プラン・コロンビア概説

2000年7月
ギャリー・リーチ
コロンビア・レポート原文

プラン・コロンビアは、公式には、1999年から2年を予定したコロンビア政府の政策ですが、ある情報筋によると、原文はスペイン語ではなく英語で書かれているともいわれているようです。

もくじ

はじめに
セールス・ピッチ
10の要素
経済プラン
麻薬戦争・汚い戦争と「民主主義」
根絶と追放
軍事的解決
終わりに


はじめに

プラン・コロンビアの支持者は、このプランが成功するならば、コロンビア内戦が終わり、コロンビア経済が再生し、麻薬業者が失業することになるだろうと主張する。コロンビアと米国政府が理解するところでは、75億ドルのこのプランを実施するために、コロンビアは、35億ドルの国際支援を、自国の40億ドルのプラン用資金を補足するために求めている。けれども、財政的問題を抱えたコロンビア政府がどうやって40億ドルを集めることができるかはいまだに明らかではない。

プラン・コロンビアによると、最初の目的は、現在は約40%がゲリラの手にある国土の全体を、国家が統制することにある。その目的を、南部コロンビアのコロンビア革命軍(FARC)に対しての軍事攻撃を行い、同時にその地域で作付けされているコカを根絶することにより達成しようというのである。軍事作戦段階の後で、コカを根絶させられた農民に対しては、代替作物を作るための資金が提供され、自分の家と土地を負われたカンペシノには援助が提供されるとされている。

プランの経済部門は、新自由主義政策を採用しており、政府が社会支出をカットする一方で、コロンビアの市場と資源とを海外の投資家に開くかたちになっている。コロンビア政府は、コロンビアの経済エリートと多国籍企業が潤うことになるこのような政策を、1999年12月のIMFによる27億ドルの貸付に対する対価として受け入れさせられることになったのである。

プラン・コロンビアをよく見ると、それが、「飴と鞭」により、政治的・社会的・経済的現状を維持することに真の目的があることがわかる。海外支援の最初の支払いである米国からの13億ドルの援助パッケージから明らかなように、プランは、小さな小さな飴を与える一方で、大きな鞭をふるうように意図されている。米国援助の約80%が充てられる鞭は、軍と警察への援助である。残りが飴に相当する。8%が代替作物育成に、6%が人権プログラムに、4%が家を追われた人々に、2%が司法改革に、そして1%に満たない部分が現在進められている和平プロセスへと充てられる。

EUも資金の支援を求められたが、多くのEU加盟国は、プラン・コロンビアが、本質的に政治的・社会的・経済的な問題に対して軍事的解決を協調していることに不安を抱いている。 多くのヨーロッパ諸国は、プラン・コロンビアが米国のスポンサーによるFARCへの戦争に依存していることで、コロンビアの社会的・経済的状況が悪化していくだけではないかと考えている。 さらに、米国がプランの軍事段階を終了したら、ヨーロッパにその後処理が投げられると考えている。

ワシントンにとって、コロンビアの「民主主義」と米国の経済利益に対する深刻な脅威となっているのはFARC−コカ栽培農民に課税しているため今や「麻薬ゲリラ」と呼ばれている−である。その結果、FARCは麻薬戦争の主要な標的とされた。けれども、ワシントンが軍事的解決を強調しても、それは米国への麻薬の流れを除去することにはほとんどつながらないだろう。というのも、米国の作戦は、北部コロンビアの麻薬商人とその同盟者である順軍組織を無視しているからである。けれども、こうした軍事戦略は、プラン・コロンビアの副題として付けられている「国家の平和・繁栄と強化」は達成するかも知れない。ただし、それはコロンビアの人々のためになるものとしてではなく、コロンビアの政治・経済エリートの利益になるものとしてであるが。

セールス・ピッチ

プラン・コロンビアの前文は、麻薬取引に関係する暴力が、「国が近代国家建設を完成させるために必要な資源を失わせている」と述べている。ここで無視されているのは、歴史的に、1970年代後半に麻薬ブームが始まる遙か前からの暴力が、コロンビアにおける近代国家建設を阻害してきたという事実である。19世紀のたくさんの内戦、1928年シエナガのユナイテッド・フルーツ社のプランテーションにおけるバナナ労働者たちの虐殺、1948年の反対派自由党大統領候補ホルヘ・エリエセル・ガイタンの暗殺、1950年代の「ラ・ビオレンシア」の時代における、何十万人もの自由党・共産党農民の虐殺と強制移住、そして1960年代における、コロンビアであまりに蔓延した政治的・社会的・経済的不正と闘うためのいくつかのゲリラの結成である。

麻薬に関わる暴力は、コロンビアにおける暴力の最も新しい形態−そして暴力のいいわけ−に過ぎない。歴史は、麻薬取引に直接関係する暴力を取り除いても、コロンビアの歴史を通して起きてきたあらゆる暴力の真の理由であるところの政治的・社会的・経済的問題を解決するための役にはほとんど立たないということを我々に告げている。

プランの前文はまた、次のようにも述べる。「我々の戦略の成功は、また、法の適用を保障し、すべてのコロンビア人に、国の領土全般において、安全であるという感覚を取り戻させるために、我々の軍隊を改革し近代化する我々の努力にも依存している」。これは、コロンビア政府が、現在ゲリラの手中にある40%の領土を取り戻す意図があることを示している。歴史的にみて、政府は、土地や資源が国家エリートにとって価値あるものと見なされない限り、ゲリラが今支配している遠くの地域や人々にほとんど関心を示してこなかった。

「すべてのコロンビア人に安全であるという感覚を取り戻させる」ことについて言うならば、コロンビアの暴力的な歴史上、支配エリート以外のコロンビア人が本当に「安全であるという感覚」を一度でも持ったことがあるかどうかは疑問である。ゲリラの力が増したことにより脅かされているのは、現在、ゆすりや誘拐、暗殺の脅しがいつもある中で暮らしているエリートたちの経済的利害と個人的安全なのである。

経済面では、プラン・コロンビアは、コロンビアの社会経済的問題に対する解決策として、新自由主義政策を提案している。国際支援を求めるアピールの中で、プランは次のように述べている:「我々は、世界的な「グローバライゼーション」を成功裡に達成するための第一歩は「連帯のグローバライゼーション」である」。これは、他の多くのラテンアメリカ諸国で進められている経済のグローバル化は失業と貧困を増大させ、これは、コロンビアにおいては、より多くの人が仕事のために麻薬取引に乗り出し、また、ゲリラと準軍組織に参加する人が増加することを意味する。これにより不可避的に訪れる結果は、コロンビア人の間の連帯ではなく、暴力の増加であり、これは既に脆弱な経済に対するさらなる打撃となるであろう。

10の要素

プラン・コロンビアの10の要素は、プラン・コロンビアの諸要素を実施するための戦略の概要を示している。それらは、次のようなものである。

  1. 経済戦略
  2. 財政戦略
  3. 軍事戦略
  4. 司法・人権戦略
  5. 反麻薬戦略
  6. 代替開発戦略
  7. 社会参加戦略
  8. 人材開発戦略
  9. 平和戦略
  10. 国際戦略

経済戦略が麻薬取引とそれに関する暴力に対する解決策として提案しているのは、新自由主義政策である。政府が「麻薬取引とそれに関わる暴力と対決するための力」を強化するために、プランは、「国際取引を拡大し、それとともに、海外市場へのより自由な参加と海外及び国内の投資を引きつける自由貿易協定を採用することが、我々の経済基盤と雇用創生の近代化にとって鍵となる」と主張する。

同様の新自由主義政策が、ボリビアやエクアドル、エルサルバドル、ドミニカ共和国といった他のラテンアメリカ諸国に破壊的な影響を与えたときに、この計画がどうして暴力を減ずるのか理解するのは難しい。新自由主義を採用した他のラテンアメリカ諸国では、「雇用創生」ではなく雇用喪失が起こり、それはまた、貧困レベルを悪化させ、暴力犯罪を増加させることとなった。

財政戦略を扱う部分では、「経済活動を活発にし、国際金融市場における歴史的にすばらしいものだったコロンビアのプレステージを回復するために、厳しい節制と調整手段」が提唱されている。けれども、コロンビアの国際金融市場における過去のプレステージは、経済エリートを利するのみであり、自給自足レベルで暮らしていた平均的なコロンビア人にはほとんど意味がなかった。

また、節制と調整は不可避的に失業の増加につながり、その結果、これまで以上の人々が非公式部門で働くこととなる。同様の政策を適用したすべてのラテンアメリカ諸国でこのような状況が生じている。さらに、人材開発戦略は、「向こう数年のうちに、十分な教育と健康を保障する努力を促す」意図を持っているというが、節制と調整により教育と健康への予算を大規模に削減されることが疑いない中、どのようにして、教育と健康の保障が達成されるのか、 プランは説明していない。

10の要素のうち、軍事関係は一つだけであるが、それにもかかわらず、米国の援助パッケージの80%は軍事援助に向けられ、他の9要素に割り当てられるのは20%だけである。このような少額の資金で、非軍事的な9要素が実効的に実施されると信じることは難しい。さらに、不可避的にエスカレートするであろう戦争は、これら9項目が対象としている社会問題を悪化させるだけである。

経済プラン

「コロンビア経済へのアプローチ」と題するの「安定化の手段」の中で、プランは公営企業と銀行は、公益事業と国営石炭会社も含めて、民営化されることになると述べている。国営企業のこうした民営化は大量の解雇者を生み出すことになり、政府支出の削減により、社会的弱者に対する社会的セーフティネットの名残が取り去られる中で、失業をさらに増やすこととなる。

他の国々における公益企業の民営化は大規模な抗議を引き起こし、政治的不安定を促した。ボリビアで今年(2000年)はじめにコチャバンバの水道を民営化しようとしたときには、抗議行動と暴力が起こり、何名もの死者がでた。ラテンアメリカ諸国での公営企業の民営化は、繰り返し、莫大な値上げを行き起こし、多くの人々の収入では手の届かないほどになった。コチャバンバでは、民営化された水道料金は、平均的な家庭収入の20%を占めるようになった。

こうした問題に対して、プランは「最終的には非合法活動を促すことになってしまう、失業をはじめとする社会問題に対しての財政引き締めによる短期的な否定的影響を最小化するために、支援が不可欠である」と述べてこれに対処しようと試みている。それにも関わらず、予想される「失業をはじめとする社会問題」を扱うために割り当てられる米国の援助はゼロなのである。

また、「財政引き締めによる短期的な否定的影響」と述べるとき、「短期的」とはどのくらいの期間を指すのか規定していない。多くのラテンアメリカ諸国で10年以上前に財政引き締めと調整政策が採られ、その間、富者と貧者の差が劇的に広がり、また、貧困状態の人々の数も劇的に増えた。この傾向が近い将来変化するという証拠はどこにもない。従って、「短期的」というのは最低でも10年と考えられる。大多数のコロンビア国民は、将来に起こるかもしれない生活水準の向上に関するもう一つの約束と引き換えに、さらなる貧困生活を受け入れようとするであろうか?

「貿易と投資の促進」という節の中で、プランは、コロンビアは1990年代に海外投資と貿易のために経済を開放したと述べている。また、「その結果、70万ヘクタール(175万エーカー)の農業生産がこの間輸入作物のために失われ、それは、コロンビアの対立の主要な場である地方の失業にとって決定的な打撃であった」と指摘している。プランはこれを、農業部門近代化の遅れのせいにし、さらにそれは、麻薬取引にからむ暴力のせいであるとしている。

けれども、麻薬関係の暴力の問題を抱えていないラテンアメリカの国でも、ほとんど、グローバル化の負の効果は同様であり、さらに、引き締め調整計画の適用によって引き起こされた失業と貧困が暴力の劇的な増加を引き起こしている。エルサルバドルでは、最近、国が内戦下にあった1980年代の最悪の年に比するレベルまで殺害事件数が増えている。

麻薬戦争・汚い戦争と「民主主義」

「コロンビアの対麻薬戦略」という見出しのもとで、非合法の「自衛」集団−つまり準軍組織−とゲリラ双方が言及されている。けれども、プランは準軍組織と麻薬取引の関係について詳しく述べていない。一方、ゲリラがコカ栽培者に課税していることを通して麻薬取引に関係し、ゲリラの収入の30%が麻薬取引から来ていると主張している。

これは、大規模なコカ根絶作戦によりゲリラの麻薬収入を断ってゲリラをうち負かそうと意図する戦略の有効性に疑問を投げかけている。ゲリラの収入の30%しか麻薬収入から来ていないならば、それを除去すると力は減ずるであろうが、それでも70%の他の収入で大規模な兵力を維持できるのである。従って、このような戦略が戦争を終わらせ国に平和をもたらすことはあまり望めない。

プランの「使命宣言」はプランの意図を明らかにしている。「麻薬根絶のために南部を軍事的に制圧する」ことである。南部は、1万7千名のFARCが最も強力なところである。南部に集中することで、コロンビアと米国の政府は、FARCを、コロンビア「民主主義」の敵で米国の麻薬問題の元凶である「麻薬ゲリラ」であるとして、都合良く内戦と麻薬戦争とを結びつけることができる。

コロンビア政府も米国政府も、多くの準軍組織の指導者が麻薬取引を行っており、そしてヒューマンライツ・ウォッチによると、1999年のコロンビアにおける人権侵害の78%を行っているという点を無視している。プランの「人権」の節では、「市民の保護のためには、麻薬栽培・精製地域における不法な「自衛」団と戦うようさらに努めることが必要である」と述べているが、どのようにそれを達成するのかについては述べていない。これは、ゲリラへの対処策が詳細にわたるのと大きな対象をなしており、準軍組織を封じ込めようとする意図はほとんどないことを示しているだけである。

さらに暗澹たるのは、プランの「使命宣言」における「省庁と機構」の部分である。ここでは、「内務省と県知事・市長は、軍あるいは警察司令官の要求により、人、武器、そして当該地域における不法な麻薬の精製に使われる合法的な材料の輸送や移動を制限する政令や決議を発行できる」と述べられている。暴力的な右翼死の部隊と結びついている恐ろしく腐敗した軍の司令官個人にこうした大きな権力を与えていることは、プラン・コロンビアと米国の援助パッケージが擁護しているとされる「民主主義」の内実に深刻な疑問を投げかけるものである。

過去50年の大部分の期間、コロンビアは公式な非常事態下におかれていた。これにより軍が民事対立を独自に扱うこととなり、軍人が関与する事件については軍事法廷の管轄とされるため、数え切れない人権侵害の告訴から兵士が守られてきた。プラン・コロンビアのもとで、軍と警察司令官は、文民統制を受けずに活動する権力を保持し、それは、その行為についてかなりの不処罰を確保できることを意味する。

さらに、米国援助パッケージに付帯する人権条件では、軍の兵士が関与する人権侵害について文民法廷の管轄であるべきと述べているが、米国大統領が、国家安全保障に必要と判断すれば、その条項は撤回できるので、無意味なのである。

根絶と追放

不法作物根絶の議論では、プランは、大規模なコカ根絶キャンペーンが引き起こすかも知れない社会的・経済的・環境的帰結について深刻な検討を行っていない。これはさらに、米国議会が、十分テストされていない菌除草剤Fusarium oxysporumを使うと主張していることを考えると心配である。 Fusarium oxysporumの一つは生物戦争薬剤に分類されるのである。

プランは、「目的は大規模な麻薬生産を取り除くこと」としているが、それにもかかわらず、カンペシノたちにより、3ヘクタール(7.5エーカー)以下の土地で栽培されているコカがほとんどを占める南部コロンビアを標的にしている。FARCの大衆支持基盤はこうしたカンペシノにある。ゲリラは農民の作物を政府軍から守るかわりに課税して戦争を行っているのである。このため、こうしたカンペシノたちはコロンビア国家とワシントン政府双方から敵とみなされ、また、軍事攻撃のときにはもっとも追放されやすい立場に置かれることになる。

「国内避難民の発生防止とケア」と題する節で、コロンビア政府は、実質的にコロンビアの190万人にのぼる、暴力により家から追放された人々への責任を放棄している。コロンビアの国内避難民は、アンゴラとスーダンについで、世界第3位である。プランは、「追放された人々に対する面倒は、地方政府(市政)とコロンビアのNGOが、社会連帯ネットワークの主導のもとで見る」と述べている。地方政府とNGOはこれだけの規模の問題を扱う予算をもっておらず、また、これらの活動を政府の社会連帯ネットワークの監督下に置くことで、政府は費用にも結果にも責任を持たずに統制だけはできるということになる。

追放された人々の遺棄は、米国の援助パッケージにも明らかである。コロンビア政府に直接与えられる8億6500万ドルのうち、家から離れた人々の問題を扱う予算は、たったの4%に過ぎない。プランは、「政府の活動は、最も事件が起きやすい地域の治安を改善することにより、原因をとりさることを目的とする」と述べているが、問題が最も集中しているのは、プラン・コロンビアが実施される南部ではなく、準軍組織が大規模な住民の追放を行う北部なのである。

軍事的解決

進められている和平プロセスを議論した場所で、プランは、「和平プロセスは国の最重要事項である」と主張してる。そうだとすると、米国援助パッケージの1%に満たない額しか和平プロセス支援に充てられていないのは理解に苦しむ。米国は、北アイルランドと中東での和平プロセスに外交的重点を置いているが、コロンビア政府とFARCが進めている対話は無視している。

和平プロセスを支援するために与えられる援助額がわずかばかりでしかないことは、米国政府が交渉による問題解決にはほとんど関心がなく、軍事解決により自らの経済利益を守るためには大量の納税者のお金を使う意志があることを示している。米国は「自国の裏庭」である中南米で妥協を拒んできた。これは、1980年代のコンタドラ和平プロセスにおいても示されているし、また、キューバに対して続けられている経済封鎖についても言える。

プランはまた、「軍事対立と市民社会」という節で、コロンビアの歴史をゆがめてさえいる。そこでは、「対立の主役は3つである」とし、FARCと民族解放軍(ELN)という2つのゲリラと、不法な「自衛」団を挙げている。プランは、コロンビア軍の役割を全く無視し、1950年代、ラウレアノ・ゴメス大統領のもとの保守党政権時代およびグスタボ・ロハス・ピニージャ将軍の軍事独裁下において、軍が自由党と共産党を支持する農民に対して行った暴力を全く無視している。1950年代に、軍による地方の農民に対する虐殺から身を守るために結成された農民の自衛団が、1960年代にFARCへとなっていったのである。

コロンビア軍は、ゲリラや現在の準軍組織が存在する前から暴力の主役であった。そして、ヒューマンライツ・ウォッチの2000年2月報告では、地方の農民に対して汚い戦争をしかけている準軍組織と今も密接な関係を維持しているこのコロンビア軍に対して、米国の支援は与えられるのである。

終わりに

プラン・コロンビアの目的が、コロンビアの政治経済エリートに対する主要な脅威となっているFARCと戦うことであることは明らかである。また、軍事政策と併せて新自由主義経済政策を実施することにより、多国籍企業が、石油や天然ガス、鉱物資源、比較的工業化に適応した労働者といった、コロンビアの天然資源及び人的資源に包括的にアクセスすることで、利益を得ることになる。このような新自由主義政策は、それが適用された他のラテンアメリカ諸国で、大多数の人々の生活水準を改善することに失敗した。コロンビアで新自由主義により生活水準が改善されることはありそうもない。

麻薬取引問題を解決する方略としてみても、プラン・コロンビアが米国における薬物入手に大きな影響を与えることはないだろう。軍によるFARCと南部コロンビアのコカ栽培農民への攻撃が成功したとしても、ゲリラ活動と麻薬取引双方にとってそれは一時的な後退にしかならないだろう。FARCが資金の70%を麻薬以外から得ているならば、麻薬収入源を断っても、FARCが降伏することはありそうにない。

コカ栽培についていうと、歴史は、「風船効果」(一カ所で根絶されると別の場所に移る)が避けられないことを示している。さらに、プラン・コロンビアは南部のコカ栽培農民を標的にする一方、主に北部にいる麻薬商人とそれに同盟する準軍組織をほとんど無視している。麻薬商人は、商売を阻害するようなコカ根絶を許しはしないだろう。

米国援助パッケージの8割がコロンビア軍と警察に行くという事実は、プラン・コロンビアが平和の政策ではなくて戦争の政策であることを証している。社会経済的問題に充てられる残りの2割は見せかけの飾りであり、コロンビアの社会経済的問題を真面目に問題にしたり、コロンビアの政治・経済エリートの地位を脅かすような、体系的な変革を提案してはいない。

コロンビア社会の経済的下層階級についていうと、多くのカンペシノたちが、軍事攻撃が始まると死と追放に直面することになろう。これにより、経済的にあえいでいる都市部にさらに追放された人々が集中するだろうが、都市は、IMFが強制した節制と調整の政策のために、増加する失業と貧困の問題に対処する力を備えていない。人口の追放は、対立を国際化するだろう。というのも、国境を越えてエクアドルに向かう難民の数が劇的に増えることが予測されるからである。

プラン・コロンビアの軍事部門と経済部門が大多数のコロンビア人にとって利益とならないことは明らかである。けれども、そもそもそれは目的ではない。プラン・コロンビアの意図はFARCを撲滅し、それによって、コロンビアの歴史を通してコロンビアのエリートと海外のビジネスが膨大な利益をあげてきた政治経済的構成の現状を維持することにある。プランの副題が示すように、プランは「国家の平和・繁栄と強化」を目指している。これはつまり、政治経済的エリートにとっての平和、政治経済的エリートにとっての繁栄、そして、政治経済的エリートが支配している国家の強化ということなのである。

益岡賢 2002年3月4日

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