軍用地を生活と生産の場に!
 
沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック
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東京都千代田区三崎町2-2-13-502
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第114号(2000年7月28日発行)

  七・一五 米大使館へ抗議

 「沖縄では家の中にいても、外を歩いていても米兵が襲う!」

 サミットを前にして、海兵隊員による中学生暴行未遂とひき逃げ事件……やっぱり軍隊そのものの存在が問題と思わせられた米軍の連続犯罪!

 関東ブロックの運営委員会は、急遽、米大使館への抗議・要請行動を決定。七月一五日午後一時、一四人が参加して港区溜池にある米大使館に「米軍の綱紀粛正、地位協定の抜本的改訂」などを盛り込んだ抗議・要請文をつきつけた。反安保実行委員会や命どぅ宝ネットワーク、ノーレイプ・ノーベイス女たちの会なども参加し、謝罪はせず綱紀粛正だけ表明したり粛清期間をサミット開催中に限るなどの米軍に対する強い批判と抗議の声を大使館へ向かってあびせた。     
(Y)  


抗議・要求書

米国大統領 ビル・クリントン殿

2000年7月15日

東京都千代田区三崎町2-2-13-502
沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック
代表 上原成信
電話:090-3910-94140

 私たちは沖縄反戦地主の「軍用地を生活と生産の場に!」取り返す運動を支援している市民団体です。

 本年7月3日未明に沖縄市で在沖海兵隊員による中学生に対する強制わいせつ事件が発生、さらに7月9日に沖縄市内の道路で嘉手納基地所属の軍人によるひき逃げ事件が発生しました。

 沖縄では家の中にいても、外を歩いていても米軍が襲う! これでは沖縄での「平和と安全」はズタズタではありませんか! 米軍は「平和と安全」の担い手のはずでなかったのでしょうか?
 とくに1995年の米海兵隊員による少女暴行事件以降、米政府・米軍は重ねて「綱紀粛正」を標榜してきました。それにもかかわらず再々度発生を繰り返す米軍人の犯罪に、私たちの怒りはもはや限界です。こうなっては、すべての軍事基地を撤去することが「綱紀粛正」実現のための唯一の現実的方法とはならないでしょうか?

 今回の九州・沖縄サミットでは、心の安寧や人間の安全保障こそが課題のはずです。国家の安全保障を名目にして、一人一人の存在が踏みつけにされるのでは意味がありません。なによりもまず、沖縄での米軍による犯罪の発生をすべてなくすことが第一ではありませんか!これこそ政府が国民の声に応える具体的な道です。


 私たちは、度重なる沖縄の米兵による犯罪に怒りをもって強く抗議し、以下の要求をします。

  1. 在沖米軍の倫理保持・「綱紀粛正」を徹底し、九州・沖縄サミット終了後も継続すること。
  2. 継続できない場合は、在沖米軍を無条件で撤去させること。
  3. 日米地位協定を抜本的に改定し、日本側の警察権・裁判権行使を明記すること。
  4. 米軍人・軍属による事件被害者に対するすべての補償をただちに行なうこと。
                                         以上  

抗議・要求決議


 私たちは、去る7月3日に発生した在沖海兵隊兵士による女子中学生に対するわいせつ事件に満身の怒りをもって糾弾し、目に余る米軍関係の事件・事故の連続発生に重大な危機感をもち「口先だけの綱紀粛正・再発防止」を絶対に許さないという強い決意をもって、本日ここに集まった。

 今度のわいせつ事件は、1995年9月の少女暴行事件の悪夢を再び呼び覚ましまし、家族や関係者だけじゃなく、全県民に激しいショックを与えた非人道的な蛮行である。また、同じ日に、器物損壊犯の米軍人の逃亡を米海兵隊員がほう助するという事件も発覚した。

 沖縄県警によると、1986年から1999年の14年間の米軍関係凶悪犯の検挙件数は、全国の50.1%、九州の84.7%を占めている。今年に入ってからも、1月の婦女暴行未遂事件をはじめ、強盗・窃盗事件などの凶悪犯罪が続々と発生し、刑法犯検挙者は昨年同期の2倍という増え方である。米軍戦闘機やヘリコプターの墜落事故、油もれ事故、民間地への不時着、民間地域への流れ弾、昼夜を問わない離発着訓練に伴う騒音被害、水陸両用車による珊瑚礁破壊と漁場荒しなどの事故も発生している。特に、県下各地で沖縄戦で亡くなった方々を慰め、不戦と平和を誓う慰霊祭などを行なっている「沖縄慰霊の日」に実弾演習を強行し、山火事を発生させている米軍の行為などは占領意識丸出しそのものである。

 連続発生の事件・事故に対する県民の怒りの行動に対し、7月7日(七夕)に在沖米4軍調整官と米国総領事がそろって「綱紀粛正」を表明したが、その直後の9日には、基地内で酒を飲んだ米兵が、酒気帯び運転で道路横断中の日本人男性をひき逃げした後、虚偽の申告をしていたことが発覚するという事件が発生している。この事実は、沖縄市議が全会一致の決議で「米軍の言う綱紀粛正は空手形である」と断言していることに代表されるとおり、「口先だけの綱紀粛正」であることを証明するものである。

 私たち沖縄県民は、世界一強い軍隊と言われている米軍と50年以上も付き合わされてきた。この長い体験を通じて、いくら綱紀粛正を唱えても米兵による犯罪や事件・事故はおさまらない、という軍隊の本質をどこよりもよく知っている。また、再発防止と称して行なわれる兵士の夜間外出や飲酒を禁止する封じ込み対策が、結果として、県民対立を生みこそすれ何も解決しない、対症療法では解決しないということを、この間の体験を通じてよく知っている。

 日本政府は、「政府がどうこういう話じゃない、処理は海兵隊が考えること」という認識を改め、「なぜ米軍の事件・事故が後をたたないのか、どうすれば防げるのか」ということを、基地を提供している側の責務として米国政府と交渉すべきである。また、日本国民である沖縄県民が、基地の重圧に耐えながら切実に叫んでいることを真剣に受け止め、口先だけの綱紀粛正や再発防止対策ではなく、基地の整理縮小を含む具体的かつ明確な対応を示すべきである。

 私たちは、本日の緊急県民総決起大会の名において、次の4項目を日米政府に対して要求し、両政府及び関係機関の迅速な行動によって解決が図られるよう強く求めるものである。



  1. 米軍人の綱紀粛正と人権教育を徹底し、犯罪及び事件・事故の根絶に向けた具体的なプログラムを沖縄県民に明らかにすること。
  2. 被害者とその家族及び関係者に対する謝罪と誠意ある対応と行動をとること。
  3. 米軍基地の整理縮小を促進すること。
  4. 日米地位協定の抜本的な見直しを早急に図ること。

以上決議する。

2000年7月15日            

米兵によるわいせつ事件糾弾及び連続する事件・事故に抗議する緊急県民総決起大会


米軍の綱紀粛正と米軍人による犯罪の再発防止を求める会長声明


 去る7月3日未明、米海兵隊普天間基地所属の上等兵が、沖縄市内のアパートに侵入し、就寝中の女子中学生にわいせつ行為を行い、現行犯逮捕される事件が発生した。

 これは深夜に家の中で就寝していた何ら落ち度のない未成年者が性犯罪の被害者とされた悪質な事件であり、基地と隣り合わせの生活を強いられるわが県の現状を象徴する事件である。

 さらに右事件に対する世論の厳しい批判のさめやらぬ中、7月9日未明には、同じく沖縄市内で、米空軍嘉手納基地所属の三等軍曹が、自動車で会社員をはねてけがを負わせ、その場から逃走するというひき逃げ事件が発生した。

 わが沖縄県は復帰後28年を経た今なお、米軍人軍属の事件事故の発生が一向にやまないという、悲しむべき状況にある。とりわけ九州沖縄サミットを直前に控えたこの時期に、開催地の沖縄県でこのような悪質な事件が相次いで発生することは、米軍当局の綱紀粛正・犯罪再発防止に対する態度の真摯さを強く疑わせるものである。

 当会は、犯罪が直接的な人権侵害であるとの認識の下、県民の人権を擁護する見地から、長年に渡り、かつ多数回に渡って、米軍人軍属による事件事故の再発防止と綱紀粛正を求めてきた。しかるにここに至り、またもこのような犯罪が続発したことに対し、強い怒りを禁じ得ない。

 当会は、米軍当局に対し、あらためて綱紀粛正と犯罪の再発防止への真摯なる取り組みを強く求めるものである。

2000年(平成12年)7月11日

 沖縄弁護士会会長 亀川栄一