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『一坪反戦通信』
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 第148号(2003年7月28日発行)

カヌーデモで

辺野古移設反対をアピール

 六月二八日、米軍の巡洋艦と海上保安庁の巡視船が沖合で見守る中、ヘリ基地反対協と命を守る会は米軍普天間基地の代替基地建設予定地の辺野古沖リーフ付近に二五〇〇メートル滑走路上をGPSで実測したポイントにブイを浮かべ、二人乗りカヌー二四隻と四隻のボートなどで海上デモを成功させた。

 以前に予定していたカヌー海上デモが大雨と大しけで中止となったため、今回は前案を修正し、新基地建設による埋め立てが自然豊かな辺野古のリーフを死の海に変貌させる無謀な計画であることを県民にアピールする目的で行った。具体的には、建設予定の二五〇〇メートル滑走路の両サイドと二五〇メートル間隔で浮かばせたブイの一部にカヌーを連結させることで、新基地が広大な規模になることを視覚的に訴えた。カヌーデモに参加できなかった「命を守る会」のオジーやオバーなどの参加者は、辺野古と隣接する豊原区の海岸の高台から海上デモを眺望した。参加者からは、新基地建設計画が先祖から受け継がれてきた海の宝庫であるイノーを破壊し、ウミガメの産卵場所である砂浜も奪い、リーフ沖に生息するジュゴン及び珊瑚、藻場など海洋生物の絶滅に手を下そうとする極悪非道な日米両政府の犯罪行為にあらためて怒りの声があがった。

 また、女性も含め中・高校生から熟年世代までの幅広い支援者がカヌーデモに参加した。カヌー初体験にもかかわらず、遠くは二・五キロ先のブイまで漕いだ参加者からは異口同音に「自然豊かな辺野古の海を絶対に殺させない、基地を造らせない」との力強い声があがった。

 四時からの市民集会に先立った、辺野古浜で「N0ベース」と描いた人文字を二百名余りの参加者の手で完成させた。ハングライダーによる空からの人文字の撮影も予定していたが、強風のため、この計画は失敗に終わった。

 現地技術調査と名を付した那覇防衛施設局による事前調査の強行・環境影響評価(アセス)法に基づく「方法書」を提出する前に行う違法的行為・を受けて、主催者であるヘリ基地反対協、「命を守る会」金城代表の決意表明と山内県内移設反対県民会議代表、浦添、宜野湾市の市民運動団体の連帯挨拶及び名護市民の若者代表から叱咤激励の決意を受け、ジュゴンを追い出し、珊瑚礁を破壊するボーリング調査阻止に向けて粘り強く闘うことを誓い合った。


 国家財政が危機に瀕している中、小泉政権は国民に対して増税と保険料の値上げなどの負担を強いながら、米軍には年間五千億円・以前は三千億円であった・の思いやり予算で優遇している。さらに、政府は代替施設協議会で辺野古沖の新基地建設費を三千億円と見積もった。しかし、見積外の滑走路、誘導路、駐機場、格納庫、管制塔及びパイプラインなどの関連施設の建設費を含めると<麻生自民党政調会長が六千億円と予測したが>、莫大な経費となるであろう。

 軍民共用空港の民間空港の事業主体をめぐって、日本政府と稲嶺県政の間で矛盾が露呈した。政府は佐賀空港など地方空港が軒並み赤字経営なため、国営を拒否している。一方、稲嶺知事は大田知事を敗北に追いやった選挙公約であるため、県営空港化を拒否している。一五年先の那覇空港は、沖合展開による滑走路の拡張・増設が完成しており、また、名護市からの高速道路も那覇空港までの延長工事が完成する。つまり、辺野古沖合に完成する軍民共有空港は、米軍最優先のため赤字空港となるのは間違いない。

 さらに、環境省は知床半島や小笠原諸島とともにトカラ列島以南、つまり自然豊かな琉球列島をユネスコの世界自然遺産に登録を検討と発表した。国際自然連合のジュゴン保護勧告と同様に、国際的な自然環境保護の流れに合致する行政の動きである。沖縄本島の北部にある「やんばるの森と東海岸一帯の珊瑚礁群(イノー)」は西表島、石垣島の白保海岸、渡嘉敷諸島と同様に開発を免れてきた自然の宝庫である。この豊かな自然が残る地域を軍事基地に変貌させようとする愚かな計画を破産に追い込まなければならない。


 「良き隣人」とほざきながら、米兵が引き起こす事件・事故は後を絶たない。またもや、レイプ事件が発生した。そして、普天間基地所属のヘリ機も不時着事故を起こした。このように、事件・事故の発生源のほとんどは海兵隊である。沖縄における反戦・反基地闘争の高まりを再度作りあげながら、米軍の都合・東アジア十万人体制というコップの中の再編・による海兵隊の再編による削減でなく、沖縄の都合で米軍を追い出すことである。

 また、沖縄は「いけす」(日米安保の要塞島)でないことを主張すべきである。日米両政府が造った「いけす」の中で振興策という餌がばらまかれ、餌にありつこうと大きな口をパクパクと開ける稲嶺県知事や岸本市長みたいな醜悪な養殖魚になることを拒否する。「いけす」の網を破って、太平洋で自由に泳ぎ回るアジアの人々と友人になりたい。日米両政府の掌で生存させられている状況を必ず打破する。


 ヘリ基地反対協は八月に計画されている藻場・珊瑚礁も含む六三カ所のポイントで行われるボーリング調査に対して、海上デモ以外に、ジュゴン及び珊瑚などの生息環境に悪影響を与えることを訴えるために、法的な闘いを進める。

 また、環境アセスメント法に基づき、事業者である那覇防衛施設局が提出する「方法書」・この「方法書」の作成を受けた委託業者は、すでに藻場の多くが喪失することを認めている・には、海を殺す愚かな事業計画をつぶすため、環境保護団体などの「意見書」戦術で対処していきたい。

 巨大な新基地建設は一八四ヘクタール余の埋め立て地である。埋め土のため、北部の山をつぶせば新たな環境破壊が生じる。また、台風などの高波が長さ約三キロ、高さ五メートルの防波堤(護岸)を越え、やんばるの山林に塩害をもたらし、本島の水資源であるやんばるの山林を破壊に追い込むであろう。このように二重、三重にも及ぶ環境破壊を招くことも科学的に立証し、インターネット上で情報発信する。その結果、国際的な反響を呼び起こすことができれば、新基地建設反対闘争の新たな局面を切り開けるであろう。

              二〇〇〇三年七月二六日
 ヘリ基地反対協代表委員 安次富 浩