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沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック |
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『一坪反戦通信』 |
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第174号(2006年1月15日発行) |
政府のトップだけの秘密外交で決定——辺野古実行委が外務・防衛・環境行政を追及——一坪関東ブロックなど32団体で構成する辺野古実行委員会では、沖縄県民不在の日米合意による辺野古崎への普天間移設について政府の各機関に抗議・申入れを行いました。この抗議・申入れに対して、外務省は「普天間移設先を沖縄県外にすることは念頭にはおいて日米交渉したものの、米軍の抑止力を考慮して具体的な移設先の提案はしなかった」と経過を明らかにしました。また移設先での反対運動封じこめのための「特措法制定は考えていない」と明言しました。 また防衛庁・防衛施設庁は「日米交渉の具体的内容の詳細については対米関係もあり(明らかにするのは)控えさせていただく」と日米協議を国民に対して機密扱いしました。辺野古沖が現実的だとして来たこれまでの「閣議決定」については、なんと「環境問題など様々な問題が浮上、各省で打開策を検討」せざるをえなくなったと発言しました。今回合意した辺野古崎は「工期の短縮で移設に寄与でき、辺野古沖の藻場(もば)への影響を小さくできるため」決まった、とまるで他人ごとみたいに経過説明しました。夜間作業も「問題ない」、辺野古沖が「ベストだ」と言っていたではないですか?! さらに環境省は、辺野古沖の現計画が進まなかったのは「ジュゴンへの影響が大きな要素だった」と認めました。環境省は今回の日米協議に具体的に関与はしなかったものの、今回の合意は環境省による広域ジュゴン調査結果などを使って(こそ)実現したものだ、と明らかにしました。 確定はしていないのか? これら政府三省のいずれでも、日米協議と合意が国民に詳細を明らかにしてなされたものではなく、秘密外交で勝手に決めたことが明らかになりました。これでは移設先とされたすべての地元で反対運動がいま起きているのは当然です。 しかも今回の辺野古崎移設合意は、これまでの辺野古沖計画との関係があいまいです。日米協議に直接関与しなかったという環境省も、外務・防衛とは政府として一体だとして「今回の辺野古崎移設は辺野古沖計画=99年の閣議決定を覆して新たに確定した計画ではない」とさかんに弁解。そう言っておきながら、辺野古崎についての環境アセスは辺野古沖とは場所を変えたのだから「当然やり直しだ」、「ゼロから行う」というのです。 去る11月の閣議決定では「合意推進」とされているのに、いったいどうなっているのでしょう? 防衛庁・防衛施設庁に至ってはまったく歯切れが悪く、辺野古沖ボーリング調査も「一時中止している」だけなどと発言しました。移設先の地元住民に合意とりつけが困難なため、ズバリ「辺野古崎に決定だ」と言えないのでしょう。 またこの抗議・申入れで、今回の合意が三省とも「中間報告」としてはいたものの、そこもあいまいでした。外務省は「中間報告というのは合意文書にはないことば」だと発言。実行委員会側では「ではマス・コミが勝手に使っているだけか?」と質すと、「そういうわけでもない」と回答。防衛庁・防衛施設庁もこの点ははっきりしていませんでした。はっきりしているのは防衛・外務のどちらも、日米間で調整中だが大筋変更はない——とする点でした。 特措法で抵抗をつぶすのか? 外務省は沖縄県外移設も念頭には置いて日米協議したと発言しましたが完全にインチキです。米軍の抑止力ばかり念頭において、県外移設の具体的提案すらしなかったのです。提案もしないのですから、検討されることもなかったわけです。 「初めから『県外ありき』というわけにはいかなかった」などと言っていますが、ウソです。提案もしないのですから、初めから終わりまで「県外移設」はなかったのです。協議に臨んだ防衛庁長官が自ら「県外移設は検討しなかった」と言っているのだから間違いありません。 協議の後になってから「長官、それは記憶違いでは?」と言われたようだが、事実は変更されようがありません。 「辺野古の能力は維持されなければならない」、「沖縄には地理的な重要性もある」、軍事的に「不可分なものだから総合的に判断した」などと私たち実行委員会に説明している通り、初めからこれら「能力」、「地理」、「不可分」ありきで協議に臨んだのが実際のところに違いありません。 また沖縄県知事の公有水面使用権限を、新規の特措法制定で中央政府のみができるようにしようとすることについては、外務・防衛の間で微妙な違いがありました。特措法制定は考えていない、今後も考えない、大臣も表明したとおりだ——と外務省は回答。 他方、防衛庁・防衛施設庁は「移設先の地元合意が取りつけができなかった時のことで特措法制定の報道もあった。外務省が制定はないと言ったそうだが、政府側としてはまだ検討していない」と回答しました。後者は地元が合意しなかった場合は制定もありうる、と示唆したものです。 現実にはすべての移設先で反対の声が上がっています。地元の合意が得られなかった場合、新規の特措法制定で地方の「抵抗勢力」をつぶしてしまう必要があることを防衛庁・防衛施設庁は念頭においているのです。ただ、「初めから『特措法ありき』」では地元の反感に火をつけるようなものだから、当面は回避しているに過ぎません。 抗議・申入れで実行委員会は国民不在・米国奉仕の外交を強く批判し、辺野古崎移設も必ずや崩壊すると通告し、日米合意撤回を要求しました。 なお外務省に対して実行委員会は追加申入れをして「(1)沖縄県知事が昨日もテレビで「容認できない」と言っていることを知っているか?(2)地元の行政委員会、13区がすべて反対していることを知っているか?(3)今日、沖縄県議会が『沿岸案は受け入れられない』と全会一致で決議する段取りになっていることを知っているか?(4)ラムズフェルド国防長官が『協議は終わった』と言っているので、もう協議はできないのではないか?(5)地元説得は防衛施設庁のしごとで、外務省は関係ないのではないか?」と迫りました。 これに対して外務省は(1)から(3)については報道等で知っている。(4)については現在政府で調整中である。(5)についてはたしかに役割分担であるが、外務省に関係あるところでは(地元説得に)引き続き関与していく——と回答しました。 また環境省が今回の日米合意は広域ジュゴン調査結果などの資料を使って決定されたとしている件については、特に環境省が資料を提供したことで辺野古崎移設が決定したわけではないと思われます。たかだか外務省のHP等で公開された調査資料も使われたという程度にとどまるものです。 (Y)
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