法曹資格がない人の立ち入りも米軍と検討する」と答えた。

 更に地主側代理人から、防衛施設局は十年の使用申請をしているが、在日米軍再編に伴う返還計画では二〇一四年に全面返還が合意され、それを前提にして二〇〇七年三月までに詳細な計画をたてようとしている。使用申請期間も二〇一四年にすべきではないかとの追及に対し、岡田部長は裁決申請した期間より返還が早まった場合は変更手続きをとると回答した。

 また、損失補償金の支払いの際に見込みの利息額が差し引かれることについて、金利が五%で算定されているが、現在の公定歩合が〇・〇二五%であるのに対し、五%というのは現実からかけ離れていて相当な減額になる。鑑定士一名だけによる算定とのことだが、公平を期すということで鑑定士は二名以上の場合が多い。駐留軍用地はいつも一名なのかとの地主側の質問。施設局は、今回は実績がある鑑定士のため一名にした。何人にするかはその都度施設局が判断していると答えた。地主側代理人は、判断基準はなにか、実績とはなにを指しているのか、これは国民の税金に関わることであり、情報を開示して収用委員会に提出すべきと追及した。これに対し岡田部長が内部文書だから公開できないと発言したため、会場は騒然となった。代理人からは秘密文書ではない、地主は最も利害関係をもっているのに提出できないのかと厳しい追及があり、この審理中に提出することとなった。続いて地権者側からの意見陳述があり、土地所有者の古波蔵豊さんは「初めて自分の土地に入り、基地はひとつもなく、芝生と道路であることが確認できた。フェンスで囲ってでも一日も早く還してほしい」と訴えた。また、「三回の審理の中で誠意のない国の姿勢を強く感じた。自分たちががんばり、あとに続く人たちを育てていかなければ」と発言した。

 代理人の照屋秀伝さんは「復帰から三十四年、施設局は「日本とアジアの安全のために…」、「有機的一体となって…」と、同じことを繰り返している。日本とアジアの平和と安全というが、沖縄は平和にもなっていないし、安全も保たれていない。人権も財産も平等も民主主義も尊重されていない。使っていない土地を返せという地主の主張をなぜ米軍に言えないのか。戦争が居座っているのが軍事基地であり、平和のための戦争はありえない。戦争の論理では県民を押し潰すことも、納得させることもできない」と発言した。

 最後に阿波根弁護士、中山弁護士が意見陳述し、「基地内の土地は米軍のいかなる用途にあてられているか、これを基に強制収用が適正かを判断するが、いままでは土地の状況を確認できないまま起業者が提示したことを基に審理を続けてきた。今回は具体的な使用状況が明確になった。施設局は道路用地だけでは強制収用に弱いと考えたのか、倉庫という虚偽の用途を付け加えたとしか思えない。虚偽の事実を作った施設局に万口の怒りをもって抗議したい!」と発言。また、「日本国憲法は戦争を消滅させる憲法、これをもって軍事力によらない平和を構築しなければならない。憲法の平和精神を生かした裁決をだしてほしい」と、収用委員会に強く訴えた。

 牧港補給地区の審理は今回で結審となり、玉城辰彦収用委員会会長は九月中に裁決する方針を示した。         (I)  


 注釈
 契約拒否地主に対する損失補償金支払は強制使用期間についての一括払い。このため防衛施設庁は地主に支払いの際、使用最終年まで手許にあった場合に得られる利息分をあらかじめ差し引いて支払額を算出する。
 契約地主に対して支払われる地料は年度毎に支払われているもよう。このため反戦地主が不当に低額な支払いしか受けられないという不公平な状況にある。
 一九五〇年代のプライス勧告当時も、米軍は一括払い。島ぐるみ闘争でこれは撤廃された。防衛施設庁は当時の米軍と同じ一括払いで、反戦地主には不利な支払方法を続けている。   
 (Y)