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沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック
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『一坪反戦通信』
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 第166号(2005年4月28日発行)

私の意見

日本よ、北欧とコスタリカに学べ


 日本では、ぼんやりとしていてもよくわかるニュースの傾向として、まず、「安全保障・防衛」の問題がある。ぼんやりとしていてもよくテレビ等から飛び込んでくるので、なじみやすい言葉…例えば、「防衛」、「安全保障」、「日米同盟が大事だ」「テロだ」「有事だ」「危機管理だ」「迎撃ミサイルだ」等という言葉を聞いているうちに、ついに一連の有事関連法制が成立してしまった。

 ところが、ぼんやりとしているとなかなかわからない事実、それは、「テロだ、有事だ、危機管理だ、迎撃ミサイルだ、」等と、軍事的手段に訴えなくてもすむように、政治家や外交官が本来なすべき努力を普段からしているのかどうか、流すべき汗を流しているかどうかということがなかなか伝わって来ない。憲法で平和主義を謳い、戦争を放棄している私達の国目本の政治家や外交官が、非軍事的手段による本当の平和の構築を目標として、普段なすべきことをきちんとしているかどうかということをあいまいにしたまま、現状のように、安易に軍事路線だけを突っ走り、その結果としていつでも戦争ができるような体制を構築することが許されるものだろうか?

 1990年代の湾岸戦争以来、政府・与党がやってきたことといえば、とにかく、日米関係を機軸にその場しのぎの対応外交、対症療法外交、そして、「とにかく、日米関係が一番大事だ。いざというときに、自衛隊が海外で使えなくてはだめだ。国際貢献は、やっぱり自衛隊だ。時代が変わったので、憲法も時代に合うように変えなくてはならない」という巧みな世論工作。しかし、ちょっと待て。私達は騙されないぞ。私達は、軍事論議は聞きたくない。軍事ではなく、非軍事の話を聞きたいのだ。対応外交の話もたくさんだ。対応外交ではなく、平和憲法の国・日本に一番似つかわしい創造外交をして貰いたいのだ。その辺をあいまいにしたまま、「有事だ。自衛隊だ。米軍のお通りだ。国民保護だ。日本人なら、協力せい」等と、踊らされたくはない。

 ちなみに、ノルウェイは、政府とNGOの連携で世界各地の武力紛争当事者と接触し、対話の促進による紛争の終結に一定の成果を収めているではないか。ノルウェイの平和的手段による紛争終結と平和構築の活動実績は、パレスチナ・イスラエル問題、クロアチア・ユーゴスラビア紛争、その他スリランカ、インドネシア、フィリピン、グワテマラ、コロンビア、キプロス、ソマリア、スーダン等、広範囲にわたっている。その他、ノルウェイと共にスウェーデンやオランダ等には紛争の未然予防と解決を実践的な学問として扱ういくつかの大学や研究機関があり、従来型の、軍事力に依存する抑止力重視の考え方ではなく、紛争の原因となる極度の貧困、政治的抑圧、差別等の解消が紛争を未然に防止するという考え方に基づいて予防外交と紛争解決の問題に取り組んでいる。

 また、中米の小国コスタリカは、国土面積が臼本の13.5パーセント、国民一人当たりの生産額が日本の10.7パーセント(2002年の数字)という小さな国ではあるが、その1949年憲法で常備軍を廃止し、1980年代には隣国・ニカラグァでの内戦の激化という大ピンチの最中にも拘らず、「非武装永世中立宣言」を発し、大国アメリカの干渉にも屈せず、内乱に明け暮れる周辺国に働きかけて平和と安定を勝ち取っている。国土面積は小さいが、常備軍を賄わなくてもよいメリットを生かし、教育や福祉、自然保護などほかの政策に国家予算の相当部分を充てている。コスタリカは文字通りの平和大国、人権大国である。ちなみに、現コスタリカ憲法は、国家予算の16.8パーセント以上の教育費充当を目標規定として掲げており、実際にも教育費支出は20%〜40%で推移している。

 私は、日本、日本人がこれらの事実から学ぶべきことは多いと思うが、果たして、これらの事実がどれだけ多くの国民に浸透しているだろうか? 私は、これらの事実が国民的議輪として検討されることのないまま、「平和」→「防衛」→「日米協力」→「有事」という具合に、始めから偏頗な論理や矮小化された概念に沿って突っ走った結果、いつ本格的な戦争に突入してもおかしくないような状況に立ち至ったことに対し、強く、強く異議を唱えたい。

 以上、私流の考え方に基づいて、一般論的な観点から「望ましい外交論」を述べさせて頂いたが、個別の問題、例えば、北朝鮮のいわゆる核問題、拉致問題、国際刑事裁判所条約の問題等については、また、改めて論じたいと思う。
(会員 NH)