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第122号(2001年3月28日発行)

【報告】
 
 頻発する事件に我慢も限界

   海兵隊の撤退求め県民集会

 
 二〇〇一年を迎えた沖縄は真津で前世紀の矛盾が一度に吹き出しているかのようだ。基地の集中する中部から北部にかけて米兵による傷害、窃盗事件、わいせつ事件、放火と相次いでいる。金網の中で安全を保証された彼らが、外へ出てきては好き放題のことをする。その度に繰り返されてきた抗議と綱紀粛正要請が何度反故にされてきたことか。

 県議会をはじめとして、二月末現在で海兵隊の削減、撤退を決議したところは三十件に及ぶ。事件を防ぐために、あえて友好的に振る舞ってきた各市町村も我慢の限界を超えた。さらに、三月一六日には北部恩納駐屯地所属の航空自衛官が女子中学生を襲う事件が起こった。「良き隣人」の米軍であれ、「国民の生命・財産を守る」自衛隊であれ、いかに県民を痛め続ける存在であるか、もはや疑うべくもない。

 三月一七日(土)午後五時から「米軍による事件糾弾!海兵隊の撤退と基地の県内移設に反対する県民集会」が宜野湾市普天間中学を借りて開かれた。主催は県民会議。朝から降り続いた雨もようやく上がり、海勢頭豊さんの「喜瀬武原」の歌声で始まった。

 共同代表の佐久川政一さんに次いで四名の国会議員からも挨拶があった。東門美津子さんは国会での八ヶ月間、いかに「本土」が沖縄の負担を強いていながら何も知らないかを痛感させられたと語り、照屋寛徳さんは頻発する事件・事故に対してもなお地位協定の運用改善に固執する外務省は害務省でしかないと断じた。

 今日も辺野古のオバーターは金城祐治さんの運転する「命を守る会」の車で九名が顔を揃えた。皆変わらず元気そうなのが何よりうれしい。ヘリ基地反対協からは荷川取高さんが稲嶺知事も岸本市長も海兵隊削減を唱えながら名護に基地を造らそうなど断じて許せないと訴えた。また、地元宜野湾市民の会から仲村信嗣さんは、今日はヘリが一機も飛んでいないが、平日はこの上を縦横無尽に飛び交っている。私たちは普天間基地の返還を願っているが、これを名護には絶対持って行かさない、と静かな語り口の中に厳しい決意を表した。

 シメは、豊さんの呼びかけで、皆腕を組み、揺れながら「月桃」を合唱した。今日は高いヒナ壇もなく、平場で顔を寄せ合うような感じの集会だったが、昨年の一〇・二一集会とは違う緊迫感のあるものとなった。参加者は約千名。集会後、海兵隊司令部のある石平までデモをかけた。休日のせいか、芝生の上でデモを眺める米人親子が幾組も見られた。金網の内と外、何と隔たりのある、何と違和感のある風景だろうと思うと涙が出て仕方がなかった。

 県民の生活が金網と隣り合わせにある以上、事件が無くなることはない。米兵がいる限り、女性と子どもは安心して歩くことも眠ることもできない。稲嶺知事は県民の総意である海兵隊を含む兵力削減を日本政府に正式に要請したが、河野外相は、気持ちは分かるが感情論と削減要求は別だ、と言ったそうな。奇しくも九五年の秋、外相であった彼は、日米地位協定の改定を求めた大田知事に対して、感情が先走っているとして、改定は求めないと米国に先走って宣言した。また同じ過ちを繰り返そうというのか。撤退要求まで押し上げられてきたことの背景とその重大性を自覚すべきだろう。

 九五年秋に噴出した沖縄民衆のエネルギーの沈静化を図って日米両政府が打ち出したSACO合意のほころびは繕いようもない。普天間・嘉手納両基地に係わる騒音協定は守られず、事故報告や原因が明らかにされないまま飛行が再開されてきた。悪質な放火事件でさえ起訴前の犯人引き渡しは考慮されず等々、沖縄の負担軽減のためではなかったことがよく分かる。

 今、海兵隊の削減をめぐり日本政府とは対照的に米国内から様々なアドバルーンが打ち上げられている。三月一七日付け琉球新報によれば、「ブルッキングス研究所のマイケル・オハンロン氏は海兵隊を一万五千人から五千人規模へ削減することを主張し、アジア・太平洋地域に十万人体制の提唱者であったジョセフ・ナイ元国防次官補さえ海兵隊の部分撤退に同調してグアムへの分散を検討しべきとしている」そうだ。

 しかし、普天間基地返還の願いが逆手に取られ新基地建設が狙われたように、米国の打ち出すかもしれない削減措置がグアムやフィリピンなどにどう影響するのか見極めていく必要がある。私たちは米本国への撤退をこそ求める。
              (N)