再求釈明申立書

 米軍用地強制使用事件につき、土地所有者ら代理人が一九九七年三月三日付でなした求釈明申立について、「審理になじまない」との理由で釈明がなされなかった事項中、特に重ねて釈明を求めたい事項、及び釈明はなされたが再に正確な釈明を求めたい事項並びに釈明が保留された事項について、那覇防衛施設局に対し、再に釈明を求められるよう申立をする。

一、求釈明申立の二の3の(二)及び(三)について

  1. 第二回公開審理において那覇防衛施設局は「いわゆる一坪共有地主の方々につきましては、契約拒否運動を拡大する等とする一坪反戦地主会の活動内容等、諸般の事情を勘案し、使用についての合意が得られる見込みがないと判断したのであります。」(公開審理議事録49P)と回答している。

    右について

(一) 右回答は一坪地主とは任意交渉をしなかったということを認めたものなのか否か

(二) 一坪地主のうち何人かとの地主とは任意交渉をしたことがあるのかどうか

(三) 一部の一坪地主と交渉したのであれば、それは何時から何時までの間に何人の地主と交渉したのか、何故右の期間中に交渉をしたのか

(四) 一坪地主のうち交渉した地主と交渉をしなかった地主を区分けした基準は何か

(五) 反戦地主とは交渉をし、殆んどの一坪地主と交渉をしなかった理由は何か(反戦地主と一坪地主との相違点は所有する土地の面積の多少だけである。これのみで取扱いに差別をつける理由はないと思うがどうか)

二、求釈明申立書の二の四について

 平成八年四月一日以降の土地使用権原の育無

  1. 1 土地明渡等の訴訟において国は、土地使用権原を有するとの主張はしないと明言している。本件審理においても右の立場を認めるのか
  2. 使用権原がないのであれば現在も上地を占有使用している根拠は何か

三、求釈明申立書の三の1の(二)(四)について

  1. 1 「アジア、太平洋地域」と「極東」との関係、同じか異なるのか、地理的範囲を示せ、(安保条約第六条四には「極東」とあり、「アジア、太平洋地域」との記載はない、米軍用地特措法の根拠は安保条約にある。「アジア、太平洋地域」が極東より広い概念だとすれば安保条約の趣旨に反すると思うがどうか」)
  2. 「今後相当期間にわたり、・・・・・安定的使用を図」らなけれぱならない条約上の根拠を示されたい。(どの条項に規定されているのか)

四、求釈明申立書の三の2の(三)について

 第2回公開審理において那覇防衛施設局は

「海兵隊は、陸、海、空軍に並ぶ軍隊の一部であると承知しています。」(第二回公開審理議事録33P)と答えているが、

  1. 1 右の回答は海兵隊は陸、海、空の各軍とは別個の独立しだ軍隊組織だとのことか
  2. もしそうであれば、この軍隊が我が国に駐留する条約上の根拠は何か(安保条約の根拠条文を示されたい)

五、「高度の公共性」等が削除された理由

  1. 1 今回の裁決申請理由のなかに、これまでの強制使用裁決の際には存していた「駐留軍の駐留は、我が国の生存と安全の維持という国益を確保する上で重要であり、高度の公共牲を有する。」との文書が削除された理由は何か、これを日米安保体制の強化と結果と理解してよいか(この事項については求釈明申立書の求釈明事項に無かったので、後日検討して回答することになっていた)
  2. 今回の裁決申請理由の中に、これまでの申請では存しなかった憲法第九八条事項が引用されているが、右につき同事項中の「日本軍が締結した条約」のみが引用され「確立された国際法規」が引用されなかった理由は何か

  一九九七年三月二十四日

                     地主ら代理人
                          有 銘 政 夫 
                          照 屋 秀 傅   


 出典:一坪反戦地主会(原文は縦書き)

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