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『一坪反戦通信』
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 第160号(2004年9月28日発行)


普天間基地撤去・辺野古への海上基地建設阻止ボーリング調査を許さない9・25集会

主催:辺野古への海上基地建設・ボーリング調査を許さない実行委員会

 土曜日の夜、コスプレ少女少年達が行き交う渋谷の街に「沖縄の海を守ろう」「辺野古に基地はいらない」「米軍は沖縄から出て行け」「米軍は韓国から出て行け」「米軍はイラクから出て行け」のシュプレヒコールが響いた。

 9月9日、とうとうボーリング調査が着手されたことに対して、実行委員会は9月25日、 渋谷のハチ公前で街頭宣伝活動を行った後、抗議集会を宮下公園で5時から開催した。沖縄辺野古から座り込み責任者の一人である当山栄さんを招いて現地報告を受けた後、3団体からの連帯の挨拶、座り込み参加者の訴え、カンパの呼びかけ等があり、最後に4項目の行動提起がなされた。

「毎週月曜日午後6時半からの防衛施設庁抗議行動への参加。」「ボーリング調査への中止を求める署名活動。」「チャーター船へのカンパ。」「『辺野古の闘いの記録』ビデオ一巻〜三巻の購入呼びかけ(各千円)。」

 8月27日のヘリ墜落抗議集会の300人より更に増えた400人近いデモの隊列が、ジュゴンとヨッシーの家楽団の後に続いたのである。享楽の街、子供の街に成り果てた渋谷で、沖縄のことがどれだけ響いたであろうか。



座り込み現場からのアピール  当山 栄さん(平和市民連絡会)


 経過を概略説明しながら、述べていきます。95年に少女暴行事件が起きて、それに対する県民の怒りが爆発したわけですけれども、これを日米政府は普天間基地を返すかわりに辺野古に海上基地を作ると、条件付きでありました。これに対して名護市民投票で辺野古への海上基地建設を拒否したにもかかわらず、日米政府、特に日本政府はこれを無視し、稲嶺県政、そして岸本市長を使いながら着々と工事を進めてきました。

 長い闘いの中で、新たな息吹、切り口を開こうとして、県内におけるジュゴン保護団体とヘリ基地反対協、平和市民連絡会、4者でジュゴン監視団を立ち上げました。

 防衛施設局が、昨年11月末に沖縄県に対して辺野古の海の使用協議書を提出し、年明け早々、1月中旬からでもボーリング調査を始めるんじゃないかという状況でした。私たちはジュゴン監視団を中心に12月県議会、そして2月県議会を通して、県議の野党の皆さんと具体的な話しをし、議会における厳しい追及を開始し、同時に稲嶺県政に対する厳しい追及をする中で3月まで県の許可を引き延ばしてきました。

 ところが最終的には、4月7日に許可を出したために、那覇防衛施設局は4月19日に、午前5時過ぎですね、まだ暗いうちに施設局職員と業者が80名ぐらいで押しかけて来ました。私たちは、当初30名ぐらいでしたけど、緊急に連絡を取り合って、最終的には150名近く集まり、この防衛施設局の資材置き場建設、辺野古の漁民の船を使っての調査を阻止し、そして退却させてきました。それが闘いの火ぶたを切った日であります。

 それ以来、今日で160日の座り込み行動によって、具体的に工事を阻止してきたんですけども、その間、防衛施設局は32回にわたって押しかけてきました。代表者9名ですけど、背後にはどこかに大量の職員、事業者が待機しているという可能性もあるということで、絶えず緊張の中で継続してきたわけです。

 だんだん向こうが追い込まれてきて、とうとう座り込み144日目に座り込みを実力で排除するという情報が流れてきたわけですね。私たちは参加者を募り、日頃は100名程度の座り込み者が、前日では200名、当日には400名という形で多くの人が駆けつけてきました。彼らがきた場合に、厳然とスクラムを組んで座り込みをすると、非暴力に徹しながらも絶対に彼らをそこから一歩も通さんという決意で待機しました。

 私たちは、彼らが来たときにこういう事態になるだろうという話し合いもやりました。暴力的に頑強な機動隊によって、スクラムを組んでいる場合に、特に骨の細い女性ならば骨が折れるんじゃないかと。私たちは断固このボーリング調査を阻止するという硬い意思、にもかかわらず肉体的に弱いと。それでも頑張ると。こちらの闘う意思は非常に高く何者にも動じないと。そういう気迫で彼らに打ち勝って、機動隊導入による野望を打ち砕いたと言えます。

 彼らは正面突破をできなくなりまして、僕が住んでいる佐敷町の馬天港から作業船を出すと、あわせてキャンプシュワーブからダイバーを乗せるという迂回作戦をとったわけです。そして辺野古の漁民を、公然たる利益誘導の形で漁船を雇い、警戒船ないし調査船の名において出港させ、基地内からダイバーを乗せて調査に向かうという形でボーリング調査をしようとしたわけです。

 皆さんもご承知と思いますけど、このボーリング調査というのは飛行場外壁に沿って、それから滑走路の真下に63箇所のボーリングを打ち込むということになっております。これは、環境影響評価法に照らせば、公然たる法律無視という事態もあるし、同時にジュゴンを追い出してから調査するという意味でジュゴン追い出し作戦でもある。工事着工の一歩手前じゃないかと私たちは判断して、一本たりとも杭を打たせないということで闘いを組んできたんです。

 今彼らがやらんとしているのは、その63箇所のポイントにブイを置き、潜水夫を使って磁気探査で不発弾があるかないかを検索し、不発弾があれば除去してからボーリングを開始するという準備であります。すでにご承知のとおり、ボーリング機材は中城湾港に置かれています。以前の向こうの計画からすれば、63箇所の磁気探査が終わってからボーリングに入るんじゃないかと言われていたんですけど、一回にやるボーリングが8箇所づつですから、8箇所の磁気探査をやったらすぐにボーリングに移るんじゃないかという予測もしなければならない。磁気探査が日程上30日かかると言われていますけれども、8箇所づつであれば、もっと早めにボーリング調査に入るという事態も予想しながら、海上における新たな闘いを今展開しております。

 向こうの船は、作業船本体が2隻、施設局の専門の船が一つ、そして辺野古漁協の中型船4隻小型船6隻という形で13隻で作業をやっております。

 これに対抗して私たちは、4ないし6隻の船、更に8艇のカヌー隊を送り出して、彼らよりも先に調査ポイントに陣取り、彼らがそこに近づくのを阻止しているという状況が続いています。陸における座り込み闘争と平行して、海における座り込み闘争と表現しております。

 私たちは物理的な力ではとうていかないません。しかしながら、闘う気概、絶対に基地は作らせないという気概は彼らの数倍以上あります。その意思を時に盾にして、弱い体を放り投げ、その調査点を死守するという、彼らが私たちを排除しない限り調査はできないという形での闘いを展開しております。

 ところで、例えばカヌー隊について見ますと、70歳の女性もいます。20歳ころの青年もいますけど。朝9時にカヌー隊を出します。持っていくのは小さいペットボトルですね、これに水一杯です。今は向こうも時間が無いということで、昼飯も交代して取り昼飯時間も作業をするという事態が起こりまして、以前は12時には一旦帰って陸上で飯を食うということでしたけれども、今は陸上で飯を食う時間もないと。

 朝9時から4時頃までブイの近くで留まり、7時間ぐらいずっとその場に居座って、で、12時には船で弁当を持って行って食事を取る、そういう形です。船の場合もほぼ同じような行動で、リーフ外の外洋に3隻リーフ内に2隻という形で配置して、向こうの調査を先取りして陣取りをして、彼らが近づけないようにしているという行動で、磁気探査なるものは実際阻止しております。

 新聞では、あたかも工事が順調に進んでいるかのように報道される場合もあります。陸上の場合は、県内のマスコミは一部始終報道します。しかし、海上のこの攻防戦においては、新聞社も船を雇う金がないということで、たまにしか海上の取材がないということで、なかなか事実関係を克明に報道できないという状況が続いております。

 ブイが落とされたということで、あたかも工事が進行しているかのように見えますけど事実は違います。ただ落としただけで、磁気探査を潜水夫を使ってやりますけど、これが殆どできていないというのが現状であります。しかも、昨日ですね、いわゆる沖縄の風が吹きまして、せっかく置いたブイも撤去するという状況に追い込まれています。最初は沖合の「リーフ外のブイだけを撤去します」というふうに言っておりました。しかしながら、僕らの船の部隊が「おかしいんじゃないの。リーフ内でも海が荒れたら、そのブイの錘が珊瑚礁を傷つけるじゃないか。それでもいいか」ということで詰め寄ったためにリーフ内も全部撤去というふうになったわけです。そういう意味では、作業がまた振り出しに戻ったという状況に追い込んでいるのが現状です。

 これからの問題としては、8艇のカヌー隊、あるいは4隻、5隻の船だけでは、交代要員がいない、あるいは船の数自体が足らないという状況で、長期化すればこちらの疲労もたまって継続できなくなるという状況がやがてきます。カヌー隊も増やすという努力をやっていますし、船も今1隻漁民の方からチャーターしています。船長、漁民と一緒に船を貸してもらっているということで、チャーター料がかなり大きいです。それから船に使うガソリン代が1日1隻5千円か6千円もするという形で、陸上では考えられなかった多額の費用が必要になってきております。

 昨今ではそういう事態を察知して、カンパもかなり増えてきています。心強い支援の輪も広がりつつありますけど、今後、おそらく3月くらいの闘いを想定すれば、100日分のそのような闘いの費用を捻出しなければ闘争を継続できなくなるということで、カンパ要請も強めているところであります。

 私たちは、この闘いの中で日常の暦が暦で無くなって、辺野古暦というのがあります。4月19日から座り込み行動に入りましたけれども、5月16日の普天間包囲行動までは頑張ろうじゃないか、6月23日の慰霊の日までは頑張ろうじゃないか、6月末から7月2日にかけて沖縄で開かれた国際珊瑚礁シンポジウム、そこまでは頑張ろうじゃないかと、次は参議院選挙までは頑張ろうじゃないか、そして普天間における9月12日の市民集会まで頑張ろうじゃないかと。次は何を目標にしたかと言いますと、臨時国会までは頑張ろうじゃないかというふうにしています。

 臨時国会が10月中旬に開かれるようです。この新たな基地建設、普天間基地の閉鎖に関して、民主党から共産党まで一致しております。ですから国会内においても、野党が共同で普天間基地閉鎖、辺野古の海上基地建設撤回という共通の要求書を出して小泉政権を追及し、断念に追い込む。現地における座り込み闘争、海上における闘いをやりつつ、政治的には国会においても小泉を断念に追い込むという闘いを展望しております。

 残念ながら今日ですね、県庁の周辺で稲嶺県政に方針転換を迫る県民大集会を予定しておりましたけど、台風の発生で1週間延びました。今もって沖縄の県民世論に抗して辺野古に固執し、県民を裏切って日本政府に忠実なる稲嶺を許さないと追及し、辺野古基地建設を断念させる追及も厳しくしながら、小泉政権への揺さぶりをかけて、現地の強固な闘いとそのような政治的な闘いと結合して早めに、一日でも早めに勝利的に決着を付けていきたいというふうに思います。

 160日の座り込みの中で、ドクターストップがかかる人も増えてきております。それぞれ長続きする中で疲労が蓄積してきております。現場の闘う仲間からすれば、一日も早く勝利的に決着させたい。オジー、オバー達を安心させたいという気持ちであります。「戦争のための基地を作らせない」「沖縄の自立する基盤である豊かな海を破壊させない」「何としてでもこの基地建設、その前段のボーリングを止めていく」、この固い決意は微動だにしていませんが、全国の皆さんと共闘し小泉に対する攻勢を強める中で、早めに決着させていきたい。

 東京の皆さん、全国の皆さん、沖縄と共闘して普天間基地の閉鎖、辺野古における海上基地建設計画断念まで、勝利するために共に頑張っていきましょう。

(テープ起こし・編集 編集部)