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『一坪反戦通信』
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 第175号(2006年2月28日発行)

文書回答は避けた文化庁

 「米軍基地内でも遺跡は調査する」


 沖縄県民不在の日米合意=普天間の「移設」先とされた辺野古崎には未調査の遺跡・遺物散布地が三箇所ある件で、われわれ関東ブロックなどで構成する辺野古実行委員会では去る二月六日、文化庁(河合隼雄長官)に要請書を提出した。この要請は遺跡を踏み倒して米軍基地を建設すべきではないこと、天然記念物のジュゴンが絶滅することがないようにという趣旨。

 実行委員会では防衛庁が辺野古など「施設現況調査」に一億二千九百万円、藻場やさんご礁などの「環境調査」一億円、「埋蔵文化財調査」に千五百万円を計上していることから、基地建設を急いでいると判断。政府にブレーキをかけるためこの要請を行なった。

 これに対して文化庁長官室は、確かに要請書が届いていると確認。文書での回答については、多数の回答要求などがあり特定団体だけに回答するわけにはいかないので、一律に文書回答はしないことになっているとして口頭で回答した(同庁の記念物課)。

 同課の田中康成専門職は、(1)文化財保護法は国内法だが遺跡が米軍基地内であっても同法と同様に調査を行う、(2)本件調査については防衛施設庁と連携し、想定される遺跡についての周知をするほか、助言などを行う、(3)大切な天然記念物であるジュゴンへの影響については本件が(防衛施設庁によって)どのようなことをするのかが不明なためわからない。防衛施設庁が環境への影響を少なくするはずで、文化庁の同意は不要である、(4)また天然記念物の現状変更については、個体に触れる行為がなければ文化庁としては権限を有していない--と回答した。もっと強いサインを文化庁が出さなければ、防衛施設庁はフリー・ハンドで勝手なことをしてしまい天然記念物は死滅してしまうではないかと反論したが、 田中専門職はその意見を課内でも検討し要望などには応えていきたい --と回答。

 この文化庁からの口頭回答について実行委員会では去る二月十六日、特に「ジュゴンの個体に触れるのでなければ文化庁には権限がない」とする回答は信じがたかったので、その点を「まちがいないか?」と尋ねたところ、「まちがいない」と回答。同課の主任文化財調査官・桂雄三氏は、「その通りだが、一般論としてである。おのおの違っているので一律には言えない」等とあいまいにした。また辺野古沖(計画)の時はそうだった(文化庁の同意は不要だった)が、今回はそうとは限らない。ケース・バイ・ケースである」などとと補足確認しました。 

 文化庁は言質をとられまいとしてか書面回答せず、回答にもならないケース・バイ・ケース論でどっちつかず。ほんとうにジュゴンを「大切に」考えているとはとうてい思えなかった。関東ブロック総会で記念講演した東恩納琢磨(ひがしおんな・たくま)さんも、遺跡が存在することについて「専門家でも遺跡を残して保護はしないだろうと言っている。工事が長引くことはあるが、工事が止まることはないかもしれない」とくやしい気持ちを語っていた(本号付録の記念講演記録参照)。そうかもしれないが、遺跡も踏み潰して軍事基地をつくれば日米政府には必ずそのツケが回っていくはずだ。この文化庁のあいまいな態度は米軍の横暴に手を貸すことになると考える。実行委員会では、これからも厳しく監視していきたい。          (Y)