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第123号(2001年4月28日発行)

【連載】 

   「思いやり予算」違憲訴訟・東京 (一一)
          控訴審判決


      控訴棄却に法廷は怒号の渦

      裁判から情報公開請求へ

 昨年末の東京地裁判決(第一一八号参照)を不服として控訴していた在日米軍駐留経費違憲訴訟(いわゆる「思いやり予算」違憲訴訟)の控訴審は、三月一二日に第一回口頭弁論が開かれたが、まったく審理をせずに結審し、四月二三日に判決があった。判決冒頭、原告側は「控訴審といいながら、まったく原告の意見を言う機会がなかった。せめて判決くらいはきちんとを読むように」と要求したが、近藤崇晴裁判長は「読みます」といいながら、読んだのは主文のみ。結局、控訴審は審理のないまま合計しても数分という全くの茶番で終わった。同時刻に三つの裁判の判決言い渡しが予定されていたが、われわれは一番目の判決言い渡しを要求した。原告席に最初から陣取るためと、判決言い渡し後、裁判官にスタコラと退席させないためである。地裁・高裁と終始誠実に対応してきた原告ではあるが、さすがにこの裁判官の態度には怒りが爆発。法廷は一時怒号の渦となった。しかし裁判官は「蛙の面に小便」で、淡々と残りの判決を言い渡していた。国民に奉仕すべき公僕としての自覚などまるでない。
 
  恥さらしの裁判官は次の通り
 
     裁判長 近藤 崇晴
     裁判官 宇田川 基
     裁判官 原  克也
 (第一回口頭弁論は原ではなく合田かつ子)
 
 判決後、弁護士会館にて相談会。判決文は実質六ページ、内容は一審判決をそのままコピーしたようなものだったことが明らかに。審理がなかったのだから、書きようがないのは分からぬではないが、もう少しまともな論理で棄却しないと、裁判官の知的レベルが疑われる。上級審ほどまともな判決が期待できないこの国では、最高裁に上告して「思いやり予算」合憲の判例を出させるのは無意味ということで、今回はここでうち切ることにした。裁判は論理のバトルのはずだが、この国ではまったく論理は通じないのだから残念ながらしょうがない。税金の不正支出を正すと共に「知的ゲーム」をも期待していた筆者には、審判と相手のレベルの低さにただただあきれるばかりだ。

 不本意な結果といえ、わがままな原告にここまでつきあっていただいた内田弁護士・矢花弁護士はじめ代理人の方々にこの場を借りて感謝の意を表します。なお、五月二一日に裁判の報告集会を行う予定。詳細は未定ですが、是非参加を。
 

 さて、話にならない裁判を一時離れ、十二人のめげない原告たちは、四月一日に施行されたばかりの「情報公開法」を使って「思いやり予算」の不法を明らかにするために外務省の情報公開室に向かう。こういうものこそきちんとしたところに作れと言いたいのだが、駐車場の片隅に造ったプレハブ二階建てである。前途が思いやられる。

 施行されたばかりだからさぞや混雑しているものと思いきや、請求者は誰もいない。職員さえ窓口にはいなかった。部屋にはコンピュータが八台、文書などの検索ができるようになっているが、出てきた職員に質問しても要領を得ない。各自勝手に操作することにする。

 筆者はあらかじめ「電子政府の総合窓口(下記のURL参照)」で面白そうな文書ファイルを検索してきたので、そのリスト(下記の参考例を参照)を見せて具体的な請求方法を聞いた。しかし文書ファイル名を具体的に示しても、該当文書の管理担当課に問い合わせなくては詳しい内容も分量も分からないという。インターネット検索で出てくる情報以上はその場では得られない。しかも、文書ファイルの内容(その中の小項目等)を知るためだけで、請求は一件と数えるらしく、一件毎に開示請求手数料(一件三百円)をとられる仕組みである。これではインターネットで検索できる情報はほとんど役には立たぬことになる。さらに、これらのファイルは全て公開されるわけではなく、この中でも非開示になるものもあるとのことで、このままではまるで使えないシステムというしかない。しかたがないので、実際にどのような情報が開示されるか試しに各自一件ずつ公開請求をした。開示・非開示の決定は三十日以内だが、「正当な」理由があれば三十日以内の延長が認められている。しかし、しかし、「著しく大量な文書の開示請求」に対しては相当の部分を六十日以内、残りの文書は相当の期間内に開示決定することになっている。何のことはない、無限の時間稼ぎが可能になっている。実際窓口の職員は、文書ファイルを全部みたい等という場合には何年かかるか分からないと言う始末だ。これほど煩雑で効率の悪いシステムでは、施行以来の開示請求件数が九百件程度だというのもうなずける。誰も期待していないと言うことだ。

 教訓
 インターネットでの検索はほとんど役に立たない。直接窓口に出向いて、手持ちぶさたにしている職員を捕まえるか、担当部署の人間(たとえば、北米局日米安全保障条約課)を呼びつけて、こちらの目的としている文書について納得のいくまで質問すること。情報を得るにはかなりの根気がいることを覚悟する必要がある。
 (M)


 付録 インターネット検索
 「電子政府の総合窓口」(http://www.e-gov.go.jp/)で、「各省庁が保有する行政文書に関する情報 」をクリックし、出てくる検索画面で、省庁を指定し、キーワードを入力して、「検索実行」ボタンをクリックする。例えば、在日米軍をキーワードに外務省の文書を検索すると、四二件がヒットする(四月二四日現在)。概略のリストが出るので、興味ある文書ファイルの詳細をみる(下記参照)。
 

概要
作成時期:1986年 5月 9日
省庁名:外務本省
分類(大) :対北米地域外交
分類(中):日米地位協定
文書ファイル名:
 労務費特別協定(米側とのやりとり)

詳細
省庁名:外務本省
文書分類(大):対北米地域外交
文書分類(中):日米地位協定
文書分類(小):在日米軍駐留経費
文書ファイル名:労務費特別協定(米側とのやりとり)
作成者:外務省北米局日米安全保障条約課
作成(取得)時期:1986年 5月 9日
保存期間:永年
保存期間満了時期
媒体の種別:紙(4穴ファイル)
保存場所:執務室書庫
管理担当課・係:外務省北米局日米安全保障条約課