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『一坪反戦通信』
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 第167号(2005年5月28日発行)


米軍再編と

韓国の

反戦反(米軍)基地闘争

日韓ネット・尾沢孝司



★五・一五韓国でも人間の鎖
 「エッサ!エッサ!ウォー!」と掛け声と共に金網を太いロープで引っ張ると、瞬く間に米軍基地を囲む二重の金網が、およそ一キロメートルに亘り引き倒された。デモ隊の一部が基地の中に入り戦闘警察と激しく対峙した。

 五月十五日、沖縄・普天間基地を包囲する人間の鎖が成功した日、奇しくも韓国でも、米軍基地を囲む人間の鎖が行われた。この日、五・一八光州民衆抗争二十五周年精神継承国民大会の後段の取り組みとして光州ソンジョン里にある米軍第一戦闘飛行団基地の正門前で、一万人が参加して、パトリオット米軍基地閉鎖と在韓米軍撤退を求めて決意大会が開かれ、その後基地を包囲する人間の鎖が行われた。冒頭の基地内への進入はその時の一場面だ。

 米軍は、海外基地の再編の一環として、烏山、平澤、群山、光州など韓国の西海岸沿いの米軍基地に、先制攻撃戦略の盾の役割を果たすパトリオットミサイルを合計六四基配備した。その後方の日本海には、スタンダードミサイルMP-3搭載可能なイージス艦が横須賀を母港として配備された。この光州空軍基地には新型のPAC3とPAC2合わせて十六基配置された。朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)更には中国を狙ったパトリオットなどMD防衛網(MDベルト地帯)の構築は戦争の脅威を一層高めるものだとして、各地で配備に反対する闘いが行われている。光州では昨年十月、二日間に亘る座り込み闘争で配備が一カ月延期された。

★米軍再編と在韓米軍の縮小(地図参照)
 改正LPP(連合土地管理計画)によると、三十四の駐韓米軍基地千二百十八万坪と三つの訓練場三千九百四十九万坪など、五千百六十七万坪を韓国側に返還し、平沢、烏山(オサン)一帯の新規敷地三百四十九万坪と、金泉(キムチョン)三万坪、浦項(ポハン)十万坪を合わせ、三百六十二万坪を供与される。 これによって駐韓米軍の再配備計画が完了する時点の韓国側の供与地は、現在の七千三百二十万坪の三十四%水準(二千五百十五万坪)に減ることになる。基地数も現在の四十一カ所から十七カ所に縮小運営される。冬ソナの舞台なって有名になった春川のヘリ部隊の基地も返還される予定だ。

★在韓米軍の縮小は民衆の闘いの成果であり、先制攻撃戦略の一環
 このような韓国の米軍再編、基地と兵員の縮小は、三年前の米軍装甲車による女子中学生のひき殺し事件を契機に、全国津々浦々で展開され一大国民運動となったキャンドルデモに象徴される反米闘争の高揚に押された民衆の勝利である。しかし、同時に「歓迎されないところに基地は置かない」というアメリカの対応は、非武装地帯に張り付いた米軍が朝鮮からの第一撃を避け長距離ロケット砲の射程外に退避し、韓国軍が前面に立てて、米軍は空海軍を増強し、対北先制攻撃をよりしやすくするための措置でもある。現在アメリカは「コンプラン8022」という核施設への先制攻撃計画を作っている。核実験説はこの計画に関連して出された疑いもある。

 このような韓国の米軍再編の中心は、在韓陸軍第二師団と在韓米軍司令部の龍山基地の烏山・平澤地域への移転である。

★平澤の闘いの現状は
 平澤市は四五一二・三一平方キロメートル、人口三六万二千人の市だ。平澤には、二百十万坪の烏山空軍基地(K55・松炭基地)と百五十万坪のキャンプ・ハンフリー(K6・ピョンソン基地)など五つの米軍基地四百五十七万八千坪、一万二千九十一人の米軍が駐屯している。

 平澤地域への基地の移転・拡張に反対する闘いは現在、まず地元のピョンソン地域の住民自身の組織として『米軍基地拡張に反対するピョンソン住民対策委員会』が作られ、一方、九十年代より平澤市の諸市民社会団体によって『米軍基地拡張反対平澤対策委員会』(常任共同代表 金容漢 聖公会大教授)が作られ現在十六団体が参加している。また米軍再編の焦点になっている平澤の闘いを全国的な闘いにしようと、『平澤米軍基地拡張阻止汎国民対策委員会』が百十五団体が参加して今年二月に結成され、これらの団体は連携して活発に活動している。

 現在の闘争の局面は、当局による農地の調査・測量の阻止にあり、三里塚や辺野古と同じように、地域に当局を一歩も入れない厳しい・緊張した闘いが展開されている。特に地元の住民組織であるペンソン住民対委員会は、昼は農作業をしながら当局が住民を訪ねることを阻止し、夜は連日キャンドル集会を開き、団結を固めている。

★平澤住民からの訴え
 平澤の現状について以下のようにペンソン対策委から便りが届いている。
 
 韓国政府と駐韓米軍の合意によって、平澤ではペンソン米陸軍基地周辺二百八十五万坪とソタン米空軍基地周辺六十四万坪が拡張される計画です。ソタン地域では反対派組織の住民対策委が作られましたが、活動を続けられずに現在はやめています。ペンソン地域では、「米軍基地拡張に反対するペンソン住民対策委員会」が作られ、今でも頑張って闘い続けています。

 ペンソン地域二百八十五万坪は、主に田畑です。ここにはデチュ里とドドゥ二里の村があります。ここの農民と村の住民は、土地と家を奪われようとしています。デチュ里とドドゥ二里の村民の中には反対する人もいるし、一部の人は賛成に回り、政府と反対派の住民を抱え込んで賛成派に作り変えようとする人もいます。

 政府は現在、土地を買収するために土地調査を進めています。反対派の住民は調査そのものにも反対していて、今日も土地測量に来た職員と闘っています。

 政府の攻撃も激しいです。それで、前回の沖縄普天間基地への包囲行動にも参加できませんでした。昼間は農作業もしなければなりませんし、夕方はロウソクデモをやって、政府が測量に来ると反対しなければなりません。賛成派の住民が反対派の住民に会うことも防がなければなりませんし、やるべきことがあまりにもたくさんあります。こんな中で住民も緊張していますし、ストレスがたまっています。

 政府は今年中に、すべての土地と家を買収すると言っています。政府が買収してしまえば闘う方法がなくなるので、今は何としてもこれを防がねばなりません。

 それでとても緊張しているのです。状況がこのように困難だということを、どうかご理解ください。

★沖縄・辺野古、韓国・平澤と連帯し米軍基地を阻止しよう

 日韓ネットも参加した『朝鮮侵略一〇〇年、朝鮮解放・分断六〇年日韓条約から四〇年を問う二〇〇五年運動実行委員会』の主催で、日韓条約締結から四〇年目にあたる六月に『東北アジアの平和と・歴史認識・を問う六・一八集会』が開かれる。この集会に平澤から住民対策委員会の組織局長のシン・ジョンウォン(デチュ里「セマウル指導者」[*訳注:町内会会長のようなもの])とチョン・テファ(「デチュ里老人会」会長)を招き報告をお願いしています。多くの皆さん参加をお願いします。

日にち:    6月18日(日)
デ  モ:    午後3:30集合 4:00集会 4:30出発
集合場所:    南池袋公園
集  会:    5:30開場 6時開始
場  所:    豊島区民センター6階文化ホール