加島軍曹は、メガネを掛けていて            荒れた山路と、雨の中の敗走
少し出歯だった。食糧がなく、わ            で無傷の編上靴を履いている
らびとか芋の葉を湯がいたり、生            者はいなく、靴の底がはずれ、
で食って山中を、彷徨していた頃            紐、包帯などで足にくくりつ 
衰弱して動けなくなり病死したが            けている者が多いい。死の迫
最後の言葉は「お母さん」であっ            った落伍者とか、病死者の編 
たと聞く。                                           上靴で履けそうなのがあると、
                             狙われ取換えられた。