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『一坪反戦通信』
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 第153号(2004年2月28日発行)


ジュゴンのすむ海、

サンゴの海に巨大海上基地はいらない

〈環境アセスメントをめぐる中間的報告〉

ヘリ基地反対協議会代表委員 

沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団運営委員 

  大西 照雄    

 
 一 沖縄ジュゴン・環境アセスメント監視団の結成


 昨年三月二〇日のアメリカのイラク侵略戦争を目前にして開催されたヘリ基地反対協の総会は、海上基地建設問題が環境影響評価法(以下、アセス法)に入ることを想定し、自然・環境団体(個人)、平和市民団体、学者及び専門家を含めたプロジェクトチームの結成の重要性を決定した。

 那覇防衛施設局は、四月八日、護岸構造検討のためと称して現地技術調査を開始した。ヘリ基地反対協は、那覇防衛施設局、沖縄県農水部に対してアセス法違反の行為を中止するよう抗議行動を行うとともに、現地で抗議と監視活動を行った。那覇防衛施設局が沖縄県農水部に、水産資源破砕許可申請書を提出したのが三月三一日。農水部長は、同日、「安全保障上の問題」でもあり、しかも環境への影響は少ないと許可不用と決定、つまり勝手にやれとの無責任な行政行為を行った。

 ヘリ基地反対協は、毎週土曜日(午前八時)、辺野古浜の清掃、学習会、カヌー訓練教室(二月七日で三二回目)を持続し、現地での交流を通じて、九月二三日「沖縄ジュゴン・環境アセスメント監視団」(以下、ジュゴン監視団)を結成した。


 二 イラク戦場下の辺野古基地
 キャンプシワーブ〈辺野古基地〉は、「復帰前」に戻った訓練が再現されている。

@沖縄から海兵隊三千人が直接イラクへ派兵される報道、Aヘリ部隊、水陸両用戦車の合同訓練及びレンジ10での射撃訓練の激化と日常化、Bカメラ撮影に銃口を向け威嚇の光を発し「イラク化」の沖縄である。海兵隊は基地内をイラクの都市にみたてて、イラク人と米軍が実戦的戦闘を行い、イラク人は全員死者となる訓練が行われている。

 かような中、第二回普天間代替施設建設協議会は、海上基地建設の作業ヤード(三一ヘクタール)とケーソン式護岸置場(三ヘクタール)を大浦湾西岸域〈辺野古弾薬庫〉の埋立計画を決定した。米国防総省は、一九六六年、辺野古の海上基地、大浦湾軍港の計画を描いたが、大浦湾埋立には軍港建設の疑念がよみがえる。

 キャンプハンセン及びシワーブ基地、辺野古弾薬庫と海上基地、大浦軍港が一体となったとき、北部訓練所、伊江島のパラシュート訓練、ハンセン内の都市型訓練と結合し、沖縄北部はアジア最大の基地としてグローバルに展開できる侵略出撃基地となる。その基地の実態は、主権なき「占領下」の日本の姿である。


 三 学びの広がりを!

 私たちは海上基地を絶対に作らせてはならない。海上基地建設の過程を想すると、環境アセス(約三〜四年)、埋立(約十年)の長い闘いとなる。この闘いの現段階は、環境アセスの入り口の手続きの問題をめぐって綱引きが行われている。現在の闘いを共有するには、環境アセス法の学びの世界を広げることが大切だ。

 環境省はアセス法(一九九九年施行)に基づき、パンフレット『環境アセスメント制度のあらまし』〈各都道府県環境課で入手可能〉を出版、各都道府県も条例にそって解説パンフレットを出版している。それ自体は法(条例)に忠実で評価できるが、現実の事業では環境省及び自治体の環境行政は、事業者〈防衛庁〉の恣意的調査行為を追認する閣議アセスの手法で「アワセメント」と揶揄される。

 日本全国でアセス以前の事前調査、アセス法に規定されない新用語を使用しての違法行為を許さず、戦略的アセスメント(中止・代替案)をめざす国民的運動を追求する共同が求められている。

 那覇防衛施設局は、違法な現地技術調査による潜水調査報告『地質・海象調査の作業計画について』、同『参考資料』〈インターネットで検索可能*〉を作成、辺野古三区行政委員会などに説明会を行ったが、市民及び記者をも閉め出す秘密主義を一貫して行っている。 那覇防衛施設局の調査作業計画及び参考資料は、一例を上げると助言を行った専門家の氏名をも公表できないもので、沖縄県議会、マスコミを含めて批判が続出、沖縄県環境政策課は独自に専門家の意見を集約中である。

 那覇防衛施設局は、自然保護団体及びジュゴン監視団などのボーリング調査中止要請が広がりを見せる中、一一月一七日、沖縄県土木部河川課に対し、公共用財産使用協議書の許可申請を提出した。いわゆる護岸構造検討のための六三カ所のボーリング調査の許可申請で、法手続上では河川課の決定は本年一月六日だが、二月一〇日現在も決定はなされていない。


 四 環境省交渉と課題

 環境アセスは、「事業者、地方公共団体、国民の間の明確なルール」の確立を求め、事業者(防衛施設庁)を拘束する。つまり、手続きの透明性、公表及び説明責任が要請される。だが、那覇防衛施設局及び県、名護市当局は徹底した秘密主義を貫き、事前調査及びボーリング調査はアセスの対象ではないと既成事実を積み重ねている。

 ジュゴン監視団は、環境省が那覇防衛施設局、沖縄県にどのような助言・指導を行っているか確かめるために一月二二日、環境省交渉を設定、沖縄県選出の赤嶺正賢、照屋寛徳国会議員及び中村敦夫議員の秘書も同席した。

 環境省は、「護岸構造検討の事前調査及びボーリング調査はアセスの対象ではない」と繰り返すばかりで、「防衛施設庁との調整も口頭で行っている」であった。「行政官庁間の調整は記録が当然存在するはずだ」との追求で、文書の存在を認め上司と相談するの回答を得た。二月二日、中村敦夫議員の事務所に、環境省が防衛施設庁へあてた「現地技術調査〈地質調査・海象調査〉の作業計画について(助言)(九月一七日付)」が送られてきた。この「助言」は、四月の現地技術調査にも行われていたことが推測され、沖縄県環境政策課も事前に得ていた資料であることが判明する。

 「助言」の内容は、「計画内容を公表して広く理解を求めること」が強調され、ボーリング調査(六三カ所)の根拠については、「国民の理解を得られるよう明確に示すこと」、ジュゴン及び食跡が確認された場合、「対処方法を示したマニュアルを整備する」などが書かれていて、那覇防衛施設局及び名護市などが記者をも閉め出す秘密主義が批判される。


 五 新しい段階のたたかいをめざして

 ジュゴン監視団を中心とする活動は2ヶ月にわたって公共財産使用協議書の許可を止めているが、二月一三日、沖縄県土木部河川課は許可決定を行うであろうと予測される。

 ジュゴン監視団の団長東恩納琢磨は、「キャンプシワーブを国民保養地に」、「東海域をジュゴン保護区へ」とエコツアー「ジュゴンの家」をたちあげ、共感した少なくない人々がカヌーのオーナーになって、沖縄修学旅行でも目玉の一つとなっている。

 ボーリング調査が強行される場合、カヌーは海上での抗議、監視、調査活動に欠かせない。辺野古の土曜行動の参加者たちは、毎週カヌー訓練、潜水免許、ボート免許取得などに挑戦している。少なくない方々が自費で漁船を購入し、調査及びガイドに大きな役割を果たしている。ジュゴン監視団は、環境アセスの問題を中心に大きな財産を築くとともに、新しい段階、ボーリング調査などに対しても重要な役割を果たしてゆく。

 沖縄県公害調停審査会は、公害調停を受理(二月三日)した。環境アセスに対する闘いは、国民世論の大きな輪を作り上げることが決定的に重要である。ジュゴン監視団に全国の各地の平和、環境に関心をよせる方々が加入し、知見と財力を豊かにして欲しいと願うものである。

 多くの方々がカヌー〈非暴力の闘いの武器〉のオーナーになっていただきたいものです。


 那覇防衛施設局のHPに以下の文書が掲載されています(編集部注)
  1. 地質調査及び海象調査のための潜水調査(事前踏査)結果の概要<
    http://www.naha.dfab.dfaa.go.jp/info/hutenma/sensui151120.pdf
  2. 地質調査・海象調査の作業の作業計画について(参考資料)
    http://www.naha.dfab.dfaa.go.jp/info/kisya/gizyutu_s151117.pdf
  3. 地質調査・海象調査の作業の作業計画について
    http://www.naha.dfab.dfaa.go.jp/info/kisya/gizyutu151117.pdf