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『一坪反戦通信』
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 第154号(2004年3月28日発行)

【連載】 やんばる便り 最終回
            
浦島悦子(ヘリ基地いらない二見以北十区の会)

 やんばるの森が一年中でいちばん輝く新緑の季節を迎えた。

 昨年の少雨、カラカラ天気が年を明けても続き、木々の新芽が芽吹くのには、それを優しく促す柔らかい慈雨が不可欠なのに、と気を揉んだ。県民の飲料水を賄うやんばるのダムの水量は五〇%を下回り、ついに三月二九日からの夜間八時間断水が決定されてしまったが、ダムには影響しないほどのほんのお湿り程度の雨でも、伸びようとするいのちたちはそれを貪欲に吸収し、目にも鮮やかな黄金色や薄紅や若草色の新芽を、もくもくといっせいに湧き立たせた。

 海の水もぬるみ、浅瀬にはスヌイ(モズク)やジャングサ(ジュゴンの食草)がゆらゆらと揺れている。干満の差の大きい春の潮がリーフやイノーを広く浮き出させ、「さぁ、いらっしゃい」と人々を招く。胸騒ぐ「いのちの競演」を、今年も五感で感じることのできる幸せを思う。

 自然の恵みはこんなにも慈悲深いのに、一人私たち人間だけが、自ら「破滅」への道を、他のいのちたちをも道連れにしながら突き進もうとしているのはなぜなのか、私には答えが見つからない。否、おそらく人間一般を論じるのは間違っているのだろう。破滅へ向けて突き進む者たちは、いっそう加速して突き進むがいい(その中に私自身がいるとしても)。滅ぶべき者たちが滅んだあと、人間社会は再生し、新たな出発を遂げるのかもしれないと、最近は居直った気分になったりする。

 それでも、草の根を分けて「希望」の芽を探し出し、私は日々を生きている。目を凝らして探せば、至る所に「希望」の芽はあるのだ。それは、私(たち)が育てるのを待っている。長いこと水も肥料も与えず放っておけば枯れてしまうかもしれない。

 そんな「希望」の芽を、地域のおばぁ、おじぃたちの体験を通して共有したくて、私はこの長い連載を書き継いできた。四年間も毎号、掲載させてくださった編集部のみなさん、ちょっと退屈な時もあったかもしれない「昔の話」を根気よく読んでくださった読者の皆さんに心から感謝申し上げたい。

 人間社会の矛盾に目覚め始めた二〇歳前後から、「運動」なるもののいくつかに首を突っ込んだり、離れたり、絶望したり、また気を取り直したり、それでも、社会は少しずつよくなっていくんだと信じていた。戦争に突き進むような、こんな時代が来るなんて思わなかったよ、というのが正直な気持ちだ。甘かったね。でも、そんな時代、そんな社会を作り出した責任の一端も自分にあるのだから、泣き言を言うのはやめよう。月並みだけど、自分の場所で、自分のできることをせいいっぱいやり続けること、それしかないと思っている。

 この連載のそもそもの発端になった辺野古への新基地建設の計画だって、名護市民が血の滲むような努力と誠心誠意を込めて市民投票で明らかにした反対の意思は、泥靴でめちゃめちゃに踏みにじられ続けてきたけれど、どっこい死んではいない。その証拠に、辺野古の海には、いまだ一本の杭も打たせてはいないのだ。地元はもちろん、心を寄せる多くの人々の多様な働きがあって、この計画はいよいよ暗礁に乗り上げている。決して沖縄のためではない米軍の再編も、少なくともこの計画においては、私たちに有利に働くだろう。もう一歩、ここでもできることを地道に続けながら、この無謀な計画を断念に追い込んでいきたい。

 ではでは、再度あらためまして、長期間のおつきあい、いっぺー、にふぇーでーびたん。連載は終わりますが、今後もいろんな面でゆたしくうにげーさびら。                   
《おわり》