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第101号(1999年4月6日発行)

村上有慶さん(米軍人・軍属による被害者の会代表)を迎えて

変わっていない米兵の逃げ得状態

 例年であれば沖縄・一坪反戦地主会から講演者を迎えるところであるが、今年は少し視点を変えて「米軍人・軍属による被害者の会」代表の村上有慶さんからお話しを伺った。

 氏は「復帰」翌年の七三年に東京から沖縄島は中部の北谷町に移り住み、職業訓練大学で教えるかたわら全くのボランティアで平和ガイド(ヤマトからの旅行者に戦跡案内などをする)を続けてこられた。その道十数年のキャリアである。しかし『被害者の会』を立ち上げたのはボランティアではなく、御自身の身内が米兵の車で事故に遭われたことがきっかけという。そして私たちと志を同じくする一坪反戦地主である。

 この日は村上さんの用意されたレジュメに沿って話しが進められた。

@米軍犯罪はなくならない

 まず沖縄における犯罪の多さはここ数年でよく、知られるところとなったが、一九七二年の「復帰」から数えて九五年までに約四、七〇〇件に上る。しかもこの数字は検挙件数であり実際ははるかに多いと思われる。そして軍隊犯罪の特徴でもある凶悪犯罪が一割を占める。つまり月にして一・七件の凶悪犯罪を含む一七件の犯罪が起きていることになる。
 日本全国ではどうか? 基地が集中する沖縄とは比べものにならないが、五二年から九五年まで一八五、六〇〇件の事件・事故が起きており、一、〇四六人が死亡している。改めて驚く他はない。米軍占領から独立もし、安保条約のツケの大部分を沖縄に回してきてなお、この多さである。
 基地が維持され、構造的に暴力を生み出す軍隊が駐留する限り犯罪はなくならない。事件が起きるたぴに米軍が約束するく編紀粛正>やく教育>は一時しのぎに過ぎない。

ASACO報告も守られず

 昨年一〇月には中部の国道で女子高校生が酒酔い運転の米兵の車にひかれ放置されたために命を失っている。米軍は基地に逃げ込んだ米兵の身柄引き渡しを『地位協定』を盾に拒み、日本政府は異例のスピード起訴をもって事足れりとした。さらに両政府高官が被害者宅を訪問、焼香するなど、これまでは考えられなかった演出もやってみせた。地位協定見直しの声を封じ込めようということだ。
 また、九五年秋に結集した県民の怒りに対応すべく日米特別行動委員会(SACO)が出した報告では地位脇定の運用の改善として米軍公用車両にナンパープレートをつける、あるいは任意保険への加入を義務づけるなどが明記された。しかし凶悪犯引渡しなど好意的に対処するとした点は依然として守られておらず、米兵の逃げ得状態は変わらない。

B地位協定を知らない政府高官

 『被害者の会』では九六年全国会議員を対象に被害の実態と地位協定についてアンケートをとった。回答をよせたのは一七・七%、自民党閣僚議員からは一人も無しという結果だった。政府交渉に行った折など内閣副官房長官から「地位脇定って何だね?」と聞き返されるに至っては開いた口が塞がらない。政府に劣らず米側との交渉窓口である那覇防衛施設局の対応も悪い。被害に遭った住民はどこに相談してよいかわからない中でようやく施設局に辿りついたとしても「弁護士は連れてくるな。訴訟は起こすな」と言われる。訴えがまともに通らないばかりか補償も米軍の裁量次第で一方的なく解決>を強いられることが多い。そうした状況がこの会を発足させるきっかけとなった。被害者の訴える窓口を自分達でつくり、日米両政府の責任でキチンと補償させる体制をつくりたい。

C「保障法」の制定を

 これまで四件の民事訴訟の内三件の判決を得たが、約東どおり政府に補償させるためにはさらに時間がかかる。沖縄だけではない。やはり米軍基地のある三沢や佐世保、横田でも事件が起きており、その被害者たちとも手を結んでいきたいと思っている。
 さらに米兵のみではなくその家族の起こす事件、事故についても日本政府が責任をもって補償金を支払う「被害者保障法」の制定を追求している。九八年四月にも参議院法制局の課長も交えて勉強会をもったがその席でく世の中の声がでてくれば>との発言があった。ぜひとも皆さんが米軍による事件の実態をよく知りそれを左右する地位協定に関心を注いで欲しい。
 (N)