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沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック
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『一坪反戦通信』
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 第149号(2003年9月16日発行) 合併号


【特集】 沖縄県収用委員会 第二回公開審理

公開審理
 三月一三日の第一回公開審理を受けて、五ヵ月ぶりに第二回公開審理が八月二一日、沖縄市民会館で開催された。関東ブロックから参加した五人を含めて、約八十人の反戦地主が参加していた。前回の第一回は普天間飛行場と那覇軍港を対象とする審理で、那覇防衛施設局から使用裁決申請理由が述べられた。今回はその裁決申請に対する求釈明と、新たに七施設(伊江島補助飛行場、キャンプ・ハンセン、嘉手納弾薬庫、キャンプ・シールズ、トリイ通信施設、キャンプ・瑞慶覧、陸軍貯油施設)の使用裁決申請が行われた。対象となる地主は伊江島補助飛行場で最大の四〇人、各施設の合計は七六人にのぼる。今回、七施設の裁決申請理由説明を読み上げたのは施設部長大澤和久氏。

 普天間飛行場と那覇軍港については去年の九月二日に使用期限は切れており、改悪された米軍用地特措法によって「暫定使用」を続けている。今回申請された七施設については今年九月二日に使用期限が切れる。これについても、那覇防衛施設局は暫定使用をすればいいと、いささかの焦り見せていない。改悪前の特措法の時には、使用期限の半年前には裁決を出さないと不法占拠の事態になると、施設局も収用委員会も必死であった。相撲を取っている最中に土俵を広げたと批判された特措法改悪の効果がここにも出ている。収用委員会の採決はあってもなくてもいいというところに来ている。


 今回の審理では、前回の申請理由説明に対する一六項目の釈明要求が地主側から提出され、施設局がそれに答えることになっていた。

 最初に三宅俊司弁護士(普天間一坪地主)が「日米安保体制の役割とされている・平和と安全の維持が必要な地域・は極東に限られる」と考えていいかと質問。これに素直に「ハイ」と答えれば、「アフガンやイラクに沖縄から米軍が行っているが、イラクは極東か?」と面白い話の展開になるが、答弁者の施設部長は米軍に基地を提供する義務があるというような的はずれな文書をくどくど読み上げて着席。ヤジの渦巻く中で、しつこく問いつめてやっと、「極東とはフィリピン以北」と落ち着く始末。米軍がどんなことをしているかについては「基地がどう運用されているかは承知していない」と逃げる。三宅弁護士は「形式的な文言を並べ立てて土地を取り上げ、あとは米軍がどう使うか知りませんでは、収用委員会と県民をだますことになる」ときつく批判。

 普天間の反戦地主・宮城正雄さんは「・地主と賃貸借契約の合意に努めた・と書かれているが、施設局職員が来たのは強制使用認定申請をした後一回だけで、・合意に努めた・というのは嘘である」と指摘した。これは一坪反戦地主に対する・任意契約の努力・放棄と関連するが、反戦地主に対しても任意契約の話し合いを行わず、問答無用で強制使用に取りかかるという憲法で保証されている私有財産権を無視した方向に進みつつあるように見える。このことは「権利と財産を守る軍用地主会」という「反戦地主会」の正式名称に見られる基本的人権を戦争に反対する人たちには認めないという憲法無視の領域に日本政府は入りつつある。

 一坪反戦地主には話し合いもなく強制使用手続きを始めたことについては、城間勝さんと長嶺律雄さんが追求。「・客観的に見て・賃貸契約の合意は得られないとしているが、関西の一坪共有者など一坪反戦地主会の会員ではない人たちもいるが、客観的とはなにか」との問いには回答なし。
 違憲共闘議長の有銘政夫さんは「SACOで合意した普天間飛行場の返還期限は既に過ぎてしまったが、この合意は今でも有効か?」「返還期限を五年ないし七年とした理由はなにか?」などについては、持ち帰って次回に回答することになった。

 今回の審理には地主側から一六項目の釈明要求(普天間飛行場関係一一件、那覇軍港関係五件)が出されていたが、普天間関係の五項目の審議で時間切れとなり、残りは次回に持ち越した。この次には新たに七施設についても求釈明が出てくるはずだから、審理の先は見えない。永久に続く???
  (U)