知花昌一さん(反戦地主)

知花昌一さん

 楚辺通信所の地主、知花昌一です。わたしの土地に関しても、使用申請がなされている。これに対して理解できませんので、お答え願いたいと思います。


(知花昌一さん、撮影・比嘉)

 使用申請というのは、使用できなくなることを前提として申請がされるはずです。ところが僕の土地は、去年の四月からずっと使用期限が切れ、使用権原がないにもかかわらず、使用され続けています。使用し続けている土地に、あらたに使用申請をするというのはどういうことか。これを、県収用委員会に、自分達の瑕疵を追認させようという、そういうものであるんじゃないかということで、理解できません。それで、以下の2点を求釈明したいと思います。

 えー、去年の3月26日に朝から工事がはじまって8000万円もかけて、強化プラスチックでゾウのオリを囲み、柵をつくりました。そして民間ガードマンを採用して、厳重警備を、3月26日からしいています。えー、わたしたちは、わたしは、4月1日に使用期限が切れる。防衛施設庁は契約を、継続契約を申し込み、ずっと拒否し、売ってくれとの執拗な要請にもかかわらず拒否しつづけたことにより、4月1日から、わたしの土地は、これまで親父が契約していたのが期限が切れて、私のもので、期限が、使用権限が防衛施設局になくなるという状態が発生しました。当然私は入れるものということで、いったんですが、防衛施設庁は入れませんでした。理由は、楚辺通信所はデリケートな施設だから、一箇所にたくさんのひとがドンドンすると、電波障害を起こす。下にアースマットがひかれているから、それを踏んでいくと切れるということで、それで草刈り機も持ち込みを禁止されているということで、えー、そのことを立ち入り拒否理由にしていました。ところが、その土地に関しては、緊急使用の申請がされておりましたので、収用委員の先生方が現場調査をしたときに、ご存じのように、えー、ベニア板をしいて、体重を申告されて、厳かにもそこに立ち入りさせた。ということです。ところが、その4日後、そのわたしの土地に1トンもある草刈り機が、縦横無尽に走っている。そして12名ほどの人がたむろしている写真が見つかったと。そういうなかで、国のいっていることが全くの嘘だということがわかったということです。その過程で、わたしが立ち入りを要求した仮処分裁判でも、裁判所はわたしの立ち入りを認めました。そして、収用委員会でも、国の申請した緊急使用は、適切ではないとして却下されたはずです。そういう状態のなかで、いま、日本、防衛施設庁は、今日まで346日間、わたしの土地をタダで、強権的に使用し続けています。

 それに対して、質問です。その使用し続けているその権限は、あんたたちはもっているのかどうか。それをはっきり示してほしい。それが一つの理由です。どうぞ。説明してください。防衛施設庁。

兼城会長:どうぞ、起業者の那覇防衛施設局さん。

坂本部長:起業者代理人・那覇防衛施設局施設部長、坂本憲一です。ただいまの2の4の1につきましては平成9年3月10日付で審理に馴染まないものとして……。

(場内騒然)

知花さん:審理に馴染まない。このことを言えばすべてが通ると思っているのか。人の土地をタダ使いして強盗的な使い方をして、その答えで誠意ある答えだとは思ってない。

(場内騒然)

兼城会長:どうぞさきに進めてください。

知花さん:そんなことは、この使用権限に関しては、去年の3月からずっと防衛施設庁に要求している。裁判等で要求していることです。1ヶ年以上経ってもそれに答えていない。どういうことです。ちゃんと答えてください。

 じゃあ、二つ、もうひとつ、二つともやってからもう一度答えていただきたいと思います。えー、今、当地を、わたしの土地を不法占拠していることに関して、えー、梶山官房長官は、「使用期限が切れたからといって、直ちに違法ではない」という言い方で、私の土地を強制的に使っている状態です。ところがその梶山も「長期間に使用を続けるとただちに違法ではないとは言い切れない」というようなあいまいな言い方をしてきました。ところが、3月6日に橋本首相が言っていることは、違法状態、この5月14日から、違法状態が生じるというふうに言っている。違法状態といってます。国の総理大臣が、使用期限が切れて、権限がないと、そういうことになると、いうのがわかる状態で、違法状態だといっているわけです。違法であるいうことです。そういう、国が違法行為を繰り返す、そして恥も外聞もなくそれをやってること自体とんでもないことだということです。憲法に謳われている財産権を国が踏みにじる。それが横行しているということです。

 わたしはちゃんと、権限がなければ、返せと。ただただ、それだけを要求しているわけです。それに対して、返還しない根拠、を、わたしにちゃんと通告してありません。なぜ返還しないか、その根拠をちゃんと示してほしい。さっきの質問にも答えて、二つとも。また馴染まないというかもしれないけれども、そんなことではだめだ。ちゃんとふたつとも答えてください。これは一年も前から、わたしたちが要求していることです。一年たっても、なにも答えないということ自体がおかしいことじゃないですか。ちゃんと答えてください。

(拍手)

兼城会長:起業者、那覇防衛施設局さん。

坂本部長:起業者代理人・那覇防衛施設局施設部長、坂本憲一です。2の4の事項につきましては、平成9年3月10日付で審理に馴染まないと思われる求釈明事項として、回答したところであります。

(場内騒然)

知花さん:都合の悪いことは馴染まないということで、切り抜けようとしているけど、じゃあ、なにが馴染むんだ。わたしの象のオリに対して、なにが審理になじむのか。そういうことをちゃんといってくれ。あんたたちはなんで審理に馴染まないということで、逃げようとするんだ。人の土地を無断で強権的に使いながら、審理に馴染まないとは何事だ。ちゃんと答えてください。

(場内騒然)

兼城会長:第一グループの持ち時間は終わっておりますので、次の第二グループの代理人の……。

三宅さん:ちょっと待ってください。代理人の三宅です。今の問題について、なぜ重要かともうしますと、まず知花さんの土地について裁判を行っています。裁判で国は違法ではないという主張をしています。本件土地を継続して使用することは違法ではないとしている。そうすると現在使用しているのは、国は適法に知花さんの土地を使用し続けているわけですから、本公開審理において、裁決申請を行う必要はそのそもないわけです。そうだとすれば、違法だとみとめて裁決手続きをつづけるのか、違法ではなく適法だといってこの裁決申請を取り下げるのか、二つに一つの選択を国はせまられていると思います。従いまして、その点について明らかにしていただきたい。違法だから裁決手続きで裁決をしていただきたいというのか、裁判でいっているように違法でないから明け渡しをする必要はないというのか、ふたつにひとつです。簡単です。前者か後者か、二つに一つですから、その点はあきらかにしていただきたいと思います。

(場内騒然)

兼城会長:起業者の那覇防衛施設局さん。ただいまの質問についてお答えがあれば、答えていただきたいと思います。どうぞ。

(坂本部長、立ち上がらない)

兼城会長:お答えがないわけですね。

(場内騒然)

知花さん:えー、こういう形で、起業者もわけのわからん形で、答えないようですので、えー、またあらためて、わたしの土地の公開審理のなかで、もう一回その点についてはっきりしたいと思います。それまでに、ちゃんと答えてください。

兼城会長:今日は釈明ですので、釈明するかしないかそれは、防衛施設局の、まあ、これは、結局は自由ですので。その辺を念頭において。

知花さん:わたしは個別的な審理のなかで、もう一回その、やりますので、答えを用意しておいてください。これで僕の質問を終わります。


 出典:第二回公開審理の録音から(文書おこしは比嘉

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