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『一坪反戦通信』
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 第175号(2006年2月28日発行)

普天間移設先のシュワブ沿岸部案に見る なぜ、なぜ、なぜ?

〜〜沖縄は米海兵隊と自衛隊・特殊部隊の出撃拠点に化すのか〜〜

下道直紀(しもみち・なおき)

参議院議員大田昌秀・政策担当秘書


 昨年十二月、米海兵隊普天間飛行場の移転先として急浮上した米軍キャンプ・シュワブ沿岸部を視察してきました。

 と言うのも、飛行場を移転するのですから、移転先の施設はI字型であっていいのに、したがって当初の名護市辺野古沖とする海上リーフ案もI字型でしたが、シュワブ案はL字型となっていることに、「なぜなのか」と首をかしげていたところ、「軍港を併設する構想がある」と、昨年十一月十三日付の『毎日新聞』が報じ、「なぜ軍港か」のあらたな疑問が生じて、その謎解きと、果たして「ショワブ沿岸部に軍港併設が可能なのか」などを確認したかったからです。

 シュワブの米軍基地の北東側に広がっている大浦湾を挟んで、同基地を望む丘に立つカヌチャ・ベイ・リゾートからシュワブの沿岸部を見ると、地元民が同湾を「ナービ」(鍋)と呼んでいるように、沿岸部は切り立ったリアス式海岸となっています。新聞などが報じる「大浦湾は水深が深く、大型艦船でも寄港できるふ頭建設に適している」ということがうなづけました。しかもふ頭は、原子力空母も着岸できるくらいの六百メートルの長さと言われています(神奈川県横須賀の米空母が着岸する十二号バースでさえ、拡張工事が終わっても四百二十メートルしかありません)。

 ご承知のとおり、シュワブの基地には武器・弾薬などの貯蔵施設があります。そして、今回の在日米軍の再編構想(いわゆる「中間報告」)では、米空軍嘉手納基地以南の沖縄中南部の基地・施設、具体的には補給廠(しょう)のキャンプ・キンザーと、日米間で返還合意をしている那覇軍港(機能)などをシュワブ沿岸部に集約することになっています。

 つまり、シュワブ沿岸部案は、@大型軍用機も発着可能な滑走路、A武器・弾薬などの兵たん施設、B大型艦船が帰港できる軍港ーーの三つの機能を持つ新基地構想なのです。

 そこで次の疑問です。なぜ、ここに新しい基地を造るのでしょうか。じつは、米軍は今、「シー・ベイシング」(海上基地化)計画に取り組んでいます。これは、中東、中央アジアを考えてもらえばよくわかるのですが、この地域は政情不安定な国が多く、陸上の航空基地を使用しずらくなっています。したがって、アフガン侵攻にしてもイラン戦争にしても海上から侵攻する作戦を展開しました。そして今、海上から侵攻すべく米海兵隊の配備の仕様を変えています。

 つまり、シュワブの新基地から中東あるいは東南アジアへ米海兵隊や米陸軍の特殊部隊などの兵員と武器などを載せた艦船を派遣しようというねらいがあるのは間違いありません。米陸軍第一軍団司令部を神奈川県キャンプ座間に移転させるのと併行して、自衛隊が新設する防衛庁長官直轄の「中央即応集団」(陸上自衛隊の特殊部隊と考えてけっこうです)を座間に併設する計画で、かつ、特殊部隊の母体となる陸上自衛隊の普通科連隊と米海兵隊との共同訓練が積み上げられていることを考え合わせると、追っつけ、本物の軍隊としに鍛え上げられた陸上自衛隊の特殊部隊もここから出撃することになるでしょう。

 米軍の再編計画では、在沖縄米海兵隊をグアムへ移転させる考えですが、これも「沖縄県民の基地負担の軽減」という甘い言葉にだまされたらいけません。「シー・ベーシング」の出撃拠点として、グアムに部隊を集約させようというのです。しかも米側は、グアムの基地の建設費用、約一兆円を日本側に負担させようというのですから、厚かましいのも度がすぎます。

 在日米軍の再編では、このほか沖縄の基地機能あるいは訓練を全国へ拡散させる考えですが、まさに沖縄の苦しみが全国へ拡大され、かつ、有事体制のもと、国民は米軍と自衛隊の海外への侵略に協力を強要されることになりかねません。日本全土を米軍の兵たん・出撃拠点としようという今回の計画を断じて許すわけにはいきません。

 一体、今回の世界規模の米軍再編のねらいは何でしょうか。私なりに思うには、米国が世界を政治的、軍事的、経済的に支配していこうという「中東民主化構想」がその背景にあると考えています。イラクのフセイン政権を転覆させたのは、世界第二の石油産出国であるイラクの石油権益を握れば、現在、サウジアラビアを盟主とする石油産出国会議(OPEC)の力をそぎ、世界の石油支配が可能となります。イラク戦争のねらいはここにあったと思います。さらに米国は今、中東や北アフリカの資源の権益を確保すべく、欧州駐留の米軍を再編し、また、同地域の軍事拠点としてフル稼働しているインド洋上のディエゴ・ガルシア島の米軍基地を補強する太平洋上のグアム基地の増強を急いでいます。

 しかし、グアムからディエゴを抜けるルートは、米軍基地が少なく、かつ、反米武装勢力が闊(かっ)歩するまさに「不安定の弧」なのです。したがって、米軍は東南アジアの各地に拠点基地を造ろうとやっきになっていますが、そのためにも出撃拠点としてグアムと日本の基地の機能強化をはかろうとしているというのが、在日米軍再編の目的ではないでしょうか。同時に、在日米軍をスリム化して、東アジアの軍事プレゼンスの役目は自衛隊に担わせようというのでしょう、米軍と自衛隊の一体化がをいっきに進められています。北朝鮮や中国の「脅威」はそのための口実にすぎません。

 米軍再編のこの機を逃さず、沖縄の地から戦争をしない、させないという平和憲法をじゅん守させる広範な国民の声を盛り上げて、戦争策動をやめさせようではありませんか。