ワークショップ
ゲーム「地球にダイエット」体験記 1999,6,10 於
県民サポートセンター
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1:はじめに
当「新しい環境教育をつくるネットワーク」が主催して、「地球にダイエット」ゲームを体験するワークショップが開かれた。講師はこのゲームの開発をしたグループの1人、嵯峨創平さん。
県民サポートセンターの一室に集まったのは、東京から来ていただいた方々も含め、総勢25名?ほど。仕事はさまざまで、小中高の教員もいれば、行政の人もいたし、市民運動に参加している人、親として小学校のPTA活動で環境教育的な発想から何かできないかと考えている人もいた。
5人ぐらいずつのグループに分かれて、まずはアイスブレーキングの自己紹介。それから嵯峨さんの説明で「地球にダイエット」ゲームに入っていった。
このゲームには、1960年代バージョンと、バングラディッシュバージョンがあり、今回行ったのは1960年代バージョンであった。
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2:準備
@各グループにあらかじめ、40枚ほどの食材カードが用意されている。
表にはそれぞれ食材の絵と1960年ないし現代(1998年)の価格が表示されて いる。
裏にはそれぞれの食材の産地・耕地面積・輸送エネルギーが記入されている。
A各グループに、発表用の模造紙1枚。色マジック、数本ずつ。
Bグループを、60年代チームと現代チームにわける。
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3:ゲーム開始
■夕食メニュー
4人家族の家族構成をまず相談する。お父さんお母さんと、こどもは何歳か・・・・。そして、60年代チームは250円、現代チームは2500円の予算で、夕食をまかなうことにする。グループのみんなで食材カードを見ながら、予算を考え、食材の組合せを考えて食事のメニューを組み立てていく。みんなでわいわいがやがや意見を言いながら、メニューを考えるのだが、作業の中でこの部分が一番楽しかった。質より量か、量より質か、デザートはどうするか、晩酌はするのか・・・・・・参加者の食生活が会話の端々に伺える。
普段から食材の買い物や、炊事をしていないとこの作業はコツがつかめないのでは? 高校生などを対象にして行うときに、特に男子の経験があまりないのではないかと思われる。
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■食材カード
食材カードに限りがあるので、調味料・香辛料などカードがないものもある。私たちは、足りない食材は適当に値段を考えて、予算の中で使うことにしてしまったが、そうすると後で、耕地面積・輸送エネルギーのデータがないためにそれらの計算ができない。もう少し食材カードのレパートリーを増やしてもよいだろう。といって、余りカードが多すぎても、メニューの集約に時間がかかるなどして面倒になるだろう。たぶんいろいろなところで実践してみて、あとどのような食材を足したらいいかデータが出てくるのではないか。所詮ゲームだから、適当に済ませてしまえばいいという程度のことでもあるが。
■献立完成
材料がそろったら、夕食の献立の絵を模造紙の上半分に描く。できあがった料理と、家族の顔でも描けると、イメージが膨らむ。
■環境負荷
献立に用いた食材カードの裏面を参考にしてその食材の環境負荷量を計算する。ここでは耕地面積と輸送エネルギーを考えてみた。カードの裏面にある数値を合計し計算して、模造紙の下半分に一覧表を書く。
■プレゼンテーション
それぞれのグループの献立・環境負荷計算結果をグループの代表が模造紙の絵を示しながら発表する。献立の特徴、計算結果についての感想などを発表し、他のグループと比較しながら環境負荷について、地球に優しい食事の仕方、などなど議論する。
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4:まとめ
どの食材についても、産地が限定されていて、どこのものでも自由に使えるというわけではない。現代パージョンでは、ジャガイモは北海道のもので、それだけ流通産業の発達に支えられているわけで、日本などの先進国ならでは内容と言えるだろう。今回行わなかった、バングラディッシュバージョンでは、産地はごく近隣のものに限られており、地元産のものに頼らざるを得ない他国の状況も知る必要があるだろう。現代の日本で地元の農産物などをもっと利用する必要があることに気付かされた。
その他、ゲーム後の懇談で出された意見を紹介する。
◎流通産業の発達は「地元産」というブランドをなくしてしまった。確かに遠い産地の食べ物を手に入れられるようになり、便利になったかもしれない。でも60年代以前の日本では、地場のものがもっと活用されていたはずで、そのような状況の方がほんとは豊かな食生活だったのではないかと気付かされた。 ◎魚介類は耕地面積0と計算されている。これは都合のいい値で、一考の余地あり。 ◎ジャガイモが北海道産で、輸送エネルギーの値が極めて大きい。重いのと、トラック輸送のためである。しかし、北海道産ジャガイモをすべてトラック輸送しているとは考えにくい。札幌に集まるジャガイモの60%は鉄道貨物輸送であるという。その他フェリーなども利用されているのではないか。 ◎ジャガイモの話も含めて、これはあくまでもひとつの試算だから、これをきっかけに、食の問題について、環境負荷について考えたり議論したりする必要がある。このゲームはそういう意味でひとつの契機である。
◎技術的な問題:このゲームをやってみたいものの、例えば普通の学校では1クラス40人規模で、ちょっとやるのは大変。時間も2時間以上はかかるのではないだろうか。
などの意見が出されました。
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■全体として、
大変よく考えられ準備されたゲームでした。環境負荷の数値など、ひとつひとつ算出する苦労が偲ばれます。数値については確かにひとつの試算で、不十分なものもあるかもしれませんが、でも大変刺激的なゲームで、いろいろと考えさせられました。
実際に教室で行う際の問題点など、具体的な問題をもっと詰めて検討してみたいと思います。
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