沖縄県収用委員 第8回会審理記録

渡嘉敷直久


渡嘉敷直久(土地所有者):

 私は、嘉手納飛行場内の一坪反戦地主で、沖縄市議会議員であります。

 嘉手納飛行場が沖縄市の街づくりにいかに阻害要因になっているか、日常生活に様々な障害になっているか、さらに基地撤去が重大な意義を持つ点などについて、市議会議員の立場から意見を述べたいと思います。

 沖縄市は、県都那覇市から北へ約22キロメートルに位置し、南部に北中城村、南西に北谷町、西は嘉手納町、読谷村そして北は恩納村、石川市、具志川市の7市町村と隣接し、人□は約11万8,000人で県内第2の規模を要し、中部圏の要の位置にあります。

 しかし、南にキャンプ瑞慶覧、東に泡瀬通信施設、西に嘉手納飛行場、北西部に嘉手納弾薬庫と、米軍基地に周辺が囲まれ、周辺市町村との交通に制約を受けるとともに、地域振興や街づくりに大きな阻害要因となっております。

 当市の市街地再開発事業については、コザ地区、中の町地区、諸見里地区、山里地区を指定し、いずれも国道330号線沿いに位置しております。なかんづく中の町地区は、嘉手納基地の主要ゲートである第2ゲートから、国道330号線につながる地域で、嘉手納基地とともに伸びてきております。基地があるゆえに狭隘な場所に相当数の人々が住居や店舗を構え、地区内を走る生活道路は4m未満がほとんどで、迷路状に伸びており、袋地も見受けられ、市で認定されている道路も少なく、緑地や広場とオープンスペースも乏しいものです。排水が悪く、風通しが悪いなどの条件を有しており、火災や浸水、水害、日照、通風、採光等の不良、自動車交通の不便等、様々な問題を抱える基地とかかわりのある市街地形成の典型であります。

 沖縄市の市域面積は、4,899ヘクタールで米軍基地は嘉手納飛行場、嘉手納弾薬地区、泡瀬通信施設、キャンプ瑞慶覧等で1,762ヘクタールを占め、その割合は36パーセントにもなっております。嘉手納飛行場及び嘉手納弾薬庫地区の2施設で米軍施設の92パーセントを占めております。平成8年度から平成12年度に及ぶ第3次基本計画の部門別基本方針、個性豊かな都市環境の創造の中で、自然と文化を生かすふれあいの街づくりを基調にして、沖縄市らしい都市環境を創造する、そのためには緑と水の街くりを図るとともに、望ましい地区環境の設定、都市デザインの創出、交通体系の確立など、安全でかつ快適な街づくりを推進するとしております。

 この計画では、人口目標およそ15万人、就業者数5万9,800人、市内総生産およそ3,100億円を想定しております。平成9年10月1日現在の人口が11万8,595人でありますので、計画人口からすると約3万1,000人の増加になります。平成2年から平成7年に及ぶ県内10市の人口増加率を見てみますと、宜野湾市が9.2パーセントで第1位を占め、沖縄市は9パーセントで第2位の位置であります。これからも増加率はこのような推移を保つものと思われます。

 しかしながら、限られた市域での人口増加は、必然的に宅地等の需要が増え、土地の用途変更を余儀なくされます。平成元年、9万7,872平方メートル、いろいろ変動がありますけれども、平成8年には12万9,449平方メートルと、年々加速的に農地から宅地等への転用が進んでおり、平成になってからでも合計90万7.990平方メートルが転用されております。

 沖縄市の産業構造は第3次産業中心で、第1次産業は毎年減少の一途をたどっているのが現状であり、第3次基本計画の中で第1次産業の見直し改善をし、そのシェアを高めるとしておりますが、現在の進捗状況を見てみますと大変厳しいものがあります。第1次産業の構成比を高めるには、収益性の高い都市近郊型農業の確立と農用地の確保が大きな課題でありますけれども、現実的には、人口増に伴う宅地や工業用地等の確保も極めて厳しく、改めて基地の存在が問われております。

 これほどまでに軍事基地の弊害が大きくのしかかっているわけですが、交通問題でも重要な問題があります。広域道路ネットワークの不足については、嘉手納飛行場や嘉手納弾薬庫地区をはじめとする広大な軍事基地の存在により、隣接市町村、嘉手納町、読谷村、恩納村、石川市との交通ネットワークが大きく制限され、特に嘉手納町や読谷村に至る東西の交通軸が、沖縄嘉手納線、県道74号線に限られた状態にあり、道路ネットワークの不足は自動車交通の集中による渋滞の発生と交通問題をはじめ、民間の経済活動、地域間交流や隣接市町村相互間の地域振興策などの展開を制限し、阻害している状況にあります。

 新川秀清沖縄市長は、このようなことから、1991年に訪米し、米軍基地の返還を要請しております。その折、特に市民生活に重要な緊急な地域として、1.泡瀬通信施設の提供水域、2.キャンプ瑞慶覧地域、3.嘉手納弾薬庫内の道路、4.嘉手納飛行場内の道路の共同使用を早期に返還協議を行うよう要請されております。

 市面積の約36パーセントを軍用地が占めていることから、実質的に市民が利用しているのは64パーセントであり、その64パーセントの土地の中に、市街地と農地、森林及び原野等が存在しています。都市的土地利用の居住地は、美里や比屋根等の土地区画整理事業区域に見るように、面積的には一部確保されている面もありますけれども、工業用地等についてはまとまった平坦な土地を隣接市に新たに確保することが困難な状況にあります。

 海上に延びていくものとして期待される東部海浜開発構想は、タウンリゾートの形成、国際交流の促進、水産業の振興など、21世紀に向けた沖縄市の夢のある街づくりとして事業が進められていますが、ここでも保安水域の解除問題が未だに解決を見ておりません。基地が阻害要因となっております。また、沖縄市議会におきましては、駐留軍用地特別措置法の改正に反対する意見書が、一部反対はあったものの、採択されました。

 県民にとって、基地の整理縮小は最大の悲願であり、県が目指す国際都市形成構想にとっても必要不可欠である。特別措置法の改正は、このような県民の願いに逆行するものと断ぜざるを得ない。特別措置法の改正は、県収用委員会の権限を奪い去る悪法であるという内容で提案した私としては、基地撤去を訴えたものでありました。

 沖縄市は、新川市長、沖縄市議会ともに基地の平和利用に力を注ぐ決意と言えます。また、地域の文化、歴史を見た場合に、軍用地の強制接収により居住地を追われた住民は、各地域に分散して住んでいる現状にあり、現在では、その存在基盤である土地を奪われたことによる地域の歴史と文化が絶滅した状態となっている一面も指摘されています。

 広大な軍事基地撤去こそが、沖縄市が求める自然と文化を生かすふれあいの街、新しい時代を担う人づくりの街、あすに伸びる産業を創造する街、世界に開けゆく商業都市、21世紀へ飛躍する国際都市の五つの都市像を基本構想とする国際都市、国際文化観光都市を実現するものであると考えております。特に、日米防衛協力のための新ガイドラインが、民間空港や港湾を使用する、そして、日本がアメリカの軍事戦略に組み込まれる危険性を考えるならば、軍事基地撤去こそ県民に課された重大な責務という気がしてなりません。

 以上で意見陳述を終わります。

当山会長:はい、ありがとうございました。 続きまして、村上有慶さん。


  出典:第8回公開審理の議事録から(OCRによるテキスト化は仲田

  写真提供:顔写真(上原成信


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