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第127号(2001年8月28日発行)

     ジュゴン.フォーラム特別企画

      『鳥たちが村を守った』

 去る八月二四日(金)午後六時半より東京・渋谷の環境パートナーシップオフィス、エポ会議室において当会主催のジュゴン・フォーラム特別企画として、沖縄からのゲスト二人を迎え講演と鼎談が開催されました。この企画は当会の運営委員であり、以前野鳥の会の職員であった竹下信雄氏と、彼を取材した元沖縄タイムスの記者比嘉康文氏の関わりから始まりました。

 今から三十年前、天然記念物ノグチゲラの棲む森、沖縄やんばる地域で、米軍が山を削り大規模な実弾砲撃演習を強行しようという事件が起きました。しかし、住民の命をかけた抵抗と、沖縄と本土を結んだ自然保護団体のノグチゲラの森を守れという米政府への働きかけにより、演習は中止されました。この時、財団法人「日本野鳥の会」の事務局長として沖縄からの保護を求める依頼に応えて米政府や、世界の自然保護団体に働きかけたのが竹下氏だったのです。当時の資料と証言を一冊のドキュメントとしてこの四月に同時代社から発表された『鳥たちが村を救った』の著者比嘉氏のまえがきの言葉「かつてノグチゲラが沖縄の自然と人々の平和な生活を守ってくれた前例にならって、私たちがジュゴンを守ることによって私たちが守られるのではないかと、希望をふくらませている」この言葉に深くうなずく「北限のジュゴンを見守る会」の竹下氏と私たちは、是非とも比嘉氏をお招きしたいと考えました。また、現在のジュゴン保護運動の実情を比嘉氏とも懇意なジュゴン保護委員会の事務局次長である浦島悦子さんに語ってもらい、やんばるの森とジュゴンの海を繋いで沖縄の平和と自立について三名の深い洞察をうかがいました。

 比嘉氏によれば、政府北部振興資金(初年度一〇〇憶円分)のバラマキはすでに始まっていて、労働組合から魚連にまで莫大な資金がばらまかれようとしている、その中で露骨な振興資金に頼らない地道な自立への振興策への試みも始まっている。浦島さんは地元の人々のジュゴンへの想いと日常を淡々と語り、竹下氏は自らの自然保護運動の歴史から今後のジュゴン保護の行方を展望されました。

 会場には、環境省自然保護局の局長も参加され、日米安保体制の中のジュゴン保護活動の難しさと共に環境省として「北限のジュゴン」を絶滅させてはならない、「生物多様性国家戦略」に則った「種の絶滅」は避けるという大方針の元に様々な試みをしようとしているという発言がありました。

 一九七〇年の暮れに米軍の実弾演習問題が起き、大晦日に演習中止の報道があり、翌年一九七一年七月に環境庁が発足しました。この二〇〇一年一月、環境省として各省庁をリードすべく再出発したいま、例え日米の軍事政策がどうあろうと、国際的な理念と次世代に恥ずかしくない責務を果すことを期待しています。

 日本という国が何処へ行こうとしているのか、沖縄が悪い夢から覚めて真の平和と自立への道を歩もうとするのか、ジュゴンがその青い海の果てからじっと見つめているように思えてなりません。

(北限のジュゴンを見守る会 鈴木雅子)

  (関連集会の案内は付録資料四頁参照