米軍用地収用特別措置法の改悪に反対し、
法案提出・制定阻止の闘いを!


 政府は、現在、契約拒否地主の土地を米軍に提供するため、沖縄県収用委員会に対し、米軍用地収用特別措置法に基づく強制使用裁決申請をなし、目下、収用委員会において審理が行われている最中である。

 ところが、政府は、使用期間が終了する本年5月14日までに、裁決に基づく土地使用権を取得することができないとして、国が収用委員会に対し、強制使用の裁決申請を行うだけで、使用権を取得するとの内容の米軍用地収用特別措置法の改悪を画策し、国民の目の届かないところで法案の準備を進めていたが、去る6日、正式に同改悪法案を国会に提出することを表明した。

 この政府の策動は、法案の具体的内容を国民の前に明らかにして、広く国民的論議を起こすという民主主義のルールに反すると同時に、安保優先の立場から時の権力の都合にあわせて法をねじ曲げるものであり、絶対に許されるものではない。

 強制収用・使用は、憲法第29条が国民に保障する私有財産権を制限・剥奪するものであり、その手続きについては憲法第31条の適正手続きの保障がなされなければならない。

 地主に対して、事前の告知、弁解、防御の機会を与えることは、適正保障手続きの核心をなす手続きであり、且つ、準司法機関である収用委員会が中立的立場で「公共の利益と私有財産との調整を図る」観点から強制収用・使用の是非を判断することは、適正手続きの保障の上で不可欠なものである。

 今回の改悪法案は、米軍に土地を提供することを拒否する地主に対して、事前の告知、弁解、防御の機会を与えないまま、しかも、中立的な第三者機関たる収用委員会の判断が末だなされていないにも関わらず、収用委員会に強制使用申請をなしただけで、国に使用権を与えるものであり、憲法が定める私有財産権・適正手続の保障を根底から否定し、国民の平和的生存権を侵害し、さらに、実質的に沖縄を適用対象とした差別立法であり、何重にも憲法違反を重ねた暴挙法案と断ぜざるをえない。

 国は、すでに、昨年4月1日以来、読谷村所在の楚辺通信所用地の一部を不法占拠してきており、法を無視する政府の姿勢は、厳しく批判されなければならない。

 法の支配は、長い人類の歴史の中で、不断の努力により、確立された人類の英知であり近代社会・国家を成立せしめる基礎である。

 法の支配を否定する政府の行為は、自らの存立の基盤を掘り崩すものであり、自殺行為と評すべきものである。

 沖縄における米軍基地の形成・維持の歴史は、国際法に違反して米軍が「銃剣とブルトーザー」で築いた基地を、米軍の布令・布告で、日本復帰後は「法律」の名で「正当化」しようとしてきた歴史であり、沖縄問題の中心に、時の権力による沖縄への差別と県民の基本的人権・生活の無視が存したこと、法の支配が確立されなかったことを改めて指摘しなければならない。

 私たちは、今回また、「法律」の名による沖縄差別と権利侵害に直面しているが、人類の英知と全国の良識を武器に、最後まで、徹底した悪法阻止の闘いを続けることを、ここに宣言する。

 1997年3月11日

                沖縄軍用地違憲訴訟支援県民共闘会議
                権利と財産を守る軍用地主会
                一坪反戦地主会
                反戦地主弁護団
                一坪反戦地主弁護団


声明・決議等][沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック