軍用地を生活と生産の場に!
沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック
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『一坪反戦通信』
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 第152号(2004年1月15日発行)

「沖縄コーナー」(仮称)を開くにあたって

一坪反戦地主会事務局長 本永 春樹

 昨年はイラク戦争で明け暮れた一年でした。昨年末は航空自衛隊の先遣隊がクウェートへ派兵され、今年はイラク現地への自衛隊派兵が本格化しようとしています。

 振り返ってみれば、侵略戦争に敗北し「帝国陸海軍」が解体したのも束の間、平和憲法下にも関わらず着々と日本の再軍備が進められてきました。

 自衛隊の戦闘機への迎撃ミサイルの搭載の是非や軍事費のGNP1パーセント枠等々の問題で国会論戦があったのはついこの間のことです。それがいつの間にか、強襲揚陸艦(「輸送艦」と強弁しているが)やイージス艦、空中給油機やMD(ミサイル防衛)もOKになり、軍事費だってアメリカの次、つまり日本は、軍事費の支出が世界第2位の軍事国家になってしまいました。「専守防衛」(これだって違憲なんだが)という言葉もいつの間にか消え、先制攻撃も可、集団的自衛権の行使もできるようにしていこうとの動きすらあります。ここのところ民主党は改憲については自民党よりも熱心だし、このままだと、一体憲法はどうなってしまうのか(民主党を支持している某○○労を辞めてしまおうかとさえ思いたくなります)。

 世界情勢や国内情勢の急激な変化に呼応するかのように、沖縄県内の状況も、数年前とはガラリと変わったように思います。振興策は、県民各層のかなりの部分に基地を容認させるための道具として確実に効果を挙げています(もちろん現在の財政状況如何によって振興策が幻となる可能性はありますが)。失業者にとっては、基地は害悪だと分かっていても食うためには止むを終えない、背に腹は変えられない、という現実があるのも事実です。 

 特に沖縄では、官公労主体の労働運動のため、民間労働者の労働問題・失業問題に有効に対処しきれていない側面があります。基地を容認する(容認せざるを得ない?)社会を形成している要因がいくつかあるとすれば、そのひとつに労働運動の弱体化がある、といったらこじつけでしょうか?また、振興策に頼らざるを得ない公共投資依存型の経済構造にも要因があるのは間違いありません。
 
 いま、沖縄ではイラク問題とともに辺野古海上基地の問題が最大の課題です。現時点では建設予定海域で国が実施しようとしているボウリング調査をいかに阻止するかが焦点になっています。建設予定地は豊かな自然環境が残されている大切な場所です。建設阻止を勝ち取るには、環境保護の観点からの取り組みも含め、あらゆる観点からの取り組みが重要です。
 
 辺野古の闘いとともに、一坪反戦地主会としては、軍用地強制使用阻止が大きな闘争課題です。当面は今年3月18日の公開審理が焦点となります。いかにして軍用地強制使用の不当性を大衆的に暴露していくかを、反戦地主会や弁護団とともに論議を重ねているところです。
 
 さて、一坪反戦地主会は、2月15日(日)午後2時から、那覇市の教育福祉会館で定期総会を開催します。今年で一坪反戦地主会は結成から22年目を迎えます。アメリカの一極軍事支配と日本の急速な軍国化、沖縄社会の基地容認傾向という厳しい時代状況の下、これまでの一坪反戦運動を総括し、一坪反戦運動の目的である「軍用地を生活と生産の場に取り返す」ためにこれから具体的に何をなすべきか。全会員が希望と展望を持って運動を担っていくためにはどうしたらいいか。今次総会はこれまでの総会のスタイルをガラリと変え、参加者全員で運動のあり方を議論していくものになります。現在、一坪反戦地主会幹事会では総会における議論の叩き台をどうするか、カンカンガクガク話し合っているところです。
 
 「軍用地を生活と生産の場に取り返す」ということは、反戦平和の問題であると同時に、有体に言えば、環境の問題であり、労働運動の問題であり、経済の問題であり、広範な人権の問題である、と言えるでしょう。もちろん、一坪反戦地主会がこれらの諸課題をすべて担えるはずはありません。しかし、「軍用地を生活と生産の場に取り返す」ためにこれから具体的に何をなすべきかを考えるとき、これらの諸課題についての認識や問題意識(せめて目配せ程度にでも)がなければ、どうしようもない時期にさしかかっているのかも知れません。
 
 考えてみると大変な問題提起かもしれませんが、国家が総力を挙げて民衆を戦争動員していくことに抗い、「軍用地を生活と生産の場に取り返す」闘いを進めていくには、私たちはあらゆる知恵を絞りだして運動を組織していくことが必要かもしれません。このことは、自らの手で明るい未来を作り出していく創造的な行動であるともいえます。

 取り留めのない前置きになりましたが、今年から、関東ブロックのご好意により、沖縄からの情報提供のページを頂戴することになりました。次回から、沖縄の運動に関する情報や、その他さまざまな情報を発信していきたいと思います。もちろん、書き手もさまざまな皆さんが登場する予定です。どうぞよろしくお願いします。
 
 さて、最後になりましたが、戦争と軍事基地のない世界をめざして、今年もともにがんばろう!


※ 新連載が始まります。誰が書き手として、どういう情報を発信してくるか、ご期待を。(編集部)