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第117号(2000年10月28日発行)

    九月二八、二九日 東京行動

 「十区の会」 首相官邸と米国大使館に署名を提出

 二八日 集会

 「今も基地被害にあっています、これ以上基地をつくるのはやめて!」

 普天間の移設先にされた名護から「二見以北十区の会」の代表二人が九月二八日、地元住民二、〇〇〇人の反対署名を持って東京へやってきた。八月の「命を守る会」と同様、政府へじかに反対の声を届けるためだ。

 当日は那覇港でアクシデントがあり、台湾のコンテナ船が座礁して、那覇空港からの飛行機が大幅に遅れた。このため、代表が現地からの声を訴える集会には二人とも間に合わなかった。十区の会からは集会会場に成田さん(海と風の宿)が電話、移設受け入れ表明をした岸本市長に毎日面会を求めている経過を報告した。この面会は「平和のプレゼント」だそうだ。

 集会では七月の嘉手納包囲・サミット反対行動に沖縄へ行った参加者から「現地報告」や、九月二三日の沖縄県庁前行動の報告も。またジュゴン保護運動や米軍への「思いやり予算」反対訴訟のとりくみについての発言があった。さらに一一月一二日投票の那覇市長選支援の呼びかけもあり、最後に翌日の対政府行動を確認しあった。代表の到着が集会に間に合わなかったものの、七月のサミット時に署名を渡すことができなかったくやしさを、自分のくやしさのように感じて参加した人々が多かったためか、会場カンパが二三、〇〇〇円も集まった。

 名護からの地元の声を聞き、ジュゴン保護のためにもしも政府が移設を断念したら、たしかにアジアの人々から日本は評価される! 十区の会の今回の行動で、はたして政府に移設反対の声が届くだろうか? われわれも「本土」で、政府に「平和のプレゼント」を贈る行動を考えていかなければならないのではないか。      
(Y)  

 
二九日 署名提出行動

 「ヘリ基地いらない二見以北十区の会」の東恩納琢磨さん(代表代行)と事務局の浦島悦子さんが、九月二九日、日米両政府に「沖縄のジュゴンの保護と調査に関する請願書」を提出した。

 この請願書(要旨後掲)は、沖縄サミットの前に、新たな米軍基地が名護市に建設された場合、最も大きな騒音被害を受ける二見(ふたみ)以北十区を中心に集められた。二一〇九名の署名簿は、七月二二日、名護市街地から、サミットが開催された部瀬名(ぶせな)まで行なわれたピース・ウォークの際、提出されるはずであったが、果たせず、「十区の会」が、代表を東京に送って提出することになったものである。

 この日の午後、二人は、まず首相官邸を訪問した。同行議員は、東門美津子議員(衆院、社民党)と赤嶺政賢議員(衆院、共産党)。他に、上原成信・関東ブロック代表や、古荘斗糸子さん(うちなんちゅの怒りとともに!三多摩市民の会)、「名護ヘリポート基地に反対する会」のメンバーなど九名が、訪問団に加わった。 

 首相官邸側で応対したのは、片上慶一官房長官秘書官。東恩名さんは、日本政府が責任をもって「ジュゴンの保護と調査」を実施することを要求し、浦島さんは、新米軍基地の建設は、ジュゴンと共生できる豊かな自然・生活環境を破壊してしまうと、穏やかながら凛として訴えた。また同行議員や諸グループのメンバーは、口々に、沖縄の人びとの声を、政府が真摯に受け止めるべきであることを主張した。

 片上秘書官は、それらの訴えを森首相に報告することと、なんらかの回答を寄せることを約束したが、「とりあえず聞きおく」という姿勢も、対応の随所にちらついた。

 官邸の前には、応援に駆けつけた人たちが、「ヘリ基地建設反対」の横断幕をもって待機し、官邸での申し入れの最中も、日本山妙法寺の一行の太鼓の音が、絶え間なく聞こえた。その後、衆議院第一議員会館で報告集会が開かれ、一同は、次に米国大使館に向かった。

 米国大使館では、門前で警備員に署名簿を託すだけであったが、東恩名さんも浦島さんも、署名の趣旨を切々と訴え、用意してきたクリントン大統領あての文書「『沖縄のジュゴンの保護と調査に関する請願書』の提出について」を読み上げて、手渡した。

 この署名提出は、先の「命を守る会」の東京行動につづくもので、名護現地の声を日米両政府に直に伝える重要な行動となった。
(I)  

沖縄のジュゴンの保護と調査に関する請願書

 沖縄は日本国で唯一ジュゴンが生息する地域で、世界的に見てもジュゴンの生息の北限とされています。

 今や数少なくなった沖縄のジュゴンの最も中心的な生息海域に、日米両政府は、巨大軍事空港の建設を強行しようとしています。もし基地が建設されるとジュゴンの生息環境が破壊され、ジュゴンの食草である海草は激減し、ジュゴンは死滅してしまうでしょう。それは米国の種の保存法に触れることになり、地球環境保全への世界的な取組みの常識からも外れています。

 そこでジュゴンの生息する名護市東海岸をはじめとする沖縄の住民から、日米両政府に対し、以下の4点について請願します。

  1. 沖縄のジュゴンを絶滅に追い込む軍事空港建設計画を中止する。
  2. 国際的保護動物であり日本国指定の天然記念物であるジュゴンの生態調査及び陸域も含めた環境調査を1年以上通して行なう。
  3. 世界の模範となるジュゴンの保護政策に取り組む。
  4. 東洋のガラパゴスと言われる琉球列島の中でも、とりわけ貴重な沖縄島北部(ヤンバル)の陸域・海域を含めた自然を世界遺産にする。

   森 喜朗  内閣総理大臣 殿
   クリントン 米国大統領  殿