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『一坪反戦通信』
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 第163号(2005年1月28日発行)

ひんぷん


新基地建設計画撤回へ

 さあ!今年もがんばろう!

本永春樹    


 明けましておめでとうございます。
 
 昨年は辺野古新基地建設阻止の闘いが新たな局面を迎えた年でした。辺野古現地では四月一九日から座り込み闘争が開始され、九月からは海上での調査阻止行動も始まり粘り強い闘いが継続しています。この闘いに対して、県内外から続々と支援が寄せられています。那覇防衛施設局は、現時点ではアリバイ的に調査船を出航させることで、調査が「粛々」と進められているとの外観を演出していますが、「ボーリングの実施」には着手できずにいます。これは辺野古現地での体を張った闘いと全国的な支援の成果です。

 思い起こしてみれば、名護市民投票以降の国による「振興策」=「利益誘導政策」が着実に沖縄の政治・経済を取り込んでいく中で、新基地受け入れを掲げた岸本名護市長や稲嶺県知事の誕生は、ややもすると沖縄社会全体が新基地建設を容認しているかのように受け取られかねない危険性を孕んでいました。しかし、そのような状況下にも関わらず、県民は常に辺野古新基地建設反対を貫き通してきました(九七年九月反対五五%・賛成二二%、九九年一二月反対四五%・賛成三二%、〇四年九月反対八一%・賛成一〇%、いずれも沖縄タイムスの世論調査)。

 昨年七月の参院選では、新基地建設反対を掲げる糸数慶子さんが圧倒的勝利を勝ち取り、沖縄県や日本政府を大いに驚愕させました。また、八月の米海兵隊CH53ヘリ墜落事故を契機に、圧倒的多数の県民が基地のたらい回しでは問題は解決しないことを再認識しました。

 既にアメリカ政府は、「環境問題や政治的及び財政的な面で現計画は実現困難」との見方に傾いています。今後日米間で在日米軍基地の再編協議が進められていきますが、今後、普天間基地や辺野古新基地計画に関して現状とは異なる新たな展開がありうるかもしれません。しかしアメリカ政府のことですから、再編にあたっては九六年のSACO合意時のように日本側に何らかの見返りを求めてくることが強く懸念されます。いずれにせよ米軍基地再編問題は今後とも予断を許しません。
 

 以上のような状況にも関わらず、今なお、日本政府・沖縄県・名護市は「SACO合意を堅持し移設作業を加速化させる」としています。稲嶺知事は、「辺野古には拘らない」と言う一方で「国側からの代案がない限り現計画を着実に実行する」とし、「振興策」と一体化した現計画に喰らいついて離さない姿勢を堅持しています。日本政府も「現地沖縄県の要請」により新基地建設を推進していると繰り返し明言しており、「振興策」を継続することで現計画を維持できると今のところは考えているようです。日本政府と沖縄県・名護市がお互いに責任を意図的に相手方に押し付けることで、責任の所在をうやむやにし、県民を欺きながら現計画を推進していく構造となっています。

 このような日本政府と沖縄県・名護市の癒着を切り崩し、那覇防衛施設局と真っ向から切り結ぶ辺野古現地の闘いを側面から支え、辺野古新基地計画を断念させるためにはどうしたらよいのでしょうか。一見日本政府と強固な関係で結ばれたように見える沖縄県も、よく見てみると弱点があるようです。ヘリ墜落事故以降、沖縄県は県民世論との圧倒的な乖離を抱えながら現計画を推進せざるを得ず、この問題に関して稲嶺知事は大変不安定な行政運営を強いられています。特にスパット台船によるさんご礁破壊事故以降もボーリング調査を容認し続ける沖縄県に対し、県内外はもとより国外からも激しい批判が集中しています。このことは岸本名護市長にも言えます。昔から「水に落ちた犬を打つ」といいますが、いまこそ「水に落ちた犬を打つ」時ではないでしょうか。もちろん「水に落ちた犬」とは稲嶺知事であり、岸本名護市長です。
 
 さて、前置きが長くなりましたが、「水に落ちた犬」を打つべく、昨年末にユニークな取り組みがありましたので報告します。
 

辺野古新基地建設を許さない座り込み行動
 
 那覇市県庁前に「県民広場」がありますが、この場所で一二月一〇日から二〇日の十一日間、「辺野古新基地建設を許さない座り込み行動」を実施しました。主催は「辺野古新基地建設を許さない市民共同行動」です。この取り組みは、ボーリング調査阻止を勝ち取るため、以下の県内市民団体が結集した共同行動です(アジェンダ21研究会、泡瀬干潟を守る連絡会、沖縄平和市民連絡会、かまどぅ小たちの集い、基地・軍隊を許さない行動する女たちの会、琉球諸島を世界遺産にする連絡会)。

 県民広場に大きなテントを設置し、座り込みとマイクアピール・チラシ配布を行い、同時に「稲嶺知事はボーリング調査を即時中止させよ!」「海殺しを許すな!」等々と大書された横幕を広場の各所に張り出し、また、スパット台船が破壊したさんご礁の写真やビデオ映像なども放映しました。多くの方々がサンゴ破壊の実態に改めて驚きと怒りをあらわにし、署名やカンパに進んでご協力いただきました。座り込み期間中、四千四百七十三名の署名と七十六万七千四百五十円のカンパが寄せられました。

 短期間の取り組みにも関わらず、多数の署名と多額のカンパが集まったことは、これまでの私たちの運動にはなかったことで、参加者一同驚きを隠せませんでした。署名やカンパにご協力いただいた方々は、文字通りの老若男女で、しかも地元の方々だけではなく、観光客や修学旅行の生徒の皆さんにも多数ご協力いただきました。十一日間の行動を通して辺野古新基地建設に反対する人々の思いが強く伝わってきました。なお、広場からは県庁の六階(知事や三役執務室がある)がよく見えます。当然県庁六階からも広場がよく見えたことでしょう。
 

 一二月二七日、辺野古新基地建設を許さない市民共同行動のメンバー三〇名が署名交付のため県庁と那覇防衛施設局を訪れました。事前の申し入れにも関わらず、県は知事または三役による受け取りを拒否しました。那覇防衛施設局も同様な対応で、この日はいずれに対しても署名交付は行いませんでした。県に対しては、一月一三日、知事等による署名受け取り等を再度求め、五十名余で押しかけましたが、県は知事等による署名受け取りを再度拒否しました。民意に真っ向から向き合えない、不甲斐ない知事への怒りを参加者一同が共有した一日でした。今後は座り込みも辞さない姿勢で県や那覇防衛施設局に署名の受け取りを要求していきます。
 
 「沖縄の基地負担の軽減」を求めて、基地削減のための「県案」を携え稲嶺知事は一月下旬に訪米しますが、この「県案」には辺野古新基地計画の撤回が全く触れられていません。自ら最新鋭基地の建設を認めておきながら、その一方で「沖縄の基地負担の軽減」を要求するなんて……。こんな知事や県政は断じて許してはなりません。「水に落ちた犬」は徹底的に打つべし!です。
 
 今年こそは辺野古新基地建設計画を断念に追い込もうではありませんか。さあ!今年もがんばろう!