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沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック
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『一坪反戦通信』 毎月1回 28日発行 一部200円 定期購読料 年2,000円

第129号(2001年10月28日発行)

後藤聡の
沖縄・新刊案内

◆『沖縄に死す 第32軍司令官牛島満の生涯』小松茂朗著 光人社NF文庫 二〇〇一年一月一二日 六一九円 ISBN4-7698-2297-9
 一九八九年発行の単行本の文庫版。何の批判的考察もない、見てきたような「講談話し」で、あとがきには「大変な戦禍をこうむった沖縄の人たちだが、牛島を非難する者は少ない。今でも彼をなつかしむ者が多い」だと。ま、「沖縄戦」もこういう「歴史観」に支配されていく時代、というべきか。

◆『なは女性史証言集 第4号 女のあしあと・祖母・母 そして私が生きた時代』那覇市総務部女性室刊 二〇〇一年一月一五日 七〇〇円 問い合わせ098-861-7520
 「なは女性史」証言・体験記 応募作品。沖縄の民衆史はこういう証言集から聞くことができる。

◆『石垣島発「トゥンナ」VOL.2』しかくまめ刊 二〇〇一年一月一五日 六〇〇円
 一号は未見。石垣島発行の石垣島案内。とにもかくにも、ディープな八重山研究にはいい。三号は七月に出るというが信用できない。HPがある。「しかくまめ」で検索してみよう。

◆刀水歴史全書51『沖縄の反戦ばあちゃん・松田カメ口述生活史・』平松幸三編 刀水書房刊 二〇〇一年一月一五日 二〇〇〇円 ISBN4-88708-242-8
 カメさんは一九〇三年、北谷(ちゃたん)村伊礼、現在の米軍・キャンプ桑江で生まれた。結婚してサイパンで暮らし、「沖縄戦」はサイパンで体験する。一九四六年二月二〇日、帰沖。一九八二年嘉手納爆音訴訟原告として、反基地闘争を先頭で闘う農民カメさんの生涯を周辺の記録と共に綴られている。「民衆史」として、秀逸な出版。必読!!!

◆沖縄ナンデモ調査隊『沖縄のナンダ』双葉社双葉文庫 二〇〇一年一月二〇日 四七六円 ISBN4-575-71184-5
 ウチナーンチュも悩む沖縄の疑問一一八の不思議大明解、だって。売らんかな、ではあるが、おもしろい。

◆『日米結婚・離婚・子どものためのハンドブック・米軍基地から派生する女性の諸問題調査事業・』沖縄県女性総合センター「てぃるる」(098-866-9090)編集 沖縄県総務部知事公室男女共同参画室(098-866-2010)刊 二〇〇一年一月三一日 非売品 
 当たり前だが、沖縄には米軍人・軍属がいて、沖縄人・日本人と結婚することもあり、多くが「幸せ」だろうけど、「トラブル」も少なくない。
 「アメラジアン」と呼ばれる、米軍人とアジア人女性との間に生まれた「子ども」は沖縄だけでも何千人といる。国籍・名前・離婚・親権などなど、何をしたらいいのか、どこに相談したらいいのか、この四〇頁ほどのパンフレットは、役に立つ。役に立つのだが、このパンフレットの存在そのものが、沖縄とは何か、米軍人・軍属とは何か、考えさせられる。要するに、それほどに、トラブルがあるということだ。

◆『EDGE No.12 想像の共同体・日本・ かくも生々しくかくも物哀しい物語があった・・沖縄の子ら・はどのように日本人になった/されたか?!』APO(098-862-8011)刊 二〇〇一年二月一〇日 一二〇〇円
 ひとつは、副題にあるテーマなのだが、「復帰」を問う。子どもたちは五〇−六〇年代、学校教師によって、このように「日本人」にさせられた。共通語励行、日の丸、などなどの資料を多数掲載。ウチナーグチを教師たちは「不正語」と指導していたことがわかる。今でいえば「復帰幻想」だったのだが、知らないで第一線の教師たちはやらされていたのだろうけれど、「日本の実態」を知っていた人たちも「本土留学組」などいたはずだ。日の丸を買わされ、振らされた生徒たちは、教師たちを許さない。もうひとつ、「女性国際戦犯法廷」の報告も良。前記小橋川博さんのインタビューも良。

◆『小説「遊女(ジュリ)たちの戦争・志堅原トミの話しから・』船越義彰著 ニライ社刊 二〇〇一年二月一〇日 一六〇〇円 ISBN4-931314-44-9
帯びより 「遊女から慰安婦へー貧しさから遊郭へ身売り。さらに沖縄戦で慰安婦にならざるを得なかった女の哀しみ、時代に翻弄されたその行きざまを取材をもとに描きあげた著者会心の作」
 後藤は、「沖縄民衆史」のようなものを、想起しています。沖縄では、沖縄戦の聞き書きを除き、民衆が登場する場面がありません。いや、、民衆が歴史に係わらなかったわけではありません。しかし、ともすると、インテリ・エリートの歴史になりがちでした。特に「個人」としての沖縄史への係わりは、十分ではありません。もちろん、様々な差し障りがあり、名前や顔を出せない、ということもあるのですが、埋もれたままでいいのかという問いが残るのも事実です。
 一二月二〇日コザで開かれた「コザ三〇年」は思い出話しではない、いい試みでしたし、上里和美の戯曲「カフェ・ライカム」もそういう視点をもったものと理解しています。
船越氏の小説は、まだ「歴史」として書ききれないテーマを「小説」の形で表現したものです。七五歳の著者が、「五年がかりで上梓し、うれしい」と自ら語る意気込みを評価したいのです。
 ニライ社の住所が那覇市辻一・一・六というのも何かを感じさせます。

◆『一兵士の記録・私の沖縄戦・』月居義勝著 文芸社刊 二〇〇一年二月一五日 一二〇〇円 ISBN4-8355-1265-0
 著者は、北海道夕張市生まれ、沖縄戦当時「山三四八〇部隊・第二大隊・第五中隊・指揮班」陸軍上等兵。現在七七歳。非常に詳細な沖縄戦個人史だが、原稿用紙一二〇〇枚は圧巻。

◆『いゆまち』第三二号 沖縄地域ネットワーク社(098-874-5040) 二〇〇一年二月二五日 一〇五〇円
 特集 ジュゴンのすむ海V 泡瀬干潟埋め立てを問う!/モズク生産・加工・流通・研究最前線
 リニューアルして二号目、この雑誌のウリは「海・魚・自立経済・エコロジー」なのだ。下記の「美ら海」に比して主張がハッキリしている。姉妹誌「琉球弧」もよろしく、といわれている。

◆『沖縄県史 資料編12−アイスバーグ作戦(和訳編) 沖縄戦5』沖縄県教委訳 二〇〇一年二月二八日 五〇〇〇円 問い合わせ=財団法人沖縄県文化振興会公文書管理部史料編集室(098-888-3939)
 アイスバーンではなく、「アイスバーグ作戦」は沖縄戦ー米軍の「第10軍沖縄侵攻作戦計画書」で、「沖縄戦研究の基礎資料」である。詳しくは下記「琉球新報」記事参照。
http://www.ryukyushimpo.co.jp/news01/2001/2001_03/010308a.html