軍用地を生活と生産の場に!
沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック
http://www.jca.apc.org/HHK
東京都千代田区三崎町2-2-13-502
電話:090- 3910-4140
FAX:03-3386-2362
郵便振替:00150-8-120796

『一坪反戦通信』
毎月1回 28日発行 一部200円 定期購読料 年2,000円

 第151号(2003年11月28日発行)

最高裁は「憲法」ではなく

「権力」の番人だった

 一一月二七日、米軍用地「改正」特措法違憲訴訟の最高裁判決が出た。九七年に始まった裁判闘争は、最高裁が口頭審理を一度も開かず、地主の声を聞く事もなく、憲法判断からも逃げて「上告を棄却」の一言で幕が下りた。

 「主文・本件の上告を棄却する」

 泉徳冶裁判長はそれだけを読み上げると、四人の裁判官と共にすばやく扉の向こうに消えていった。登場から退場まで、わずか数十秒か。

 そっくり同じ光景を、九六年八月二八日にも見た。舞台は最高裁大法廷。大田前知事の代理署名拒否裁判の判決で、「本件上告を棄却する」と言い渡した三好達裁判長は、一四人の裁判官を後ろに従えて、扉の向こうに消えていったのだ。この時は満員の傍聴席からすさまじい怒号が飛んだ。一時間余りに及ぶ裁判所との応酬があって、傍聴者達は判決への抗議文をその場で作成、裁判所に突きつけたのだった。

 一一月二七日の第一小法廷の傍聴席は四八。沖縄から駆けつけた有銘さんや知花さんら五名の反戦地主を含めて三十余名の傍聴者は、「バカにするな!たった七秒の判決文か、棄却理由を言え!」「わざわざ沖縄からやってきたんだ、棄却の一言で帰るわけにはいかない」と、各々が抗議。退廷を命じる裁判所職員と二十分ほどやりあう。「早く出ていけ! お上の命令が聞けないか!」の高圧的態度が滑稽だ。開廷前にも「傍聴者は、裁判官が入廷したら起立するように」と告げられ、思わず笑ってしまったが、最高裁の「バカの壁」は相当に厚いようだ。

「不当判決」後の正門前集会で知花さんは、「日本の司法・立法・行政の三権は、すべて沖縄を踏みにじった。この構造的差別を国民は認識すべきだ」と述べ、「今は淡々とした心境。ガッカリという気持ちはもうない」と語った。有銘さんは「最高裁とは何かを、改めて考えさせられた。憲法より日米安保が優位に立っていることの意味を、日本人はもう少し真剣に考えた方がいい」と語り、さらに「沖縄では恐ろしいことが進行している。騒音や犯罪など基地被害にたまりかねて、周辺住民が土地を防衛施設庁に売って引っ越していく。軍用地も地主の世代交代で国有地が増加、民有地との比率が逆転しつつある。このままいくと、ウチナーンチュのいないウチナーに、本当の基地の島になってしまう」と訴えた。

 インド洋に浮かぶチャゴス島は、全住民を強制移住させて造ったディエゴガルシアという巨大な米軍の軍事基地のある島だ。その成り立ちはというと、まずイギリスが植民地化し、次にイギリス政府の権限の範囲内でアメリカに貸与したのだという。

 沖縄はチャゴス化するのか? 心ある人々よ、新たな闘いを強いられる反戦地主と共に考えよう、平和は、耐えざる努力によってもたらされるものだということを。

           (ウチナーンチュ)