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第124号(2001年5月28日発行)

【沖縄・読書案内】

 『鳥たちが村を救った』

     比嘉康文著 

 沖縄が、一九九八年の「大田県知事選挙敗北」以来、なんとなくしょぼくれているように感じているのは自分だけなのだろうか。戦術のまずさを感じながらも、ことごとく選挙は革新が負け続けている。昨日まで仲間だった者同士が、票の奪い合いをし、勝っても負けても十分な総括をしないまま、次の選挙戦が始まる。また違う組み合わせや、あの人何ででるんだろ、という人が出馬する。米軍の事件・事故はあとをたたない。しかし、相変わらず何一つ解決しない。県や市町村議会の決議や意見書はヤマのようにでても、基地も米兵も減らないどころか、自衛隊の基地を誘致しようとしたら自衛隊より先に米軍ヘリがやってくるという始末である。

 そんなこんなの沖縄状況は、微妙に人間関係に影響する。親しかったものが疎遠になる、会っても口をきかない……。正直、辛い……。ずいぶん、愚痴っぽくなってしまった。

 で、そんな時には、やっぱり元気にならなければならない。沖縄で元気になるためには、沖縄戦後史のなかで、民衆が闘いに勝利した歴史から学ぶことである。戦後の沖縄は「銃剣とブルドーザー」で沖縄住民の土地が取り上げられ米軍が金網で囲ってしまった。確かにそうには違いないが、いくつかの住民の闘いで米軍の思惑通りにならなかったことがある。一九六五年から一九七〇年にかけての「昆布」の闘い、一九八八年から九〇年にかけての「恩納村」での闘いは、米軍基地の拡張や都市型戦闘訓練施設建設の目論見をものの見事にうち破った。

 『鳥たちが村を救った』は、一九七〇年一二月二三日、沖縄タイムスがすっぱぬいた「米軍、国頭(沖縄本島北部)に実弾射撃場を設置」という計画を、「ノグチゲラ生息地」を守れという沖縄及び世界の世論によって米軍に断念させた貴重な記録である。比嘉康文氏は沖縄戦や米軍基地に関するスクープを何度もものにした沖縄タイムスのベテラン記者である。闘いは、当時のランパート高等弁務官をして「今後、いかなる演習も行わないことを決めました」といわしめた。

 いうまでもなく、普天間基地の県内移設=辺野古新基地建設反対の闘いは様々な切り口によってなされている。「ジュゴン保護」、「泡瀬干潟を守る」活動も、「鳥たちが村を救った」ように、ジュゴンが村を救うことを信じたい。

 「勝利した闘い」から多くを学ぶことができる。『沖縄はもうだまされない』」(注)と合わせて読まれることをお勧めする。

             (沖縄 後藤聡)  

(注 真喜志好一他著、高文研刊、本誌第一一六号に真喜志さんによる紹介がある)

同時代社刊
本体1,600円
2001年4月24日発行
ISBN4-88683-443-4