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第117号(2000年10月28日発行)

【新刊紹介】
 
 伊藤嘉昭
  『沖縄の友への直言』

             を読んで
  
 村上有慶(沖縄平和ネットワーク)    

 伊藤嘉昭先生といえば、私たちにとっては大変大きな存在です。ウリミバエ根絶の話は、復帰直後から聞いていましたし、その結果、ゴーヤをはじめ多くの農産物が輸出できるようになりました。沖縄にとっては大恩人といってよい人でしょう。科学技術者としても、奇想天外といってよい不妊化虫の放しという方法が面白くもあり、驚きでもありました。

 そんな偉大な方でも、沖縄とぶつかるカルチャーショックは、同じようにあるのだという親近感を覚えました。私自身、東京で生まれ育ち、一九七三年に、大学卒業と同時に沖縄に赴任し、二八年ここに住んでいます。日本復帰の矛盾が満ち溢れているなかで、中部の中の町などで飲んでいると、「大和人焼かれて帰るぞ」とコップが飛んできたようなこともありました。若かったので地域のエイサーに参加させてくれと申し出ると、大和人なんか参加させないと断られたものでした。やがて沖縄の女性と結婚するということになると、お互いの両親親戚からは猛反対を受けるという経験もしました。

 沖縄は確かに日本という国家との関係において、常に国家利益のために多くの犠牲を強いられてきました。本土から来る大和人が、常に沖縄の支配者としてやってくることが多かったのだろうと思います。歴史的矛盾の溝は大変深いと言わざるを得ないでしょう。いまだに私自身の職場を含めて、全国展開している職場では、沖縄へやってくるのは新任の管理職であり、数年もすると本土へと帰っていってしまいます。経済的にも、サミットなどの様な大きなイベントがあれば、本土大手建設業がやってきて、優れた技術と仕事ぶりで、多くの経済的収益を吸い上げて行きます。

 伊藤先生がなさったことの偉業は認めつつも、スタンスの構図は、大和政府という高みからの物言いに地元では見えるでしょう。当然、国家が生み出した矛盾の責任は、本土からきた一般人の私たちにはその責は負うべくもないわけです。沖縄の一般的な反大和感情で個人が処断されるべきでもないでしょう。しかし、本土のどこだろうと地域的辺境や日本部落的封建制はあるものだとおもいます。沖縄も同様であり、国家的差別を受けているという悲劇のヒロイズムで美化される必要もないわけです。大和人ばかりではなく、謝花昇や伊波普猷など沖縄の開明的文化人ですら、沖縄大衆には時代を経なければ理解されなかったことを見れば明らかです。

 いわゆる南方的な「けじめの無さ」を仕事においても容認していては人は育たないとは思いますし、沖縄自身の自立にもつながらないとは思います。大工場があって組織的労働者の訓練ができていないし、鉄軌道がないために時間がルーズになったりもします。第一次産業的仕事ぶりも影響しているでしょうし、狭い地域社会の中でギスギスとした競争社会で勝者となることよりも、助け合いの精神で暮らす心象風景のほうが一般的です。

 私自身は、岩崎卓爾を尊敬します。彼は確かに本土に残した家族たちを幸福にはできなかった。復帰して三○年あまりが過ぎようとする今、さまざまな本土との交流は増加していますし、都会生活に疲れ、美しい離島で人知れず生きて行こうとする大和人も多くいます。私は、その人々に人生の敗北者と言う烙印を押したくはありません。伊藤先生の言葉が沖縄を愛すればこその直言だと受け止めました。沖縄の愛し方もさまざまだと思います。

高文研刊 本体1,200円
2000年9月20日発行
ISBN4-87498-245-X
http://www.koubunken.co.jp/