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 第179号(2006年6月28日発行)

惨殺した米兵に無期懲役判決

 事件抗議の集会も開催

 本年一月三日、横須賀市で米兵(空母キティホークの乗員)が女性会社員を強殺した。犯人の米兵は「結果として殺した」と述べた。現金を奪って、被害者を内臓破裂で失血死させたことは認めた。

 あまりにも残酷な殺害の仕方だったこともあり、米兵には無期懲役の判決が下った。裁判では法廷で防犯カメラの映像が流されて被害者の「助けて」という悲鳴が聞かれ、遺族らに衝撃を与えたという。

 在日米軍はケリー司令官らの「大弔問団」が葬儀参列し、連日の謝罪。横須賀市長にも謝罪訪問の予定だったが、いったんは米国本土から「ストップ」がかかったという。原子力空母の配備・母港化について市長を説得しようとした時期だったため、と新聞報道された。その後結局、司令官らは市長と県知事に謝罪した。米国側は本件と原子力空母問題とを切り離したかったものと思われる。

 本件では重大・悪質事件だったことから、日米地位協定にかかわらず犯人の起訴前に身柄が神奈川県警に引き渡された。しかし同様の事件・事故でも米軍側が犯人を「確保」し、日本側に裁判権行使をさせないケースが、特に沖縄では多数あるのが現実。

 改めて一方的に米国側に有利な日米地位協定の重大な問題性を浮かび上がらせた事件だった。

 本件で開かれた公判はわずか二回。重罪は免れない、と判断した米国側が争いは避けて早く幕を引いたためだ。その結果、殺害の事実の詳細も犯人の本心も裁判では明らかにならなかった。米兵の「真摯な反省」もしたがってなんら明らかにはならなかった。


 この事件に「抗議し、米軍基地撤去を求める集会」が去る六月一六日夜、横浜県民センター・ホールで開かれた。集会の主催は沖縄と連帯するかながわ女性の集会実行委員会(神奈川平和運動センター・(社)神奈川人権センターが後援)。参加者は主催者の予想をはるかに越える百八十人。

 集会では弁護士の呉東正彦(ごとう・まさひこ)さんが講演。繰り返される米兵犯罪事件の実情を熱っぽく語り、米軍の不当な事件・事故に対して泣き寝入りさせられてきたこれまでの多数の事例を紹介。「こんなことでは、絶対にいけない!」と語った。日米地位協定の壁が、事件・事故の防止どころかそれに遭遇した人たちの救済さえほとんど困難にしていることを訴えた。また横須賀の原子力空母母港化がどれほど危険なものかを強調、市長の容認発言はまったく筋が通らない・と語った。

 同集会では海老原大祐さん(米軍人・軍属による事件被害者の会共同代表)が特別の訴え。息子を米兵にひき殺された自分の体験を語り、防衛施設庁が「弁護士は立てないで示談を」という許しがたい対応をしたことと、地位協定の壁をなんとかして突破し自分や今回の事件の被害者のようなことが二度と起きないようにすべきだ、と語った。    
  (Y=会員)