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『一坪反戦通信』
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 第173号(2005年11月28日発行)

沖縄闘争の普遍的意義

――軍事革命・米軍再編・戦争文明の危機を問う

浦田賢治

 在日米軍再編の中間報告が発表された直後に、沖縄県民会議(山内徳信共同代表ら)は、再編協議の日米合意案撤回と、普天間飛行場の即時閉鎖・撤去、また辺野古への新基地建設断念、さらに、あらゆる基地のたらい回しに反対という総決起大会の決議を採択した。この要求は、アメリカ帝国の世界軍事基地の再編に対する異議申し立てである。この意味で、基地住民にとって地球規模の普遍性をもった闘争である。

 その数百三十ヶ国に約七百も存在するというアメリカ帝国の海外基地は、その規模も価値も部外者には定かでない。この問題での国防総省公式情報(例えば二〇〇三会計年度海外基地情報)は情報操作のために造られており、しかも二〇〇四年度の情報は部内者のパスワードがなければ、ウェブサイトで開くこともできない。他方米国領内に六千あるという軍事施設の閉鎖・再編委員会の情報は、二〇〇五年度について詳細で、その計画実施の差し止めを認めた連邦地方裁判所の決定さえも公開されている。米国の内と外で、「情報差別」はかくも顕著である。

 だがしかし、在日米軍再編の背後にあるのは、アメリカの「軍事革命」理論であることは確かである。これはランド研究所(Rand Corporation)などで造られてきた、将来の戦争のあり方を想定した理論であって、現代の情報技術と交信技術、そして宇宙衛星システムに見られる三つの技術開発と密接に繋がっている。これが米軍事体制の転換とそのシステム全体の統合に関する議論を呼び起こしてきた。いわば現代軍事の変容の物質的な起動力といっても良いだろう。こうして、広大な土地と大きな施設と多数の人的資源を、世界中に貼り付けておく従来の編制を改めて、いま、「イラク戦争」で実験されているように、「有事に」即時に対応できる攻撃部隊を編成するという言うのである。沖縄ばかりでなく、横須賀、横田、座間なども問題になっている、こうした米軍再編論というのは、現代の戦争文明の新たな様相である。

 だが、ともう一度言えば、いま、「イラク戦争」で、違法な占領に抗う人民の武装抵抗行動が持続している。このことに見られるように、機械優位の軍事革命の限界が、イギリスの国際問題研究所の報告でも指摘されている。あえて言えば、アメリカ帝国の経営危機とグローバリズムの強化の限界が、沖縄でもあらわになっているということではなかろうか。

(早稲田大学名誉教授・憲法専攻 二〇〇五年十一月二十六日脱稿)