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『一坪反戦通信』
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 第178号(2006年5月28日発行)

 韓国・平澤

命の農地に基地はいらない!


 「え〜!ウソでしょ!」私は思わず叫び声を上げてしまった。大型連休の日本で、のんびりしている頃、韓国ではとんでもないことが起きていたのだ。

 「驚愕!怒り!」韓国の市民社会団体の声明にある最初の言葉だ。米軍基地拡張の予定地の平澤に五月四日軍隊が入ったのだ。インターネットの画像で飛び込んでくる軍の迷彩服、ぐるぐる巻きの鉄条網、空を飛ぶ軍用ヘリ…。本当に恐れていた事態になってしまった。

 前回、この通信一七六号では、三月になり本格的営農準備に入った内容を報じた。地元の農民たちは、三月の強制執行で田んぼやあぜ道に大きな穴をあけられたものの、ひるまずに耕作を開始。

 一七日には本格的耕作が始まり、広大な田をトラクターが耕し、弾圧に抗議して激励のために全国各地から農民を中心に援農の人たちも訪れた。

 しかし、韓国国防部はこのような状況に危機感をつのらせていた。韓国「最高裁の判例」では四〜五センチ育った農作物は、その農地を所有しない耕作民でも所有権を認定しているからだ。

 四月二六日、尹国防部長官は平澤市を訪ね市長らと非公開の面談。三〇日の『ハンギョレ新聞』は「平澤基地の移転、対話で解決に合意」と報じた。

 これは国防部の代表と「平澤米軍基地拡張汎対汎対策委員会「平澤米軍基地拡張反対汎国民対策委員会(以下「汎対委」)側と住民代表、民弁の弁護士が面談、「国防部は対話で問題を解決する」としたもの。

 五月一日、「汎対委」は「(国防部と)双方の差があるので、第三者が参加する社会的協議の場で平和的解決を探ろう」と提案したが、翌日国防部長官は緊急記者会見で「立ち退きの補償は十分」としながら、「一部の団体が政治的目標のために住民を扇動している」とした。

 五月四日、インターネット『統一ニュース』の第一報は

未明四時四九分、
 「みな分校に集まり始めた。千人が眠い目をこすって起きた」。

四時四〇分、
 警察バス数十台が移動している」。第三信では「午前七時に軍が投入された」。

 「七時十分、軍隊と住民の最初の衝突。軍用ヘリ十機が低空飛行。ぐるぐる巻きにした鉄条網を投下している。軍隊はテントを張り、バリケード設置にとりかかる。大秋分校前では皆が座り込む。機動隊は放水の準備完了。」

「九時二十分機動隊、分校へ突入。警察は消火器を撒き、放水し、窓ガラスが全部割られた。図書館に臨時に作られた診療所にはけが人が列。」記者も引きずり出され、記事は中断。

 「汎対委」の発表によると大秋里、トドゥ里三七五世帯の地域に、野戦工兵団など三千人以上の軍隊と一万二千人の警察、業者千二百人人以上が投入された。

 軍・警察は農作物を踏みにじり、ビニールハウスを引き千切って、大秋分校を破壊、抵抗する人たちに暴行を加え、負傷者は五六〇人、病院で治療を受けた人は一六〇人以上。

 驚愕した人たちはソウルや各地から駆けつけ、翌日の五月五日約二千人の緊急集会。

 一〇日ソウル、プレスセンターで市民団体などが平澤事態を「対話で解決を」と要求する記者会見、中立的合意機構の設立を提案。

 十一日には四大宗教の宗教家代表が平澤現地を訪問、「平和の祈り」。(写真上)

 社会的な非難の声が高まる中で、韓明淑首相が「政府は住民の痛みと共に真の対話と妥協で難題を解決するため最善の努力」と緊急談話。「汎対委」はソウル行政裁判所に「軍事施設保護区域設訴訟」を提出し、無効確認の請求。

 一四日、日曜日には平澤現地で「五.一八光州精神の継承、平和農業の実現、汎国民大会」が開催され、警察の封鎖の中七千人が現地で集会。(写真下)

 一七日にはカトリックの司祭たちが「剃髪ミサ」を行い、一八日は「平澤問題の平和解決を要求する五・一八時局宣言」、一九日ハンギョレ新聞の報道では国民の約六三%が軍投入に反対を表明。

 米軍と韓国軍の巨大な暴力の前に、平澤では命の農地と平和のための闘いが今も続いている。

(5月23日、日韓民衆全国ネットワーク・加藤記)

 平澤米軍基地拡張反対汎国民委員会(韓国語)日本語