沖縄県収用委員会 第二回公開審理記録(その1)

兼城委員長

 みなさん、こんにちは。本日、第二回目の公開審理に大勢の方がご参集いただいて、ほんとにありがとうございます。それでは、定刻の13時30分となりましたので、これより第二回公開審理を開会いたします。

 平成8年3月29日付で裁決申請および明け渡し裁決申立てがあった13施設、伊江島補助飛行場、キャンプハンセン、瀬名波通信施設、楚辺通信所、嘉手納弾薬庫地区、キャンプシールズ、トリイ通信施設、嘉手納飛行場、キャンプ瑞慶覧、普天間飛行場、牧港補給地区、那覇港湾施設、陸軍貯油施設に関する審理を開催いたします。

 はじめにわたしより収用委員の紹介をいたします。わたしが会長の兼城賢二(かねしろけんじ)でございます。わたしの左が、当山しょうこう会長代理、えー、尚幸(なおゆき)会長代理、高良有政(たからゆうせい)委員、比嘉堅(ひがかたし)委員、わたしの右側から、西賢祐(にしけんゆう)委員、大城宏子(おおしろひろこ)委員、渡久地政實(とぐちまさみ)委員です。

 審理進行のご協力についてお願いがあります。意見陳述者はわたしから指名いたしますので、指名された方のみ意見を述べてください。勝手に意見を述べないようにしてください。審理記録作成のため意見陳述者はマイクを使用して、起業者側・那覇防衛施設局の方は職名および氏名を、土地所有者は自己の権利に関わる施設名および氏名を、述べて陳述してください。

 本日の審理がスムーズに進行でき、多くの方が、意見陳述ができるよう、審理に参加しているみなさんの、ご協力をお願いいたします。

 平成9年3月11日に土地所有者の代表から申し入れのあった嘉手納飛行場にかかる土地所有者のあやまりがあったことの取扱については、当収用委員会は起業者側・防衛施設局からの調査結果を見てから検討していきたいと考えております。つきましては、本日の審理ではこの土地所有者が抱える土地についての個別的具体的審理を差し控えたいと思います。

 本日の審理の進め方ですが、土地所有者の方々から平成9年の3月3日付で収用委員会に申し立てがあった求釈明について、土地所有者からの求釈明および起業者側・那覇防衛施設局からの釈明をお聞きし、その後土地所有者からの各施設毎の個別的具体的な意見をお聞きしたいと思います。

 それから求釈明および釈明等については、求釈明事項が多いので、土地所有者のほうで求釈明事項をいくつかにまとめて何回かで求釈明を陳述してもらい、それに対して、起業者那覇防衛施設局からも求釈明の陳述毎に釈明等をしてもらうことことで審理を進行したいと思ってます。

 それでは、えー、はじめに、えー、石原正一さんに対する、えー、裁決申請についての、説明が、池宮城弁護士、いや、池宮城紀夫さん、三宅俊司さん、両人から、10分ほどの、なんか、説明があるようでございますので、説明を受けたいと思います。時間を厳守していただきたいと思います。それではお願いいたします。

三宅弁護士

 嘉手納の一坪反戦地主の弁護士の、三宅です。嘉手納基地の中にある土地についてですね、一人、石原正一さんという方の土地が、別の人の土地として、強制使用の手続きがとられている。この経過について、説明するとともに、起業者側に求釈明をしたいと思います。

 まず、石原正一さんという方は昭和62年3月30日受付で、本件土地の所有者となっていました。ところが防衛施設局は、平成8年の10月24日付で、使用裁決を原因として、次の通りの代理登記をしています。

 「石原正一持ち分全部移転、平成8年10月25日受付。原因、昭和61年9月19日相続。」

 昭和61年9月19日に、昭和62年3月30日にこの土地を取得した石原正一さんが死亡して、奥さんとこどもたちがこの土地を相続したということで相続登記がなされています。しかしながら、石原正一さんは、現在もお元気です。この一坪反戦地主の会員である石原正一さんは、防衛施設局によって、登記簿上殺されてしまいました。一坪反戦地主会の事務局の長嶺哲くんは、この事件を称して、登記簿殺人事件といっています。(会場笑い)まさにその通りだと思います。


登記簿殺人事件を追及する三宅俊司弁護士(撮影・比嘉)

 ところが、このまちがいは、意図的にまちがえたのではないかと疑われるような間違いの仕方をしています。登記所に対して、防衛施設局は、職権で登記嘱託をしています。

 この嘱託に依りますと、石原正一さんの最後の本籍、大曲町(おおまがりちょう)。最後の住所、大曲町。登記簿上の住所、江尻東。というふうなことが書かれています。なぜ、江尻東の登記簿上の住所であった人が、最後の住所として大曲町にうつったのか。その経過についてはなにも触れられていません。しかも、登記所に提出された資料、戸籍、除籍謄本、および住民票の証する書面は還付したということになっていて、これらの相続を証明する関係書類は一切施設局が持ち帰っています。いま登記所に残っているのは、施設局が自ら調査をしたと言われている相続関係説明図、と、登記申請書、一枚だけです。このように、まったく、素人でもわかるような調査をまったくしないでなされています。

 昭和62年に登記したのは、これは一坪反戦地主事務局長の城間勝が代理人で登記していますけど、この時はちゃんと住民票がついています。この住民票に依りますと、生年月日、大正6年3月15日という記載があります。これさえ調べておけば、亡くなられた方が本人ではないことがはっきりするわけです。亡くなられた方の相続関係図に依りますと、亡くなられた方の生年月日は昭和16年1月1日です。昭和16年1月1日付で生まれた方、61年9月19日に亡くなられた方と、大正6年、大正6年3月15日の方と間違えた、ということです。

 これは決して軽微な瑕疵ではありません。明らかに重大な瑕疵であります。しかも、当事者を明らかに間違えているわけですから、このような重大な瑕疵は無いというふうに思います。

 石原正一さんは、運転免許を事務局のほうに送られてきたんですが、その時に同じ日に亡くなられた方の、ですね、同じ、あの、今回、登記上の権利者として誤認された人の亡くなられたときの、新聞記事を持っておられます。この方は、自分が元気なのに、間違えて自分の所にお悔やみが来るので、たまたまこの記事を持っていたのですけれど、新聞記事で交通事故で亡くなられた石原正一さんと間違えて手続きが進んでいたという事になります。

 施設局に対して、一つは、どういう手続き経過、どういう調査によって、石原正一さんを間違えたのか。まず、石原正一さんを間違えたと認識しているのかいないのか、これについて明らかにしていただきたいと思います。本件手続きについて進めている石原正一さんと、本来の所有者の地主、石原正一さんが同一人物であるのか違うのか、これについて答えていただきたいのですけど、その件についてだけでも答えてください。どうでしょうか。

 答えられませんか。答えられないのであったらですね、次の・・。答えてください。まず答えてください。違うのか違っていないのか。
(ちゃんとこたえろのヤジ)

 どうでしょうか、あの、収用委員会のほうからも違っているのかいないのか、答えるように促していただけないでしょうか。

兼城委員長

 えー、那覇防衛施設局の方、これに対して、お答えができるんでありましたら、お答えしていただきたいと思います。簡単で結構でございますから。

坂本施設部長

 起業者、起業者代理人、那覇防衛施設局施設部長の坂本憲一でございます。えー、本件につきましては、大至急事実関係を調査中であります。他方、真正な使用者の確認については、ある程度時間が要することもご理解願いたいと思っております。
(ごまかすんじゃないよのヤジ)

三宅弁護士

 現在もまだ調査中。現在もまだ調査中であって、まだわからないという発言でしたけれども、今朝、なんと、6時20分にですね、朝の6時20分に、石原正一さんの、お宅にですね、横浜防衛施設局総務部施設係、係、・・。課長ですか?菅沼利行(りこう)さんという?、利行(としゆき)さん。同じく那覇防衛施設事務所、所長、北山正利さん。このふたりが、本日、朝6時20分から6時55分、上記2名と従者2名、計4人の方が来訪、話し合いました。菅沼氏が主に話しました。すべてテープに録音しましたので、速達便で送ります。来訪の趣旨は、陳謝でした。ということになっています。 

 今日、現在、あなたは、事実関係については調査中でまだわからないと言いました。このテープを明らかにして、本日現在、施設局がすでに明らかになっていることを、収用委員会に対して明らかにしていきたいと思います。 

 次に、調査にあたって、どういった資料に基づいて調査をしたのか、これについても手続きの中で明らかにしていただきたいと思います。調査についても、一つは、本人か本人でないかの確認もまだできていないという話ですが、それにとどまらず、どういった方法で事実関係の調査をしたのかについても、調査をしていただきたい、その結果については報告していただきたいと思います。

 で、本件のような、地主を明らかに間違えた手続きについては、これは本件裁決申請そのものを、防衛施設局は誠意をもって対応すると言うのであれば、350番の土地全部について、取り下げをすべきであると考えます。(場内拍手)

 明らかに所有者の違う土地について裁決申請手続きをとられているわけですから、この裁決申請手続きはまず、取り下げたうえで、誠意をもった態度を示すべき、であります。また、明らかに別の、所有者に対して、本来の所有者ではない、所有者に対して申請手続きがとられているわけですから、裁決手続きそのものが無効であると考えます。

 それから、釈明を求める一点は、本件、亡くなられた石原正一さんを対象に手続きが進められていったのは、どの時点から進められていったのか。当初の使用認定申請の段階から、使用認定申請に当たって添付される関係書類についても、亡くなられた石原正一さんの相続人を対象としてやっているのかどうか、それから使用認定手続きに当たってのなくなられた石原正一さんを相手にしてなされているのかどうか、裁決申請手続きに当たってはどうなのか、手続き一つ一つに当たって、どのような名称で、この手続きがとられたのかについても、明らかにしていただきたいと思います。

 それから、昨日、日本テレビのニュースの番組の中で、あやまりがあるんであれば、補正をしなければならない、というコメントが流れました。わたしたちは今回の手続きが補正によって、治癒されるようなものではなく、あきらかに違法であり、この手続きは裁決申請手続きそのものが却下されるべきであるし、あるいは、取り下げるべきであると考えます。さらに、この手続きは、使用認定手続きそのものも、違法でありますから、使用認定手続きから、再度手続きを踏み直さなければならない、と考えます。

 仮に、本件土地の認定について、使用認定について、さまざまな理屈を通して、使用認定手続きについて有効性を仮に与えるような理屈をこねたとしても、使用認定からすでに一年以上の経過をとっています。そうしますと、この認定手続きそのものが、一年以内に使用裁決申請をしなければならない、という要件に欠け、この350番に対する使用認定申請は、できない状況、使用認定手続きはすでに失効している、という風に考えます。どのような理由をとってもですね、350番の土地については手続きをやり直さないといけない。使用認定からやり直さなければならない、というふうに考えますので、ぜひ今の状況に対して、収用委員会の先生方も、ぜひ、明確な資料にもとづいて、事実関係を調査するように、釈明していただくようにお願いいたします。(拍手)

兼城委員長

 えー、これについては、収用委員会としては、事実を調査してですね。防衛施設局に対して、事実の調査を、要求して、また、収用委員会としても態度を決定いたしますので、この問題は、この辺で、終わって・・・。次に、えー、本日の日程であります求釈明について、お願いしたいと思います。まず、土地所有者、えー、よろしくお願いいたします。

 


 出典:第二回公開審理の録音から(文書おこしは比嘉

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