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『一坪反戦通信』
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 第165号(2005年3月28日発行)

ひんぷん


「市民共同行動」からの報告

崎原 盛秀

 那覇防衛施設局による「辺野古新基地建設」を前提としたボーリング地質調査の辺野古現地の阻止行動と連携し、那覇において県民が広く参加でき、多様な行動のできる場を作ることと、基地建設、自然破壊を進める稲嶺県政、那覇防衛施設局等への抗議・要請を行うことを目的に市民共同行動は結成された。参加団体は、平和市民連絡会、基地軍隊を許さない行動する女たちの会、琉球諸島を世界遺産にする会、泡瀬干潟を守る会、カマドゥ小達の会、アジェンダ21研究会の六団体。その中には、平和市民連絡会のようにいくつかの市民団体で構成されたものもあり、反基地・平和・人権・環境など、沖縄の市民運動の多くが参加している。そして最初に取り組まれた行動が、昨年一二月一〇日から二〇日まで(十一日間)の県民広場での行動だった。

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〈施設局職員と作業員による暴力〉
 昨年九月からボーリング調査を強行しようとする那覇防衛施設局とその阻止を目指す基地建設反対住民との対立は、日々激しさを増し、一一月以降は、単管櫓の設置をめぐっての攻防は一段と熾烈なものとなり、職員・作業員による暴力事件が数多く発生した。一一月一七日には、単管足場設置に「抗議する反対派住民のカヌーに体当たりして転覆をはかり、海中に潜水して抗議する住民に暴力を加え、ウエイトを奪ったり、マスクをはがすなど生命に対する危険を生じる様々な行為を繰り返し」(一一月二二日弁護団抗議声明)住民の生命身体にも関わる侵害行為を起こしている。一二月七日には「女性住民一人が作業員によって高所から調査活動船の上に転落させられ、全治十四日間の頭部打撲」(一二月九日弁護団声明)の重大な事件も起きている。また、一二月一〇日の県民広場座り込み初日には、一二月七日と同じ場所で住民一人が、作業員によって単管足場の上から暴力的に突き落とされ、頭を強く打ち、一時気を失い、救急車で病院に運ばれる事件も起きている。それに加え、スパット台船によるサンゴ礁の破壊も発覚した。海上基地建設強行突破は自然破壊と暴力行為を生み、県民の怒りを孕み、海上基地建設阻止の声は日々高まりを見せた。


〈座り込み第一弾は署名と抗議・要請〉
 昨年の八月一三日、沖国大構内に米軍大型ヘリが墜落し、県民に大きな衝撃を与えた。その後の県民世論は、八割ないし九割が辺野古海上基地反対となって表れている。それは県民広場での「ボーリング調査の中止を求める署名」運動にも表れている。道行く人々がテーブルに立ち寄って署名をする。「ありがとう」とお礼をいう人、「ご苦労さん」と激励する人、側の辺野古支援カンパ箱には、毎日のように一万円札が必ずといっていいほど入っている。若者から年配の方々、男女の別なく署名がなされる状況に、県民の関心がうかがえる。これまで実施した署名行動とは全く違った沖縄の良心がそこにあった。意識の高まりが感じられた。十日間の署名の集計は四千四百七十三名、集まったカンパが実に七六万七千四百五十円。

 署名行動のかたわら、県と施設局にそれぞれ二回ほど抗議と要請を行う。抗議は、住民への暴力とサンゴ破壊。要請は、ボーリング調査の即時中止である。県文化環境部長が渋々交渉に登場した。曰く「県としては環境保全に厳しい注文をつけており、環境に著しい影響が及ぶようなことが起きたら報告を求め改善を指示する。県としては現場での調査は考えていない」等々、環境保全・対策に主体的対応が全く見られない。
 IUCNの勧告としての辺野古新基地建設への懸念に対しても「日米へ環境への配慮を求めたもの」として、県行政とは全く関係がないとの無責任な態度を示す。無能無策の県の環境行政をそこに見、あきれると同時にやり場のない怒りを覚えた。

 那覇防衛施設局にも二度尋ねた。暴力事件に対して事実関係を否定し、ひとりでに落ちたなど、ふざけた答弁には怒りの抗議が相次ぎ、再度調査することを約束。サンゴの破壊についてはその事実を認めたものの何の責任も感じないのか、ボーリング調査の中止を求めると、本庁からの指示がない限り、調査を続行する意思を示すなど許しがたい答弁に終始している。これからも厳しい闘いが予想されると同時に大衆的運動の構築を急がなければならないことを思った。


〈普天間基地は即時閉鎖、辺野古新基地建設断念は県民総体の意思〉

座り込み第二弾は、二月二一日から四日間行われた。米軍再編に向け、沖縄米軍基地の軽減要請のため稲嶺知事の訪米が報道される。その目的が「普天間基地の即時閉鎖と辺野古新基地建設の断念」であるべきなのに、県の「素案」には見当たらない。知事は「辺野古に固執しない」の発言の一方では「日米間で合意する新たな代替案が示されない段階で行政として辺野古移設を進めざるを得ない」とも言う。その言葉は矛盾し、県民世論にも背を向けている。このままだと誤ったサインを日米に伝えることになる。そのような危機感から座り込みの取り組みがなされた。

 まず、二月一〇日には、七項目の公開質問状を提出、座り込み期間中での文書回答を求める。座り込み四日間は最悪の天気。風雨にさらされ、行動に支障。それでも「辺野古新基地建設」の撤回を求める署名は千五百名余、カンパも約一五万円。前回同様、県民の関心と熱意は変わることなく高い。

 公開質問状に対する回答は政治的に引き延ばされ、三月四日やっと文書が届いた。内容はマスコミで報道されたものとほぼ同一。但し、私たちの質問にはまともに答えていない。

 知事訪米の日程と要請の内容が明らかになっても反基地の運動運動側からの危機感が伝わらない。沖縄の意思を正しく伝えるためには、県民大会の開催を、と、野党各会派をまわって要請行動を市民共同行動として展開。各会派とも異見は無いものの、積極的姿勢も見られない。知事が何の抵抗もなくすんなりと渡米するとなるとその姿勢には、大きな不安が残る。


 〈市民共同行動の成果と反省〉
 私たちの行動に一定の成果があったとすれば、次の諸事柄であろう(毎日の反省会の中から拾い集めたもの)。(1)行動参加者が各日とも三十五、六名程度あり、新顔の参加者が多く見かけられたこと。(2)それらの人々が県行動、集会等に呼びかけたら数多く参加してくれたこと。(3)署名・カンパ等に見られるように多くの市民に訴え、しかも大きな共感を得たこと。(4)反基地運動への市民の関心を知り、運動への自信と展望を抱くことができたこと。(5)市民運動の手軽さと束縛されない自由さの中に運動の大切さと核心を見出したこと等が挙げられる。
 また、反省点としては、(1)パネルやビデオを生かし得なかったこと。㈪知事及び三役との交渉が実現できなく、真意を聞く(言う)ことができなかったこと。(2)公開質問状回答への再質問の時間のないまま、知事訪米を許してしまったこと。㈬広く県民に呼びかけて行動を共にすることができなかったこと等が挙げられる。

 なお、一次の署名は二月一〇日、知事公室長に手交。カンパは、泡瀬干潟を守る会に十万円、ヘリ基地反対協に六十万円余を手交。二次署名は三月七日に手交、カンパは近日中に手交予定。