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『一坪反戦通信』
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 第146号(2003年5月28日発行)

【自著を語る】

【増補】
アメリカの戦争と日米安保体制
在日米軍と日本の役割


島川雅史

 二〇〇一年に刊行した旧著の増刷の必要を機会として、新しい内容を加えて新版として刊行することになった。頁数では三割ほど増加している。

 追補した部分は、旧著の範囲では、(1)中東石油資源の確保のためには軍事介入をためらわないという「カーター・ドクトリン」以来の基本国策が端的に述べられ、<第一次>湾岸戦争の戦争目的が「石油」利権の確保にあったことが明示されている、国家安全保障会議の秘密解禁文書を紹介したこと、(2)湾岸産油国・日本・ドイツが拠出した「軍資金」の総額は実際の戦費を上回っており、湾岸戦争という企図の実行を可能にしたのみならず米国の財政赤字改善にも貢献したということ、(3)ベーカー国務長官の、関係諸国を米国の国策に従わせる手段としての「戦略的経済援助」の用法についての発言などである。

 第九章「アフガニスタン侵攻とブッシュ政権の論理」と第一〇章「イラク侵攻の論理と反戦運動」は新版のために書き下ろしたもので、ブッシュ(子)政権の『国家安全保障戦略』が示す「国益追求」のための「覇権主義単独行動路線」について、またその具体化であるアフガニスタン侵攻・イラク「超先制攻撃」の論理について検討した。イラクへの侵攻と政権転覆という<第二次>湾岸戦争は、サダム・フセイン専制政権を打倒するための「人民解放戦争」という奇怪な衣裳をまとうことになったが、<第一次>湾岸戦争とあわせてとらえかえす中で、ブッシュ(父)政権が果たせなかった中東産油地域におけるアメリカの覇権の確立という真実の戦争目的が現われて来る。また、この第一次大戦以来の、白地図に線を引くが如き帝国主義的発想法に対決し、国境を超えて民衆のレヴェルでの連帯を主張したのが、史上最大のまさに地球規模でのデモとなった、反戦平和の叫び声であった。<第一次>湾岸戦争の時には存在しなかった、インターネットという「民衆のメディア」が、政府の宣伝やマスコミの戦争翼賛報道に対抗する構図が出現している。


社会評論社 四六判 283頁
2300円 2003年4月刊
ISBN4-7845-1428-7