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沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック
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第116号(2000年9月28日発行)

【新企画】

  こえ・声・こえ  
          各地から



「沖縄を考える市民の会」 (三鷹)

 少女暴行事件から

 「お母さん、これ、酷いよ。」 一九九五年九月、沖縄からの第一報を私に知らせてくれたのは当時高校生だった息子だった。教育問題等で色々話せる仲だった川島幸子さんと「女の子を持つ母親として何かできないだろうか」と誘い合って、とりあえず組合関係の日比谷野音集会に参加した。そこで沖縄県人会主催の集会や大田知事支援の集会のチラシをもらい、行ってみたのが始まりだった。

 糸数県会議員が「集会に参加するだけではなく、参加して知ったことを、あなた方の地域・職場・家族…周りの人に伝えてほしい」と呼びかけるのを聞いて、私たちの街・三鷹で何かやれることはないかと相談が進んだ。


 三鷹でやれること? 
 まずは、一坪反戦地主会の上原さんに来てもらって話を聞くことにした。そこで、その日発売になった「新版 反戦地主」を紹介してもらった。「島ぐるみ闘争」が何かも知らなかった私達は、伊江島の阿波根昌鴻さんたちの乞食行進を知って仰天した。こんな心を打つ闘いがあったのかという思いだった。それから、何とかしてこの闘いを紹介したいと、映像を探した。フィルムセンター、図書館、沖縄の新聞社、放送局……、あちこち当たったが「当時、米軍に向かってカメラを向けること自体が困難だった。むしろ映像のないことがその時代を象徴している」と教えられる始末だった。ただ紹介されたのは、「少し時代は後だけど、東陽一監督の映画、沖縄列島」と「阿波根さんの写真集、人間の住んでいる島」だけだった。


 スライド版「人間の住んでいる島」完成

 一九九六年一月に、とりあえず、映画「沖縄列島」の上映会を会場に人が入りきらないほどの観客で成功させた。それと同時進行で、伊江島から取り寄せた写真集や阿波根さんの著書を使ってスライド制作に打ち込んだ。「米軍と農民」「命こそ宝」を何度も読んでは、台本を作り、写真とあわせていく。それから、朗読者を探す。沖縄の音楽を探し、音響効果を決める。結局、我が家と川島家の総出のメンバー、その友人、知人達の協力で「朗読、音響付 スライド版=人間の住んでいる島」は三月末に完成した。しばらく後になって伊江島の闘いを伝える映画、ビデオが次々と完成してくるが、それまでの間、都内の何箇所かでスライドは上映され「乞食行進」という闘いの存在を伝えたのだった。

 三鷹駅 沖縄タイムス抜粋版配り・満月祭り

 一九九六年末から、私達は新しい活動をスタートさせた。それが、「沖縄タイムス抜粋版」を毎月、第三水曜日に三鷹駅南口で配ろう、ということだった。ヒントになったのは、三鷹で一九六○年代から月一回のデモを続けてきている「アンポをつぶせ!ちょうちんデモの会」の活動だった。私達も月一回のペースでできることはないかと考えたのだった。それから、沖縄タイムス社の協力も得、三鷹・武蔵野・小金井・三多摩の友人達に助けられて続けてくることができた。この十二月で五年を迎えようとしている。更に、昨年末からは、新たに「満月祭り」も始めて、「満月祭りを楽しみに」毎月の活動を進めている。

 ぜひ皆さん、第三水曜日夜六時に、三鷹駅前に来ませんか。いっしょに沖縄タイムス抜粋版を配りましょう。(七月は「人間の鎖」行動参加と重なって、第四水曜日になりました)

       二○○○年九月一七日(日)

沖縄を考える市民の会(文責・F)

  
名護ヘリポート基地に反対する会(横浜)


サミット後の沖縄・名護を訪ねて
     
 「この三年余、多くの人が訪ねたきたが、一体何が変わったのか」・名護東海岸に住む人のこんな言葉から「名護ヘリポート基地に反対する会(※1)」の沖縄・名護ツアー(※2)は始まった。別の人からは「この三年間が一○年ぐらいに感じる」と言われた。人口も少ない小さな地域にあまりにも重い問題があの手この手で押しつけ続けられている。

 新しいヘリ基地の詳細が明らかになろうとしている今、名護では次の山場に向けて取り組みの模索がされている。模索しながらも休むことなく取り組みは続けられている。

 「ヘリ基地いらない、二見以北十区の会」は毎日名護市長室に通い、「ジュゴン保護基金委員会」はIUCN世界会議に向けて署名活動に力を入れ、基地に頼らない地域おこしを試みる「エコネット美」も軌道にのりつつある。「ヘリ基地反対協議会」は九月二九日に総会を開き、新しい体制で再出発する見込みだ。名護以外でも、普天間基地をハンカチで包囲する計画、県庁前でレッドカードなどのアクションを起こそうという計画などが持ち上がっている。

 これら多様な取り組みはいざと言うとき結びつき大きな力となっていくだろう。

 今回のツアーでは平和祈念資料館も訪れ、設立されたばかりの沖縄国際平和研究所にいらっしゃる宇根悦子さんの説明を受けた。県が改竄しようとし、それを市民がもとに戻させたという跡が至る所に存在する。まだ改竄されたままの箇所も残されているし(※3)、更なる改竄も企てられている。この国の政府は沖縄に圧力をかけ続け、基地への賛成のみならず歴史に目をつぶることまで強要し始めている。

 これらに抗する取り組みは地道に続けられているが、人手不足に苦しむ団体も多い。もっと「本土」で担っていけることはたくさんあるだろう。資料・情報の入手や国会で質問させることなど。沖縄や名護の取り組みと有機的につながり、この国全体の問題であるはずの新基地建設計画などに有効な反撃をしていけたらと思う。
               (A)  

※1     九七年に結成した市民団体(本部・神奈川)。一一月二日には、鄭柚鎭さん(駐韓米軍犯罪根絶運動本部)、又吉京子さん(カマドゥー小たちの集い)を招いた集会を予定しています!
※2     九月一五日〜一八日。命を守る会事務所、エコネット美(ちゅら)のコース、佐喜眞美術館、オーシッタイなど多くのところに行った。
※3     ガマでの日本兵(立体模型)が住民を守っているかのように見える、天皇メッセージの展示が非常に小さく説明もない、等。




 知ろうよ!学ぼうよ!・沖縄・を(埼玉)

 埼玉県知事に請願しました

 「知ろうよ!学ぼうよ!・沖縄・を」は、一九九五年秋のあの痛ましい事件をきっかけに、沖縄から送られてくる熱いメッセージにどう答えたらよいかという問いかけの中で始まりました。それまでも平和の問題に取り組んでいた「沖縄一坪反戦地主会・浦和」「平和大学埼玉教室」「ザ・リボン浦和」「ポパイの会」などが交流する中で、「ともかく沖縄の現状を知らなすぎる。沖縄のことを知ろう!沖縄から学ぼう!その中で自分たちができることを見つけて気長にやっていこう」と始めました。

 一九九六年九月、沖縄一坪反戦地主会関東ブロックとの交流キャンペーン「語やびら」に協力したのを皮切りに、沖縄から講師を招いての講演会・シンポジウム(有銘政夫さん/源啓美さん/島田善次さん/高江洲あやのさん/久保良子さん/国政美恵さん/宜保幸男さん/新田千鶴子さん)、沖縄出身の新垣勉さんのコンサート、『教えられなかった戦争・沖縄編』の上映会、学習会など、この四年間で一七回の行動を起こしてきました。

 一七回目の行動は、今夏の七月一六日の浦和駅頭での呼びかけと、その後の埼玉県知事への請願・埼玉県の基地問題担当者との話し合いです。

 六月下旬に、メンバーの一人で作家の石田甚太郎から、沖縄サミットの問題点を明らかにするような行動を起こさないかという話がでて、七月一一日に打ち合わせのために十数名で集まりました。その時期、沖縄では米兵の犯罪が続発していて、沖縄県知事の抗議・沖縄県議会の抗議決議などが行われていました。またかという話の流れの中で、「本土の自治体が他の自治体の出来事として無関心でいるのも同じ事が繰り返される理由の一つではないか」という声が出て、埼玉県知事宛に「沖縄県や沖縄県議会の抗議を支持して欲しい」という請願を出すことにしました。また、お祭り騒ぎを報道するような本土マスコミの姿勢でぼかされている沖縄サミットの実相を一人でも多くの市民に訴えようということにもなりました。

 七月一六日には、今までに何回もやったことのある駅頭での街頭宣伝とサンゴ入りチラシ配りで、サミットが何のため誰のためのサミットなのかを考えて欲しいと訴えました。二百枚作ったチラシがあっという間にはけてしまったので、同時にチラシ配りをしていた「止めよう戦争への道・埼玉連絡会」のチラシ配りにも協力しました。

 七月一九日に九名で埼玉県に請願書(七頁参照)を持っていきました。請願者は一六三名。一七・一八の二日間で準備したのですが、話を聞いた人たちの口コミで、当初予定していた三○〜四○名があっという間にふくれあがりました。請願者を大勢集めることを目的にはしていなかったのにこの人数です。今までささやかでも行動を続けてきたかいがあったと思います。

 埼玉県では、理事と基地問題の担当者が対応しました。その一週間ほど前に、埼玉県の基地対策協議会が国に要望活動をしていました。また、前日には自衛隊が高速道路に不発弾を落とすという事件もありました。そんなことも影響してか、応対は丁寧で、一時間近く私たちの話を聞いてくれて、ほぼ一ヶ月後に再度話し合いの場を持つことになりました。

 九月六日、七名で県庁を訪れ、基地問題の担当者と一時間半にわたって話し合いました。請願に対しての具体的な回答は出されなかったものの、前回にも話の出た七月中旬に基地対策協議会が国に行った要望活動、七月末の渉外知事会(米軍基地を持つ県の知事会)が国に行った要望活動などについての説明がありました。

 埼玉県は県内の米軍基地の整理・縮小に努力してきていること、渉外知事会のメンバーとして、沖縄県や神奈川県、青森県など大きな基地を抱えている県の意向に沿って要望活動を続けていること、今年度からは渉外知事会の要望書には文書回答を求めることを明記したことなど、私たちの知らなかったことや予想以上に努力していることが含まれていました。

 沖縄県知事や沖縄県議会の抗議への支持表明という形では難しいが、埼玉県として米軍基地の整理・縮小を求めていくことで側面的に支援できるのではないかという話もありました。(前沖縄県知事が代理署名の問題で困っていたときに埼玉県知事が「同情する」旨の発言をしたことがあります。)

 私たちとしては、埼玉県の努力が県民に知れ渡っていないことを指摘し、県の広報誌などに積極的に載せるように努力して欲しいと要望しました。

 結局のところ、私たちの請願は実現していないのですが、この一連の行動の中で、埼玉県の担当者に「埼玉県民の中に沖縄県に基地を押しつけたままになっていることを否とする人たちが結構いるんだ」ということを知らせることができたこと、また、埼玉県としても基地問題に真剣に取り組んでいることや、渉外知事会の関係者として全国の米軍基地の状況やその周辺の住民感情などをよく知っている役人が居ることなどを私たちが知ることができたこと、この問題で要望したり働きかけたりを今後も続けられる道筋ができたことなど、わりと大きな収穫があったように思います。

 沖縄で身体を張って闘っている人たちから見たら、甘っちょろい事かもしれませんが、少しずつでも気長に続けていくつもりです。
   (連絡窓口 F)

2000年7月19日 

在沖米軍に対する沖縄県の抗議、
およびに沖縄県議会決議への支持表明を求める請願書


埼玉県知事 土屋義彦 様

 「日本国憲法」第16条および「請願法」第2条の規定に基づき、次の通り請願します。ついては、「請願法」第5条の規定の趣旨にのっとり、迅速に審議検討した上で、書簡にてなるべく早くご回答ください。

請願の趣旨
 7月4日に沖縄県議会で沖縄県知事が表明した米軍への抗議と、7月5日に沖縄県議会が行った「在沖米海兵隊員の住居侵入及び女子中学生に対する準強制わいせつ事件等に関する抗議決議」、さらに、7月14日に沖縄県議会で可決された「在沖米空軍兵士によるひき逃げ事件等に関する意見書・抗議決議」を埼玉県として支持する声明、もしくは意見書を挙げ意思表明をしてください。
 
請願の内容
 7月3日に沖縄県沖縄市で在沖米海兵隊普天間基地所属の上等兵が女子中学生にわいせつ行為を行う、という痛ましい事件が発生しました。7月4日に沖縄県知事が沖縄県議会で在沖米軍に厳重に抗議した旨を表明し、7月5日に沖縄県議会は、「在沖米海兵隊員の住居侵入および女子中学生に対する準強制わいせつ事件等に関する抗議決議」を全会派一致で可決しました。
 ところが、7月6日に在沖米軍の最高責任者である四軍調整官が沖縄県庁を訪れ、「これまでの努力を二倍にして再発を防止したい。確信を持って誓うことができる」と語った直後の7月9日に、在沖米空軍兵士によるひき逃げ事件が発生しました。
 沖縄県議会では、7月14日に、やはり全会派一致で「在沖米空軍兵士によるひき逃げ事件等に関する意見書・抗議決議」を可決しました。同一議会で二つの抗議決議案を可決するという、異例の事態が生じております。
 5年前の米兵による「少女強姦事件」の際にも、沖縄県は厳重に抗議し、沖縄県議会は全会派一致での決議を挙げています。しかし、今回の一連の事件の発生は、「沖縄県の抗議や沖縄県議会の決議だけでは状況は変わらない」ことを示しています。
 沖縄県民に対する米軍人の度重なる事件は、本土の私たちの生活と密接に関連しています。面積で日本全土の0.6パーセント程に過ぎない沖縄県に、全国の米軍専用施設面積の75パーセントが集中しているという現実がありますが、これが事件の本質的な構造です。
 沖縄県の抗議や沖縄県議会の決議に対し、埼玉県を含む本土内にある自治体が積極的にそれらを支持する意思表示をすることは、悲劇的な事件を未然に防止する一つの有効な方策です。埼玉県におかれましても、沖縄県の抗議、沖縄県議会決議に関しての支持を表明する声明もしくは意見書などを作成し、具体的に働きかけるとともに、埼玉県民にこの事件とそれに対する埼玉県の態度を周知してください。