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沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック
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『一坪反戦通信』
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 第165号(2005年3月28日発行)

抗 議 声 明


 本日、那覇地方裁判所は、知花昌一、古波蔵豊を原告とする米軍用地強制使用取消請求事件について、原告らの請求を棄却する旨の判決を言渡した。

 原告知花昌一の所有する土地は読谷村字波平にある米軍楚辺通信施設内の一筆であり、原告古波蔵豊の所有する土地は米軍牧港補給地区内の一筆である。いずれの土地も沖縄復帰後に前所有者において国と土地の賃貸借が交わされていたものであったが、前所有者から土地の譲渡をうけた原告両名が、戦争を任務とする軍隊のためには一坪たりとも自分の土地を使用させることはできないとする信念にもとづいて、国との土地賃貸借契約を締結することを拒否したため、国、那覇防衛施設局が強制使用の手続を執り、平成12年6月27日使用認定がなされ、ついで平成13年6月28日使用裁決がなされたものである。

 この裁判は、強制使用のための使用認定及び使用裁決が日本国憲法の精神に背反し、土地収用法、米軍用地特措法に違反するとしてその取消を求めたものである。原告らは、この裁判の中で楚辺通信施設及び牧港補給施設が果たしてきた軍事的役割を明らかにし、これらの施設と一体となって機能している在沖米軍基地の実体、とりわけ安保条約の枠を越えて世界的規模で展開されている在沖米軍の実体を明らかにすべく訴訟活動をした。そして、これを具体的に実証すべく上記2筆の土地の現場検証の申立をした。本件訴訟の最大の争点は、これらの土地について米軍用地特措法第3条に定める「必要性」「適正且つ合理的」要件の存否であり、そのためには対象土地の存する施設の状況、施設と対象土地との関連性、対象土地の使用状況を現地において検証することは不可欠である。しかるに裁判所は原告らのこの申請を却下して審理を終結させ、原告らの請求を棄却する不当な判決を言い渡した。

 私たちはこれまで、沖縄の米軍基地のための強制使用の取消を求める数々の訴えを捷起してきたが、これらの裁判は、軍事力によっては民衆の平和と安全は保障されないとの沖縄戦の教訓を具現化し、米軍基地を押しつけられた県民の抵抗のシンボルとして、かつ良心の証として闘われた裁判である。これらの裁判の中で、判決を迎えたのはこの裁判が初めてである。それだけに判決に対する期待も少なくないものがあった。しかるに今回の判決は、原告ら、反戦地主及び、多くの県民の期待に反し、安保条約を絶対視した国の主張に迎合したものといわざるをえない。

 土地収用法制や米軍用地特措法が改悪された強制使用手続の中で、地主の権利が制限され有事の際の緊急使用も可能となった現在、地権者の権利保護手続を中心とする土地収用法の体系が大きく崩され、起業者(国)の必要性のみが強調される傾向が露骨になっている。本判決もこのような流れに沿うものであり、断じて容認されるものではない。

 私たちは目前の判決の結果に一喜一憂することなく、平和を愛する多くの県民と連帯して、歴史の未来を切り開くために、今後とも米軍への土地提供を拒否する闘いを執拗かつ頑固に闘い続けて行くことを決意し、この判決に強く抗議するものである。

2005年3月29日

原告団、知花昌一、古波蔵豊 
反 戦 地 主 会 
沖縄軍用地違憲訴訟支援県民共闘会議 
反戦地主弁護団