hon-small-red.gif (121 バイト)   小中陽太郎さんの新著『市民たちの青春――小田実と歩いた世界』について大出版社の編集者、校正者の質の低下についてなど。(08/12/09)

 本サイトの「感じること・雑感・駄弁」欄No.43に書きましたように、小中さんの新著『市民たちの青春――小田実と歩いた世界』(講談社 2008年11月刊)の内容に、私はいくつかの問題点があり、賛同できない部分もあると思っています。そのうち、事実関係の誤 りを放置できないとの思いから、私が作るのも変な話なのですが、正誤表を作ってみました。ベ平連のサイトに掲載したのですが、このサイトにも同じものを載せることにします。ここをクリック。全部で百 項目ほども列挙することになり、この作業は疲れました。
編集者・校正者の問題
 これを作って感じたことですが、著者自身の不用意や不注意ももちろんですが、講談社でこの出版を担当した編集者と校正者の仕事のいい加減さにも驚きました。というのは、編集者と校正者は、印刷前のゲラを読んだはずで、読めば当然気がついていいはずの初歩的ミスや誤植がいくつも見逃されているからです。講談社という大出版社の質も低下したものだという思いが否めません。
 私の知っている有能な校正者は、人名や地名などの固有名詞などが出てくると、必ずその場所をノートに書きとめ、次に同一に近い表現が出てきたとき、前に出てきたものと対照して、食い違いがないかどうかを確かめます。固有名詞に限らず、ゆれの起こりそうな表現、たとえば「インタビュー」と「インタービュー」とか、「人々」と「人びと」など異なる表記が出てくると、どちらかに統一するよう、著者に注意してくれます。この本では、そういう努力がされていないとしか思えません。
 例えば、101ページに「マイヤース」という米脱走兵のことが出てきて、次ページではその同一
人物が「メイヤー」として出てきます。本当はどちらでもなく「メイヤーズ」が正しいのですが……。また、イントレピッドの4人の脱走兵が乗って日本を脱出したソ連船の名が、88ページでは「ウラジオストックに運行していた定期旅客船『バイカル』」 (正しくはナホトカに運行していたのです)となっているのが、93ページでは「停泊中の『ナホトカ号』に行き 」となっています。著者がうっかりして書き違えたのだとは思いますが、これなど、編集者や校正者が気がつくべき性質のものです。また、144ページには、小田さんが、「人間論=文学論=批評の原点」ともいわれる西洋文学古典中の古典
『崇高について』を翻訳した著者、ロンギノスが「ロンギース」となって出ています。おそらく手書き原稿の「ノ」を「−」と見間違えてワープロに打ったのでしょうが、153ページには正しく「ロンギノス」とあるのですから、これも気がついて当然です。こういった、ちょっと注意すれば防げたはずの誤りがとても多いのです。残念なことです。