アメリカの国家犯罪全書

ウィリアム・ブルム著、益岡賢訳
作品社、400ページ、2000円、2003年3月31日発売
1ページ5円という安さ! 索引付

原書は Rogue State: A Guide to the World's Only Superpower (London: Zed Books, 2002) です。著者のウィリアム・ブルム氏は、1967年、米国のベトナム侵略に抗議して国務省を辞任して以降、地道に米国の海外介入や国内での人権侵害を調査してきた人で、その著書は、米国内で米国の政策を憂慮する人々に高く評価されています。勇ましいタイトルがついていますが、米国による多くの国際法違反をオムニバス形式で記述した、淡々とした本です。細かい章に分かれているため、最初から読み通すこともできますが、ハンドブック的に使うこともできます。もうすぐ書店に並びますので、よろしければ手にとって見てみて下さい。直接手に取ることが難しい方のために、一部、オンラインで公開致します。ただし、その後訳文には大分手が入れられていますので、正確に本と同じではありません。ご了承下さい。また、2003年1月に著者からのイラクを巡るコメントをもらった部分が「著者まえがき」に追加されています。

あと、わざわざお断りするまでもないことなのかも知れませんが、これはいわゆる「反米本」ではありません。親米とか反米といった妙なカテゴリー(これ自身、ブッシュが他人に強制しようとしたカテゴリーです)においてではなく、冷静に、記録として検討していただきたい中身の本です。占領下パレスチナの人が恐ろしい状況に置かれている中で、それをしっかりと批判しながら、不当な行為に対してはどのような場所でそれが起ころうと反対する枠組みの必要性を説き、そのために「オープンなディスカションや交流の促進を通して、手前勝手な議論、戦争や宗教的急進主義や先制「防衛」の専門用語などと取り引きすることのない知的な誠実さを育むこと」(中野真紀子訳『イスラエル、イラク、アメリカ ---戦争とプロパガンダ3---』みすず書房、二〇〇三年)の重要性を強調する、エドワード・サイードの言葉が、訳者は、とても好きです。そして、サイードのこの言葉は、「親米」とか「反米」といった対立軸と、全く異なる立場からのものだと思います。

目次:

 益岡賢 2003年3月21日 50000人が参加した東京ピースパレードから戻って

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