ファルージャ:文明の衣を脱ぎ捨てた攻撃

ラフール・マハジャン
原文
日本語元


『ファルージャ2004年4月』の著者の一人、2004年4月にファルージャ入りして実際に米軍が何をしていたかを目撃し記録したラフール・マハジャンのブログEmpireNotesより、最新分を紹介します。もともと『ファルージャ2004年4月』ブログにも掲載されていますが、そちらのアクセスが重いことがあるので、こちらにも転載します。転送・転載歓迎です。URLを記して下さい。

11月7日午後10時15分

米軍のファルージャ爆撃が、たった今、新たに建設され開院したばかりのナザール救急病院を破壊した。

アヤド・アラウィからの「許可」を待っていた後(すなわち標的をソフトにするために準備爆撃を行なった後)、どうやら米軍兵士たちは地上の移動をはじめ、最終攻撃を開始する予定らしい。

アラウィは、クルド人の管理下にある北部の3行政区を除くイラク全土に、60日間にわたる戒厳令を発布した。表向きは、2005年1月27日に予定されている選挙の前に治安を維持するためとの名目で。

むろん実際には、選挙のための治安は一週間前に適用することができる。今回の戒厳令宣言には二つの理由がある。

第一のそして最も重要な理由は、ファルージャに対して4月に加えられた最初の総攻撃とその敗北(米軍は政治的目的を到達せずに撤退した)は、米軍がファルージャに集中している間に、レジスタンス部隊がイラク全土で逆襲することができることを意味している。それゆえ、今後も同様の攻撃を米軍が行おうとするならば、イラク北部以外の全土で、戒厳令宣言が必要であり、必要であり続ける。

第二に、とりわけバグダードを中心に、イラク人たちの中で大規模な市民的抵抗を行いファルージャ攻撃を何とかくい止めようという呼びかけがある。戒厳令下で、これが不可能になるかも知れない。

驚くべきことに、私の友人で同僚であるダール・ジャマイルが、バグダードに戻った。彼のできることはとても限られているが、それでもバグダードからの報道大虐殺と戒厳令を送ってきている。ぜひ読んで欲しい。私が知っている限り、ダールは望む滞在期間の3分の2分の資金しか持っていない。彼が大切な仕事を続けられるよう募金をすることができる方は、募金して欲しい。それから、彼が何とか生き延びるよう期待しよう。残念ながら、ファルージャでは多くの人々が生き延びないことを、我々は知っている。

追伸:病院破壊についての報を耳にしたとき、マッキ・アル=ナザルのことを心配した。私が4月にファルージャにいたとき、彼とたくさんの話をしたんだ。彼はファルージャのその地域に住んでいた。幸い、私は、ワシントン・ポスト紙で、マッキが、ファルージャ襲撃を阻止しようとする絶望的交渉の交渉団としてバグダードにいたことがわかった。


11月8日午後12:25分

すべての限界が突破された。ニューヨーク・タイムズ紙の記事「G.I.'s Open Attack to Take Falluja From Iraq Rebels」を読んで欲しい[訳注:登録が必要です]。ファルージャの病院は米軍兵士たちに占拠された。その理由は:

ファルージャで戦闘が勃発したのはこの半年で2度目である。4月、米軍は街の中心部に迫っていたが、そのときイラク全土の諸都市で人々の蜂起が起きた。この憤りは、たくさんの民間人犠牲者が出ているという確認の採れていない報道により引き起こされたもので、それにより米軍は撤退を余儀なくされた。

米軍司令官たちは、これらの犠牲者に関する報道は誇張されていたと述べたが、どれだけ多くの民間人が殺されたかを独立調査で確認することは不可能だった。病院が簡単に落とせる標的として選ばれたのは、米軍が大規模な犠牲者についての噂は病院から出たと考えていたからである。

「病院がプロパガンダの中心だ」と米軍の将校は6日に語った。

つまり、医師たちが人々に、米軍の攻撃でどれだけたくさんの人々が殺されたか語ったために、閉鎖され、軍事標的とされたのである。文明のあらゆる見せかけが、完全に取っ払われた。

Under the Same Sunの強力な記事も読んで欲しい。


ダール・ジャマイルとは、『ファルージャ2004年4月』を編訳中に、私も何度かメールでやりとりしたことがあります。大変誠実で人好きなタイプの人でした。マッキ・アル=ナザルは、『ファルージャ2004年4月』に登場する主要人物の一人です。

2004年4月ファルージャで米軍がどれだけの人々を殺したかについては、既に様々な調査でほぼ明らかになっています。イラク保健省は当初、低い数字を発表しましたが、それを静かに取り下げています。イラク・ボディカウントの控えめな集計では犠牲者約800人。民間人の犠牲者は600人、そのうち300人は女性と子ども。

日本でも、ファルージャの包囲が解かれてから現地入りしたジャーナリスト土井敏邦さんが『米軍はイラクで何をしたのか』(岩波ブックレット)で聞き取りをして、その凄惨さを確認しています。

5月以降調べることができたにもかかわらず何もせずに、「たくさんの民間人犠牲者が出ている」という、現地で負傷者や犠牲者の治療・医療に当たった病院の医師たちの言葉を「確認の採れていない報道」と言い切るニューヨーク・タイムズ紙こそ、卑劣なプロパガンダ・マシンと成り下がっています。

どうか、米国大使館に、メディアに、日本政府に、抗議の声をあげて下さい。日々ファルージャで何が起きているかに注目し、大手メディアで報道されていないことも調べて、継続的に。

緊急行動案内・抗議行動については、 などをご覧下さい。
益岡賢 2004年11月10日

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