子どもを撃つこと(1)
ハイチ:銃弾をこの手に握った

覆面ハイチ警察が司祭を逮捕し子どもたちを撃った
ビル・キグリー
CounterPunch原文
2004年10月22/24日


ジャニーヌ(すぐに分かる理由で実名ではない)は静かな14歳の少女で、ポルトープランスの国際空港近くの轍のついた未舗装の道のそばに18人家族の中で暮らしている。一週間に二回、彼女はサン・クレール教会で食事をするため、1マイル程を歩く。

ジェラール・ジャン=ジュスト神父はサン・クレール教会の司祭である。彼は、教区の600人の子どもたちにごはんを食べさせていたときに、重武装した覆面の男たちに囲まれ、それから1週間以上投獄されている。彼の逮捕は暴力的だった。警察は金属棒を周囲のコンクリートからひっぺがして教会の窓を壊して中に入った。ジャン=ジュスト神父を殴って手錠を掛けたあと、たたき壊した窓から彼を引きずりだし、車に投げ込んで、牢屋に向けて走り去った。

逮捕の後、教区の人々は公式に苦情を申し立て、覆面警官が子どもたちを撃ちさえしたと述べた。ハイチ「政府」当局は、子どもが撃たれたことを強固に否定し、この逮捕をめぐって警察を調査しもしなかった。

「政府」寄りのメディアと米国大使館職員もまた、警察が子どもたちを撃ったという報告をあざわらった。彼らは、子どもが撃たれたというお話はハイチの噂ばなしで、選挙で選ばれたのではない現「政府」に反対する人々のプロパガンダだと述べた。

けれども、怪我をした子どもたちが表に現れた。これらの子どもたちは本物の包帯を巻き、本物の治療を受けた記録を持っている。

さらに、銃弾がある。

私が訪れたとき、ジャニーヌは左に傾いて木のベンチに座っていた。母親がやさしく彼女の向きを変え、娘のダークブルーのスカートを少しあげた。右の臀部の下に青くぬわれた4インチの傷を見せるためである。

ジャニーヌの兄は血の染み込んだガーゼの塊を取り出した。開いた中には、先週ジャニーヌの臀部から医者が取り出した真鍮色の銃弾があった。

ジャニーヌは、サン・クレール教会で子どもに食事をあげていたジャン=ジュスト神父が逮捕されるとき、ハイチの警察から逃げていたところを後ろから撃たれたのである。

私はジャニーヌから摘出された銃弾をこの手でつかんだ。一インチより少し短く、真鍮色で、とても硬かった。ジャニーヌは今も痛みを感じている。家族はジャニーヌを再び医者に連れていくお金がない。

ジャン=ジュスト神父逮捕の際、ほかに二人の子ども----小さな男の子二人----も警察に撃たれた。一人は頭を、もう一人は肩を。私は彼らにも会った。医療当局が彼らを治療していた。

ジャン=ジュスト神父は他の多くの政治囚とともに国立刑務所に入れられている。公式には、彼は平和を乱した罪で告発されている。40セントの罰金刑である。アムネスティ・インターナショナルは彼の逮捕を非難し、また、ジャン=ジュスト神父の弁護にあたる勇敢なハイチ人弁護士マリオ・ジョセフも人権活動のために危険にさらされているかも知れないと警告した。

その間、クーデターで政権を握った現ハイチ当局は米国政府の支援を受けている。現ハイチ当局も米国政府も反対派を非難し、反対派は暴力だけに関心を持っていると言っている。

覆面ハイチ人警察は、どうして小さな少女を後ろから撃ったのだろう?警察はどうして他の二人の男の子を撃ったのだろう?何故これらの子どもたちが撃たれたことを否定するのだろう?何故司祭を殴り無期限に拘留するのだろう?何故司祭の弁護士を脅迫するのだろう?

疑問を呈せざるを得ない。暴力による支配を望んでいるのは、どちらの側だろう?ジャニーヌや他の子どもたちに訊ねる必要はない。答えは明らかなのだから。

マリオ・ジョセフレイノルヅ・ジョルジュはジャン=ジュスト神父の弁護にあたっているハイチ人弁護士。www.ijdh.orgを参照。

ビル・キグレーはロヨラ大学ニュー・オーリンズ法律学校の教授。ジェラルド・ジャン=ジュスト神父の弁護にあたる一人としてポルトープランスから寄稿している。メールはduprestars(atmark)msn.com.


子どもを標的にすることが日常化しています。中米では、米国SOAに訓練を受けた軍や準軍組織(「死の部隊」)が子どもを「放っておけばゲリラになる」と称して親の前で虐殺したり、妊婦を殺して胎児を取り出したりといったことをしていました。

イラクでの米軍による子ども殺しについては、ファルージャのテロリストたちをご覧下さい。なお、アブグレイブの拷問に関するパンフレットが出たようです。

日本でも、別のかたちで子どもが標的になっています。現在最も大きなものは、教育基本法の改悪への動き。これについては、意見広告の呼びかけと集会の案内がありましたので、以下、長いですが紹介します:

「教育基本法改悪反対」意見広告掲載のための緊急要請
全国の小さな流れを結集して、大きなうねりに

私たち「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」は、さまざまな立場の人が、北海道から沖縄まで、教育基本法改悪阻止の1点で大きく大きくつながっているネットワークです。

昨年12月23日日比谷公会堂での全国集会は、人も熱気も本当に会場から溢れてしまうほどの大成功でしたが、その後も活動を続けてきました。そして、この秋最大の山場として、11月6日に日比谷野外音楽堂での全国集会を予定しています。

このたび私たちは、緊急のことですが、「11月6日までに全国紙に意見広告を打とう!」という重大決定をしました。教育基本法改悪は、全国のみなさん一人ひとりに関係する重大な問題なのだ、ということを打ち出したいというのがその主旨です。

今回の「改正」は、ある議員が「お国のために命を投げ出す人間をつくる」とまで言ったように、一部のエリートを指導者層として育て、他の多くの人々をお国のための歯車にしようというものであることは明らかです。そして、その先には戦争が待っています。

情勢は緊迫しています。来年の通常国会に上程されれば、今の議員構成からして、「改正」法案が可決・成立する危険性が大と言わざるをえないでしょう。国会への上程を阻止し、改憲をくい止めるためにも、「動くなら今!」なのです。このような私たちの意を汲まれ、この意見広告運動に参加をしていただけますよう、心からお願いするものです。

なお、この意見広告は、教育基本法改悪反対・「多彩な意見広告」の会と共同し、今後も継続して行っていく予定です。

【掲載時期】
2004年10月30日(予定)
【掲載紙】
朝日新聞全5段(1/3ページ)
【目標金額】
1000万円 …掲載費800万、諸経費200万(デザイン料・印刷費・郵送料など)
【振込先】
1.三井住友銀行 高幡不動支店(タカハタフドウシテン) 
普通1477174
加入者名 全国連絡会意見広告(ゼンコクレンラクカイイケンコウコク)
2.郵便振替 00190−5−389679
加入者名:全国連絡会意見広告
【賛同金】
1口1,000円 
(できるだけ3口以上をお願いしたいのですが、それ以下でもいくらでも歓迎です)

【広告概要】
教育基本法の存在と、改悪の意図、改悪に反対する全国運動が おこっていることについて、簡潔に伝える意図でつくります。まだ案の段階であり、正式な決定ではありませんが、文章は以下のようなものです。

※なお、今回の意見広告には、紙面の都合上、賛同していただいた皆さんのお名前を載せることができませんが、意見広告は今後も 継続しておこない、呼びかけ人として賛同してくださる方もあらためて 募ることを考えています。

<小見出し>
世の中が悪いのを、子どもや若者のせいにしていませんか?学校や教育の問題を、「教育基本法」のせいにしていませんか?

<大見出し>
教育基本法を変えて(小さく)「お国のために命を投げ出す」子どもをつくりたいですか?
<本文>
今、教育基本法を変えようという動きが急ピッチで進められています

その理由を、ある国会議員が「国のために死ねる日本人をつくるため」だと明言しました

また「できんもんはできんままで結構、 限りなくできない非才、無才には、せめて実直な精神だけを養っておいてもらえばいい」と発言する前教育課程審議会会長もいます

これこそが、教育基本法を変えようという人たちの本当の理由、「愛国心」だって個人の心の問題であり、 国家から一方的に強制される問題ではありません。

教育が私たちのものではなく完全に国家のものになってしまいます

つまり、政府が教育のしくみを都合のいいようにコントロールできるということです

私たちが次の世代にどんな未来を手渡したいのか、もう一度考えてみませんか。

<本文下に>
教育基本法の改悪を止めよう!11・6全国集会

2004年11月6日(土)
場所/東京・日比谷野外音楽堂
開場 12時半 開演 13時半 参加費/無料
出演者/ソウルフラワーモノノケサミット、
ザ・ニュースペーパー、各地からの報告 ほか
集会後、この趣旨をひろくアピールするためにパレードを行います

【意見広告呼びかけ人】
石坂啓(漫画家)、梅原猛(哲学者)、大内裕和(松山大学)大田尭(教育学者)、小山内美江子(シナリオライター)、落合恵子(作家)、川田龍平(人権アクティビストの会)、姜尚中(東京大学)、小森陽一(東京大学)、高橋哲哉(東京大学)、竹下景子(女優)、辻井喬(作家)、暉峻淑子(埼玉大学)、灰谷健次郎(作家)、三宅晶子(千葉大学)、山田洋次(映画監督)

【問合せ】
〒113−0033 東京都文京区本郷1−19−6 坪井法律事務所内
教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会
TEL  090−3914−7114(意見広告専用)
FAX 03−3812−5510
メール info(atmark)kyokiren.net
※なお、全国連絡会や広告の詳しいレイアウト案については、教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会HPをご覧下さい。

http://www.kyokiren.net

2004年10月25日

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