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第127号(2001年8月28日発行)

自著を語る

 アメリカの戦争と日米安保体制

       在日米軍と日本の役割

 近年アメリカでは政府秘密文書の解禁・公開が進み、研究機関やNPOの研究者たちが、政府解禁文書や情報公開法を駆使して取得した秘密資料を集めて、互いに連携をとりながら研究を進めている。日米関係の歴史においても、「六〇年安保の秘密協定」「小笠原・沖縄返還時の秘密協定」「日本への核兵器の持ち込み」などが明らかになりつつある。

 本書の第一部「米軍基地と日米安保体制」は、インターネットのホームページに集積されているこれらの秘密解禁文書群を主な資料として、在日米軍基地をめぐる日米安保体制の実像を検証しようと試みたものである。第二部「アメリカの戦争と日米安保体制」では、その在日米軍基地・在日米軍部隊が、第二次大戦後にアジアで戦われたアメリカの戦争でどのように使われたかということを、朝鮮戦争・ベトナム戦争・湾岸戦争という三つの大規模戦争と、情報収集艦プエブロ拿捕事件・EC-121電子偵察機撃墜事件・軍用船マヤグエス拿捕事件という三つの小規模戦闘のそれぞれにおいて、アメリカ政府の政策意図とともに確認することを試みた。

 「沖縄返還」には、ベトナム戦争をかかえた軍部は、「基地の自由使用」が損なわれるとして徹底的に反対していた。米政府も当初は軍部と同じ立場で沖縄返還など歯牙にもかけぬ様子であったが、沖縄・本土での民衆の果敢な抵抗運動が高まるにつれて、反基地運動が「沸騰点・爆発点」に達し基地の維持が不可能になる前に返還するほうが得策という判断から、早期返還へと路線を転換する。沖縄返還を実現した原動力は、日本の佐藤政権やアメリカのジョンソン=ニクソン政権を突き動かした、民衆運動の力であった。

 しかしその一方で、沖縄返還は「事前協議の無化」「空母ミッドウエーの横須賀母港化」などに象徴される、日本列島の総軍事化体制へとつながって行く。新ガイドライン安保体制の起点として、いまもう一度、日本政府の行動が問い直されなければならない。

  島川雅史(立教女学院短期大学教員)

社会評論社刊 本体2000円
2001年7月31日
ISBN4-7845-1415-5