米軍用地特措法「再改悪」に抗議する決議

 政府は19997年4月、公開審理開催中、強制使用の裁決申請を行うだけで、土地の暫定使用が出来ると法を改悪した。しかし、沖縄県収用委員会は、嘉手納飛行場をはじめ13筆の強制使用を却下した。また、反戦地主をゼロに出来ないという状況の中、新規軍用地接収の可能性もにらんだ「米軍用地特措法」の再改悪(案)今国会に提出した。

 この政府の策動は、法案の具体的内容を国民の前に明らかにして、広く国民的論議を起こすという民主主義のルールに反すると同時に、安保優先の立場から時の権力の都合に合わせて法をねじ曲げるものであり、絶対に許されるものではない。

 強制収用・使用は、憲法29条が国民に補償する私有財産権を制限・侵害するものであり、その手続きについては憲法31条の適正手続きの保障がなされなければならない。且つ、準司法機関である収用委員会が中立的立場で「公共の利益との私有財産との調整を図る」観点から強制収用・使用の是非を判断することは、適正手続きの保障の上で不可欠なものである。

 今回の改悪法案は、米軍に土地を提供することを拒否する地主に対してばかりではなく、市町村長や沖縄県知事の代理署名、公告縦覧代行を拒否する権利も侵害しているものである。又、収用委員会の形骸化をさらに押し進めようとするものである。

 政府の今回の再改悪は、自ら強制使用を認定し、代理署名をし、公告縦覧し、そして裁決できるという改悪で、軍事基地として提供するためには、すべて政府の手で行うというもので、法の手続きを否定するばかりではなく民主主義の破壊であり、ファショ的手法と言わざるを得ないものである。

 また、国民の平和的生存権を侵害し、さらに、実質的に沖縄を適用対象とした差別立法であり、何重にも憲法違反を重ねた暴挙法案と断ぜざるをえない。

 法律は、長い人類歴史の中で、不断の努力により、確立された人類の英知で、近代社会・国家を成立せしめる基礎であり、政府の思うがままに改悪できるものではない。

 法の支配を否定する政府の行為は、自らの存立の基盤を掘り崩すものであり、自殺行為と評すべきものである。 

 沖縄のおける米軍基地の・形成・維持の歴史は、国際法に違反して米軍が「銃剣とブルドーザー」で築いた基地を、米国の布令・布告で、日本復帰後は「法律」の名で「正当化」しようとしてきた歴史であり、沖縄問題の中心に、時の権力による沖縄への差別と県民の基本的人権・生活の無視が存じたこと、法の支配が確立されなかったことを改めて指摘しなければならない。

 私たちは、今回また、「法律」の名による「沖縄差別」と権利侵害に直面しているが、人類の英知と全国の良識を武器に、最後まで、徹底した改正法阻止の闘いを続けることを、ここに宣言し、「再改悪案」に強く抗議するものである。

 以上、決議する。

1999年4月16日

あて先 

米軍用地特措法改悪に抗議する集会   


米軍用地特措法 改悪・再改悪 関連資料

沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック