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第136号(2002年5月28日発行)

巻頭言

 自虐主義という言葉

 五月八日に発生した日本総領事館への亡命希望者駆け込み事件は、本人たちの韓国への入国が実現して一応の終結を見た。その間約二週間、新聞記者から対応を問われて、小泉純一郎氏の口から出ていたのは「毅然として慎重に」と言う言葉の繰り返しだった。「優柔不断で軽率に」やれとは誰も言わないのだから、この「毅然として慎重に」は決まり切った当たり前のことを言っただけで、ほとんど何の意味も持たない。それが総理大臣の外交方針として語られ、まかり通るとはこの国は不思議な国である。

 民主党の議員二人が、現地へ行って外務省報告にはなかった四件の事実を指摘したところ、小泉氏はそれについて「日本側の非をあげつらって『日本がダメだダメだ』というのは、あまりにも自虐主義じゃないか」と非難したという。

 どこの国も政府というのは、政治家や官僚に都合の悪いことは隠し、相手国政府を悪者に仕立て上げて、愛国心をあおり立てるのが通り相場だが、踊らされる国民はたまったものではない。戦前の日本では『大本営発表』と称してそういうことが行われ、国民の判断は狂わされて、「一億一心、火の玉となって」戦争に血道を上げた。

 小泉政府は「有事法制」と総称される三法案を今国会で成立させて、戦争体制に突っ込もうとしている。人々の冷静な情報収集や判断を『自虐主義』という言葉で暴力的に押さえ込み、『皇国史観』に立ち戻ろうとする、政府の姿勢を許してはならないと思う。         
 (U)