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2003年5月 第24回映画研究会は、ボリビア映画『第一の敵』を見直す公開上映会です

第一の敵

映画上映とトーク

ウカマウを読み直す ;『第一の敵』に見られるエスニシティーと暴力

 ボリビア映画/1974年作品/110分/字幕スーパー
 製作:ウカマウ集団 監督:ホルヘ・サンヒネス

 講演者:太田昌国(シネマテーク・インディアス 民族問題研究)
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 パネラー:濱村篤(日本寄せ場学会)
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 進行役:中野真紀子(翻訳業)
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 主催:エル・エスパシオ・デ・ラ・ペリクラ

 6月22日(日)15:00〜 (14:30開場)
 会場:キノ・キュッヘ(木乃久兵衛)東京都国立市西2−11−32
    JR中央線 国立駅 南口を出て右手斜めの富士見通りをまっすぐ下って徒歩15分。
国立音楽大学付属高の向かい側。
     *地酒の飲める無国籍料理のお店です。
 
 料金:当日 1200円 予約 1000円
 予約/問い合わせ:042 8722;577 8722;5971(キノ・キュッヘ)


 ●1974年に作られたボリビアのウカマウ集団の映画『第一の敵』は、南米のインディオスをめぐる、さまざまな形態の暴力が描き出されているが、そのシンプルなストーリーにあって、ウカマウの映像が持つ膨らみゆえに、今なお、さまざまな問題を提起する映画となっている。この映画が直接下敷きにしているのは、ボリビアのアンデス高地から密林地帯に転戦して1967年に殺されたチェ・ゲバラであるが、この映画を少しだけスライドさせると、背筋が寒くなるような暴力で知られるペルーのゲリラ、センデロ・ルミノソと重なってしまう。またさらに、少しだけスライドさせると、1994年、NAFTA(北米自由貿易協定)が発効した日に、メキシコのチアパス州で、サパティスタ民族解放軍(EZLN)が起こした武装蜂起とも重なり合う。このような膨らみを持つのは、ウカマウの映像の持つ質によるものと思われるが、こういうものを重ね合わせるときには、暴力という言葉のみでくくるよりは、ウカマウの映像が内在させていたエスニシティーという眼差しが重要になってくるのではないだろうか。センデロ・ルミノソが拠点としていたペルーのアヤクーチョというところも、サパティスタが蜂起したメキシコのチアパスも、今暴力が蔓延している世界が忘れた「世界の片隅」であった! 世界の片隅から、今、世界を眼差す。(濱村)