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沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック
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『一坪反戦通信』 毎月1回 28日発行 一部200円 定期購読料 年2,000円

第131号(2001年12月28日発行)

後藤聡の
沖縄・新刊案内

◆『ウチナー事情入門』 沖縄国際大学日本語教育教材開発研究会編 二〇〇一年四月一日 問い合わせ=ペナント(098-861-6769)
 海外留学生向きにしては、ちょっと難しい「沖縄入門」のテキスト。逆に、小学校高学年以上の「沖縄理解」のための本として読めばおもしろい。巻末に日本語・英語・ハングル・スペイン語・繁体字・簡体字の語彙集。

◆『民俗の火よ永遠に -古波津英興追悼集』二〇〇一年四月一五日 二〇〇〇円 沖縄民権の会 (044-355-0073)
 一九九九年四月、九一歳で不慮の事故で亡くなられた古波津さん。多くの方々の追悼文はたんなる思い出ではなく、沖縄のこころでつづられている。

◆『うらそえ文芸』第六号 二〇〇一年四月三〇日 一二〇〇円 うらそえ文芸編集委員会 問い合わせ=浦添市文化協会事務局(098-878-4553)
 特集は「沖縄現代詩の現在」、座談会「沖縄芸能の神髄を語る」、他に石原昌家「平和祈念資料館の見方」など、短歌・俳句・エッセイ・論文・小説など盛り沢山。発行責任はやはり多才の星雅彦氏。

◆『名嘉睦念 -版画・沖縄・島の色(NHK課外授業・ようこそ先輩)』 KTC中央出版 二〇〇一年五月七日 一四〇〇円 ISBN4-87758-208-8
 一八八二年創立の沖縄・伊是名村立伊是名小学校で一九九九年一二月、名嘉さんは授業を行った。そしてみんなで版画を製作した。

◆『光と風と神々の世界』比嘉康雄回顧展実行委員会 二〇〇一年五月一三日 一〇〇〇円 問い合わせ=098-862-8011
 昨年惜しくも六一歳で没した写真家比嘉康雄氏の回顧展の記念パンフレット。氏は「神々の古層」全12巻など、「写真家」という呼称ではとどまらないものを残された。多くの人が呼びかけ人になったことからも氏を惜しむ声が多い。琉球警察で「鑑識」のためにカメラにふれ、一九六八年嘉手納基地でB52が墜落炎上したことを契機に警察を辞め、あらためて写真を学び、沖縄にこだわり続けた。

◆『ジュゴンの海は渡さない -いのちをつなぐ美(ちゅら)海を子どもたちに』ジュゴン保護基金 ふきのとう書房 二〇〇一年五月二五日 六〇〇円 ISBN4-434-01105-7
 コメント不要。ジュゴンが沖縄を救う。

◆『ハベル(蝶)の歌 -沖縄のたましい』(神奈川大学評論ブックレット16)安里英子著 御茶の水書房 二〇〇一年五月二五日 八〇〇円 ISBN4-275-01865-6
 高良留美子評 「安里さんの言葉は沖縄の魂の化身として、生命のつらなりの中を蝶のように飛びつづける」  安里英子は沖縄で、詩も文も書き、様々な活動の只中にも常に参加している。ヨーロッパを歩いているかと思えば、ソウルや東京で講演し、明日の日曜日は佐敷の干潟を歩く。沖縄の精神文化を読みやすくまとめた好著。

◆『母に生かされて』川満彰著 自費出版 二〇〇一年五月三一日 一八〇〇円 問合せ先 具志川市兼箇段228-3
 川満は沖縄・平和ネットワーク会員。 一九四一年、宮古島・狩俣から二三世帯が満蒙開拓団として旅立った。ひとつの家族が、どうなっていくか、川満は自分の父、おばを通して「民衆史」をていねいに試みている。

◆『底辺の女たち-基地の街に生きる』(PART1・コザ編 PART2・吉原編)沖山真知子著 ひろ編集工房(098-853-4954) 二〇〇一年五月 一〇〇〇円
 著者は、一九四四年生まれでコザで育ち、現在宮古・伊良部町在住。二〇歳で書いた短編が、当時の「沖縄新潮」で入選。その五年後、本編を書き、あたため今回出版した。いわゆる、戦後沖縄の米兵相手の女性たちを描いた小説だが、このテーマは、まだ「小説」でしか表現できない。稚拙といえば失礼だが、当時の雰囲気を知るには読んでおきたい。沖縄でもやっと手に入った。

◆『沖縄大衆食堂』仲村清司+腹ペコチャンプラーズ 双葉社 二〇〇一年六月五日 一二〇〇円 ISBN4-575-29234-6
 例によって「おばあ」なんかのノリで、沖縄の食堂・メニュー満載。後藤ごひいきの「かっちゃん食堂」も登場。

◆『アメラジアンスクール -共生の地平を沖縄から』照本祥敬編 ふきのとう書房 二〇〇一年六月一日 一六〇〇円 ISBN4-434-00958-3
 アメリカの軍人・軍属とアジア人とのあいだに生まれた子供。沖縄でも、国籍がなかったり、結婚、出産、離婚、と課題が少なくない。母親たちは、子供の「教育」のため、自分たちで学校を作った。

◆母と子でみる54『20世紀の戦争 沖縄地上戦』写真・共同通信社、解説・荒井信一 草の根出版会 二〇〇一年六月一四日 二八〇〇円 ISBN4-87648-162-8
 荒井氏は茨城大学教授。写真は米軍、米通信社からのものを共同通信が入手したもので、初めて公開されるものも少なくない。ようやく、この本が沖縄で出回った。

◆『「ウミガメと少年 -野坂昭如 戦争童話集 沖縄編』野坂昭如・文、黒田征太郎・絵 講談社 二〇〇一年六月一五日 一八〇〇円 ISBN4-06-210757-0
 野坂は「沖縄と向き合うことが、物書きの最後の務め」といい、黒田は「戦後なんて、この地球上に一度もおとずれていない」という。野坂は、辺野古の海を訪ね、書けないといった。そして、ようやく……。

◆『ボルネオに渡った沖縄の漁夫と女工』」望月雅彦著 ボルネオ史料研究室(03-5648-8338) 二〇〇一年六月一五日 一五〇〇円
 著者は、ボルネオ・サラワクなどの沖縄移民研究家。詳細はhttp://www.borneo.ac/。資料としては貴重。

◆季刊『けーし風』第三一号 新沖縄フォーラム刊行会議(098-832-5599) 二〇〇一年六月二〇日 五〇〇円
 特集は沖縄の環境問題。新崎さんが沖縄大学の学長に復帰され、おつれあいが編集に大活躍。秋山さんも非常勤になり、しかし内容は盛り沢山。

◆『糸数家の人々』糸数貴子著 ボーダーインク 二〇〇一年六月三〇日 一六〇〇円 ISBN4-89982-012-7
 糸数貴子が何者か、説明しがたい。ともかく、沖縄女性のホープ。沖縄ではベストセラーになる予定。

◆沖縄のガイド&マップ2『おきなわの戦跡と基地』すくえあ出版(098-947-1901) 二〇〇一年 五〇〇円
 地図と解説を裏表で表示。コンパクトだがいい解説。

◆これぞ総合学習 高校生みずからの企画・実践・まとめ『わたしたちの平和学習  HANDS TO HANDS 沖縄・東京・朝鮮半島』沖縄県教育文化資料センター(098-884-4555) 高校生頒価五〇〇円、組織内頒価六〇〇円、一般頒価一〇〇〇円
 沖縄の高校生はがんばっている。永六輔氏のインタビューやパソコンやテレビ電話などを駆使しての現代高校生の意識。久高さん、発行日付がないよ。

◆『ひとこと ウチナーグチ』沖縄文化社編 二〇〇一年七月三日 九五一円
 空港や国際通りの本屋で売る、観光客向けの、ウチナーグチ単語集。実際には使えないけど……。

◆『現代思想』七月臨時増刊 二〇〇一年七月五日 一五〇〇円 ISBN4-7917-1076-2
総特集 戦後東アジアとアメリカの存在
 鳥山淳 「地上戦の島の戦後」-沖縄の米軍基地の成り立ちをめぐる断章/波平恒男「大城立裕の文学にみる沖縄人の戦後」 /比屋根照夫「五十年代・沖縄の言論状況」-「那覇市長問題」を中心に/屋嘉比収「質疑応答の喚起力」-文富軾の講演について など全二三編の論文集

◆『沖縄 島唄紀行』藤田 正・文 大城弘明・写真 小学館 二〇〇一年七月一〇日 一六〇〇円 ISBN4-09-343170-1
 二九曲の、沖縄の島唄に合わせ、写真と文が秀逸。本の作りも、センスの良さが伺える。

◆『未来のノスタルジア -ジュゴンの海へ』黒田征太郎 絵と文 小学館 二〇〇一年七月一〇日 一〇〇〇円 ISBN4-09-727328-0
 喜納昌吉が歌う「未来のノスタルジア」を、名護東海岸で聞く。黒田は、クレヨンと水彩で絵本をつくる。

◆『南の島から日本を見る 沖縄的人生』上野千鶴子ほか 天空企画編 二〇〇一年七月一五日 五三三円  ISBN4-334-78104-7
 上野千鶴子は、あの上野千鶴子。他にばかばかしくも、様々な論調で、暇つぶしにはいい。

◆『民衆を彫る -沖縄・100メートルレリーフに挑む』金城実著 解放出版社 二〇〇一年七月一五日 一八〇〇円 ISBN4-7592-6059-5
 飲んだくれの親父のようだが、百メートルレリーフに挑む姿は鬼気迫る。読谷のアトリエには、製作中の作品を見ることができる。この本は、彼の思いがすべて詰まっている。七月一九日具志川で大勢の人が出席して、出版記念会があった。

◆『地域と関わる 沖縄総合学習 大好き与那原 山原船がきた海辺の町』宮城アケミ著 民衆社 二〇〇一年七月二五日 二六〇〇円 ISBN4-8383-0836-1
 宮城は丸木政臣氏主宰の日本生活教育連盟のメンバー。(?) 与那原東小学校の教師。そう、かつてやんばるからの船がやってきた、軽便鉄道が走っていた与那原。今は海もなくなり、排気ガスの町になってしまった。文字通り「総合学習」、こんな勉強、沖縄の小学生はしている。

◆『ガイドブック 首里城 -なりたちから今日まで』久手堅憲夫著 あけぼの出版 二〇〇一年七月二七日 一三〇〇円 問合せ先=098-888-2980
 文字通りガイドブックなのだが、「あけぼの出版」は、沖縄人民党機関紙「人民」縮刷版などを出版している。そういう出版社である。「沖縄戦と米軍占領下の首里城」という項目を設け、(その部分のみ久手堅憲俊氏執筆)興味深い。

◆『自決 こころの法廷』澤地久枝著 NHK出版 二〇〇一年七月三〇日 一四〇〇円 ISBN4-14-080619-2
 一九〇三年沖縄で生まれた親泊朝省は、県立一中から、陸幼、陸士を経て終戦時陸軍大佐(陸軍報道部)。一九四五年九月三日、妻、子供二名とともに「自決」した。澤地は聞き取り調査、資料発掘により、「真実」に迫る。

◆『細道の奥 -マヤーサッテ那覇の路地裏』渡辺愛美著 ボーダーインク社 二〇〇一年七月三〇日 一二〇〇円 ISBN4-89982-014-3
 那覇市内の路地裏風景を撮った写真集。何のことはない、沖縄の、街の風景で、著者もプロの写真家ではなく、写真屋でパートをやってるらしい。しかし、あ、こういう写真、自分でも撮っておきたい、という写真ばかり。やられた、っていう感じ。「まやーさって」とは「惑わされて」という意味。

◆『歌集 歌はわが杖 わが祈』里山るつ著 自費出版 二〇〇一年七月三〇日 二〇〇〇円 問合せ先=名護市済井出1192 里山るつ
 里山さんは一九二二年生まれ、一二歳でハンセン病発病、一九四二年失明、一九四七年以来沖縄愛楽園で生活。「幼な日に 叔父の面 浮かぶ 平和の礎の 刻銘なずる」「病ゆえ 学校やめし 母を訪える友は 戦後無事かと この頃思う」

◆『憲法を実践する村 -沖縄・読谷村長奮闘記ー』山内徳信著 明石書店 二〇〇一年七月三一日 一八〇〇円 ISBN4-7503-1447-1
 いうまでもなく、山内は高校教師を経て読谷村長を二三年半、大田県政で県出納長。題名通りの内容は圧巻。

◆『歴史と実践』第二二号沖縄県歴史教育者協議会編集 二〇〇一年七月 一〇〇〇円 問合せ先=琉球大学教育学部里井研究室(098-895-8343)
「真実と教育に背を向ける教科書」/「米軍基地と私たちのやんばる」/「アメリカ化した北マリアナを考える」/「授業実践 21世紀を展望する」 特集四本、一八人の執筆者。