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沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック
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『一坪反戦通信』
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 第148号(2003年7月28日発行)

後藤聡の

沖縄・新刊案内


 26.『ひめゆり平和祈念資料館』―開館とその後の歩み−
   2002.6.1 財団法人沖縄県女師・一高女ひめゆり同窓会編
   非売品 問合せ先098-884-1115
    27.『沖縄戦遺族の声』 ISBN4-7947-0415-1
   2002.8.15 野村正起著 叢文社 1600円+税         
    28.    『21世紀のひめゆり』 ISBN4-620-31580-X
   2002.8.15 小林照幸著 毎日新聞社 1800円+税   
    29.『沖縄の島守』−内務官僚かく戦えり− ISBN4-12-003390-2
   2003.4.25 田村洋三著 中央公論社 2800円+税  
    30.『ひめゆり』−予科一年生− ISBN4-8355-5655-0
   2003.5.15 上江田千代著 文芸社 952円+税   
    31.『ぶっそうげの花ゆれて 第三集』−平和を求めて− ISBN4-8107-0597-8
   2003.5.15 沖縄県退職教職員会婦人部編 ドメス出版 2000円+税   
    32.    『図説 沖縄の戦い』  ISBN4-309-76031-7
   2003.6.23 森山康平著 河出書房新社 1600円+税 
    33.『「白梅の礎(いしぶみ)』−戦場彷徨編− ISBN4-906559-19-0
   2003.6.23 新里堅進・作・画 クリエイト21 2000円+税   

 沖縄戦後60年近くたっても、そして山ほど沖縄戦が語られても語りつくすことができない、それが戦争というものなのだ。沖縄は徹底して沖縄戦と米軍基地にこだわるざるをえない。

 26は「ひめゆり祈念資料館」の開館までの歩みと開館後の歩みの記録である。開館が1989年、とにもかくにも今記録しなければと紆余曲折を経て始まった。あの、周辺の土産物屋、バスガイドのお涙頂戴説明にはうんざりするが、ひめゆりの方々の責任ではない。そう、まだ、資料館はできて14年なのだ。

 27の野村氏は沖縄戦時船舶工兵26連隊所属の生存者。「沖縄戦敗兵日記」など沖縄戦を下級兵士の目で記録している。27は所属部隊の遺家族の手紙と解説が記されている。同氏は現在81歳。

 28の小林氏は30歳代のノンフィクション作家、サンデー毎日に連載されていたものの単行本。膨大な記録で、宮城喜久子さん、中村文子さんを通して戦争と平和を問う。ただ、目次もなく誤植もありで工夫が必要か。

 29の田村氏も大阪・読売新聞の編集委員を経て現在ノンフィクション作家。沖縄本島最南部摩文仁には「島守の塔」がある。旧沖縄県終焉の地といわれるところで、島田知事、荒井警察部長をはじめ多くの職員を悼んでの記念碑である。29はその島田と荒井を徹底して調査した記録。あまりに日本軍がひどかったので沖縄でも、著者自身も二人に好意的だが戦時の内務官僚には違いない。

 30の上江田氏は1929年現在の那覇空港付近で生まれ、1944年4月沖縄師範学校女子部予科1年生として入学、いわゆる「ひめゆり学徒隊」ではないが日本軍負傷兵の看護にあたる。

 31は61編の証言集、ぶっそうげはハイビスカスというしゃれた名前で呼ばれるが、沖縄ではあかばなあ、ぐそうばなと呼ばれ、仏桑華と書き死者にそなえる花とされている。

 32は「ふくろうの本=図説シリーズ」、このシリーズにしては比較的穏当な著述で学習用には適している。
 
 33は「白梅」学徒隊=第二高女の沖縄戦を劇画化したもので、新里氏は多くの沖縄戦関連劇画がある。「ひめゆり」に視点がいきやすいが、各学徒隊についても当然学びが必要である。ドキュメント映画「友の礎―白梅学徒の沖縄戦」も完成した。

    34.『命(ぬち)かじり』−回想録− ISBN4-89742-047-4
   2002.8.15 古堅実吉著 琉球新報社 1905円+税   
    35.『真振―MABUI』 ISBN4-89434-344-4
   2003.6.30 海勢頭豊著 藤原書店 2800円+税 
  
 34は「いのちかぎり」という意味、古堅氏は1929年本島国頭生まれ、1944年4月沖縄師範学校予科入学、「鉄血勤皇隊」経験、琉球大学中退後関西大学卒業、琉球政府中央巡回裁判所書記官などを経て琉球政府下において弁護士、1960年立法院議員当選、1972年7月沖縄県議会副議長、1990年衆議院議員当選、この間、沖縄人民党、日本共産党の役職につく、と、この経歴を見ただけで回想録に興味をもたれるだろう。沖縄の選挙では「フルゲン」といえばこの人、回想録は2002年1月から4月に琉球新報に連載された。

 35の海勢頭(うみせど)氏は「月桃」「喜瀬武原(きせんばる)」など多くの歌で知られているし、本土から来られた方で「エル・パピリオン」を訪れた方も多いだろう。個人史と沖縄の歩みがわかる。2曲入りCDがついている。

   36.『沖縄問題の起源』−戦後日米関係における沖縄1945〜1952 ISBN4-8158-0459-1
   2003.6.23 ロバート・D・エルドリッジ著 名古屋大学出版会 6800円+税 

 36の著者は現大阪大学大学院国際公共政策研究科助教授(日本政治外交史)。資料としてはもちろん、学的レベルを感じさせる博士論文であるが6800円は高い。

    37.『巡査の首』 ISBN4-06-211685-5
   2003.2.24 又吉栄喜著 講談社 1800円+税   
    38.『ゆらてぃくゆりてぃく』 ISBN4-06-211686-3
   2003.2.24 崎山多美著 講談社 1600円+税 
    30.『鯨岩』 ISBN4-334-92388-7
   2003.2.25 又吉栄喜著 光文社 1700円+税   
    40.『沖縄文学選』 ISBN4-585-09041-X
   2003.5.1 岡本恵徳・高橋敏夫編 勉誠出版 2600円+税   
    41.『沖縄短編小説集』第二集―「琉球新報短編小説賞」受賞作品― ISBN4-89742-052-0
   2003.5.31 琉球新報社 1800円+税   
    42.    環 別冊6『琉球文化圏とは何か』 ISBN4-89434-343-6
   2003.6.30 藤原書店 3600円+税   

 芥川賞作家多数排出の沖縄文学界だがそれだけで食えるかというとつらいところだ。これも戦後史の一断面だがたいていの小説家は教師や公務員で食っている。又吉氏、油が乗り切っている。39は「最高傑作」といわれているらしい。

 38の崎山氏は西表(いりおもて)出身、久々の単行本。 40は11の小説・戯曲、他に琉歌、短歌、詩などを紹介し、解説など掲載されお買い得。

 41はこの10年余りの受賞作品が読める。

 42は70人の執筆者からなる沖縄近現代の各方面の評論集。で、まあ、せっかくの膨大なものなのだが、沖縄の言論界で議論・討論になるかといえばそうなっていないことに執筆者は気がつくべきだろう。つまりは、「お説ごもっとも」と受けられ批判を許さない体質をもっているからだ。少数の若手は買い、期待する。

    43.『記録と記憶のトライアングルー韓国・在日・沖縄を撮る10人の目』
    2003.6.13 同実行委員会 1500円 問合せ先:fwgk4969@mb.infoweb.ne.jp

 43は沖縄で6月24−29日、大阪で7月9〜14日、東京で7月18〜23日、そしてソウルで8月13〜22日に開催される同名の写真展の図録。沖縄からはジャン・松元氏、比嘉豊光氏、仕掛け人の石川真生氏が参加している。韓国からの参加は5人、坡州の米軍基地を撮りつづける李勇男氏、梅香里を撮りつづける鞠受容氏、韓国人被爆者を撮る申東必氏、女子中学生轢殺事件を追う慮純鐸氏、「慰安婦」にされた人々を追う安海龍氏。他に牧田清氏、昭氏。特に韓国からの5人は沖縄の米軍基地とも係わりチャレンジ的報道写真を撮るばかりでなく韓国の市民運動を担っている。3人が公判中である。この図録は韓国で印刷され沖縄、大阪、東京、ソウルの会場で販売される。後藤は25冊販売を担当している。1500円+送料で郵送できるので問い合わせられたい。