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沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック
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『一坪反戦通信』 毎月1回 28日発行 一部200円 定期購読料 年2,000円

第138号(2002年7月28日発行)

 後藤聡の
  沖縄・新刊案内

◆『ぎのわん自然ガイド』(宜野湾市史第9巻資料編8自然・解説編)宜野湾市教育委員会文化課 二〇〇二年三月二五日 二〇〇〇円 問合せ先=098-893-4431
 宜野湾で観察可能な動植物案内。沖縄戦や米軍基地と無縁でないこともわかる。「普天間基地」を「普天間飛行場」と表記することは納得いかない。三月の発行日だが、前年度予算で執行したということでよくあるはなし。

◆『むかし南風原(はえばる)は』(南風原町史第五巻考古編) 沖縄県南風原町史編集委員会 二〇〇二年三月二九日 一〇〇〇円 問合せ先=098-889-7173
 発行日が三月なのは「町予算の都合」で、後藤が取得をサボっていたわけではない。「考古編」なのだが、南風原町内の遺跡というわけで、「グスク時代」、「琉球王府時代」、「戦争遺跡」など詳述されている。「皇太子殿下」など気になる表記もあるが(七三頁)、全体によくまとめられている。

◆『読谷村史』(第五巻資料編四 戦時記録 上巻・同付録読谷山村の各字戦時概況図及び屋号一覧) 四〇〇〇円 
戦時記録関係資料集「三人の日本兵と沖縄ー私の中の沖縄」パネル写真集 読谷村役場 二〇〇二年三月二九日 一二〇〇円 問合せ先=098-982-9200
 内容充実、CD-ROM版あり。完全版WEBもあり。戦時記録下巻も待たれる。「三人の日本兵と沖縄」は渡辺憲央氏の写真とインタビュー。渡辺氏は「逃げる兵」(一九七九〜二〇〇〇再版)の著者で、一九一四年生まれ、日刊工業新聞、ベースボールニュースのカメラマンを経て四四年応召。

◆『金武町史』(第二巻 戦争) 金武町教育委員会 二〇〇二年三月三一日 三〇〇〇円 問合せ先=098-968-5277
 本編・証言編・資料編の三分冊セット。これが三〇〇〇円とは驚き、といったら、金武町は米軍基地で金(交付金)がある、ときた。これも内容充実、特に戦後の収容所の資料も必見。

◆『あたしのマブイみませんでしたか』池上永一著 角川文庫 二〇〇二年四月二五日 五五二円 ISBN4-04-364701-8
 一九九九年実業乃日本社「復活、へび女」の改題、加筆の文庫版。池上氏の短編八作所収。

◆『アメラジアンの子供たち ー知られざるマイノリティ問題ー』S・マーフィ重松著 坂井純子訳 集英社新書 二〇〇二年五月二二日 七二〇円 ISBN4-08-720143
 アメラジアンとは、アメリカ籍の親とアジアの国籍の親との間に生まれた人々のこととされているが、この場合、米兵とアジア人女性のことが多い。第一部ではフイリピン、韓国、タイ、ベトナムや戦後の日本での情況が語られ、第二部は「沖縄」。純然たる論文というより読みやすく書かれている。多少課題を同じくする後藤としては多様な視点が欲しいと感じる。

◆『しらべる戦争遺跡の事典』十菱駿武・菊池実編 柏書房 二〇〇二年六月一〇日 三八〇〇円 ISBN4-7601-2216-8
 すでに各方面で紹介されている。がんばって作っていることはわかる。しかし、こういうものは「網羅」できるものではないし、微妙な「誤記誤植」や「見解の相違」など課題が多い。とりあえず、学校や地域の図書館にはおいてほしい。

◆『人骨展示館』又吉栄喜著 文芸春秋社 二〇〇二年六月三〇日 一六六七円 ISBN4-16-320980-8
 又吉栄喜氏の書き下ろし小説。「復帰三十年、人間喜劇」。又吉氏は五五歳、九六年芥川賞、公務員を辞め、作家でいくことにした。

◆『国文学 解釈と鑑賞』二〇〇二・七月号(特集 復帰30年の沖縄と琉球方言) 至文堂 二〇〇二年七月一日 一三〇〇円 雑誌コード=03717-7 T1103717071307
 ちょっと、「言語学」に傾きすぎている。かつて「うちなーぐち」を「不正語」とした教師集団がいたこと、彼らが「復帰運動」を担ったことなども指摘すべきだし、沖縄の、現在の若者の使う「うちなーぐち」、うちなーんちゅが「共通語」だと思って使っている沖縄でしか通用しない言葉のことなど、触れるべきだろう。

◆琉球烈像・写真で見るオキナワ『フォトネシア・光の記憶・時の果実 ー復帰30年の波動ー』琉球烈像展実行委員会編 二〇〇二年七月三日 一五〇〇円

◆『東松照明展 沖縄マンダラ』二〇〇二年七月六日 三〇〇〇円

◆『うるまネシア』第四号 21世紀同人会 二〇〇二年七月一〇日 五〇〇円 問合せ先=09807-4-2717 09807-4-2717
 特集『復帰30年、いま、ふたたび琉球政府?』 平良修氏に聞く ・苦悩する少数派の側に立つ論理・/高良勉 特集にあたって/宮良長起 新しいアジアの歴史的体験として ―「国であって国でない国」の体現―/島袋純 人権と自治の砦・琉球立法院/高良勉 琉球政府・文部科学相/岸本真津 琉球列島暫定政府への道筋/宮城康博 囁く者たちの声 Talking in Whispers/金城朝夫 やっぱり沖縄は日本から解放されるべき/真喜志好一 基地建設より農業への回帰を/新城栄徳 琉球学の開拓者・末吉麦門冬/新垣誠/蛍火/西山俊彦 「うるまネシア」の独立論は「何への独立か」を見つめよう/大城よし武 日本植民地国家論(4)/真久田正 沖縄独立研究・序説(4)/―年金・社会保険・福祉・教育の問題等について―

◆『沖縄ナンクル読本』下川裕治・篠原章編著 講談社文庫二〇〇二年七月一五日 七八一円 ISBN4-06-273469-9
 「ナンクル」は「なんとかなるさ」という沖縄得意の言葉。沖縄好きの人にはもってこいの、暇つぶしの本。

◆『登川誠仁自伝 オキナワをうたう』登川誠仁著 構成藤田正 新潮社 二〇〇二年七月二〇日 一六〇〇円 ISBN4-10-454901-0
 何だか、流行なのか、登川誠仁ものが続いている。実はここでは紹介していないのだが、沖縄では、「写真集」まで出ているのである。しかし、まあ、CDとかビデオで聴いたほうがいいはず。

◆『やんばるに暮らす』浦島悦子著 ふきのとう書房 二〇〇二年七月二五日 一六〇〇円 ISBN4-434-02197-4 (九頁に紹介文)
 浦島氏が「一坪反戦通信」や「週刊金曜日」に書いたものをまとめたものなど。著者得意の「聞き書き」を駆使して、この二・三年書いた、特に、名護東海岸ややんばるのルポ。

◆『太陽と風とカンカラ三線 復帰三〇年記念 沖縄を見続けた写真家 平良孝七の世界』平良孝七写真展実行委員会事務局 二〇〇二年七月二〇日 一五〇〇円 問合せ先=0980-53-5427
 沖縄での各氏の「写真展」は続いている。平良氏の展示会は名護で開催されている。このパンフレットには三八二点所収。

◆『沖縄・ソウル』石川真生写真・著 太田出版 二〇〇二年七月 二〇〇〇円 ISBN4-87233-686-0
 沖縄では、今、三箇所で「写真展」が開催され、三冊は関連の出版物。沖縄での写真は、特に復帰前のもので、「人間」を撮ったものや「行事」は貴重である。めちゃくちゃ厳しい時代なのだが、もののあふれている現在より「人間が生きている」ように見える。石川真生は大病をして、師匠の東松は心配して飛んできたのだが、現在元気はつらつで、後藤は元気をもらっている。一九八八年ごろでていた、写真同人誌「美風」の八・九・一〇号が売られていたので思わず買ってしまった。在庫一掃処分なのだろうか。

◆『カラカラ』二〇〇二年夏 創刊四号(特集 沖縄の風水)プロジェクト シュリ編集発行 二〇〇二年八月一日 七〇〇円 雑誌コード=12359-8 T1112359080707

 ちょっとディープな沖縄情報と泡盛情報。ちゃんと四号まで出すところが沖縄の雑誌と違う。
◆『ひめゆりと生きて』仲宗根政善著 琉球新報社 二〇〇二年八月六日 二四〇〇円 ISBN4-89742-046-6
 仲宗根氏(一九〇七〜一九九五)の一九五三年から一九八七年まで記された「ひめゆりの塔の記」の摘録。二〇〇一年に琉球新報に連載された。年譜によると、一九八二年一坪反戦地主会顧問に就任とある。「ひめゆり学徒隊引率教師」、戦後琉球大学教授。仲程昌徳氏の解説所収。

おまけ
◆ハンセン病啓発ビデオ『沖縄愛楽園から伝えたいこと』(三五分)国立療養所沖縄愛楽園自治会製作 二〇〇二年六月 三〇〇〇円 問合せ先 自治会=0980-52-8115
 沖縄戦・米軍支配、そして国賠訴訟、愛楽園は静かに存在し続けている。貴重な証言も収録されている。